京都を拠点に活動する演劇ユニット 下鴨車窓 が、自信作を掲げて札幌にやって来ます。登場人物の関係性を繊細に丁寧に美しく描く彼らの作品は、多くの観客を魅了します。
上演作品は「微熱ガーデン」。2016年に京都にて初演され好評を得た作品で、2018年度から下鴨車窓の新たなレパートリー作品として全国を巡演する予定です。
新たなレパートリー作品
下鴨車窓は、レパートリー作品というものを特別に定めて全国を巡演しています。これは、多くの時間や労力をかけて作った新作が数えるほどしかないのステージ数で消費されるように終わってしまうことへの長年の疑問から出た試みです。
初めてのレパートリー作品「渇いた蜃気楼」は札幌でも上演され(2017年7月)、「見応えのある不条理心理劇」と高い評価を得ました。
台詞の裏と間を探り、思考を巡らせ、緻密に配置された点を線で繋いでいき最後に「ああ、なるほど…」と全てが心にズシリとのしかかるような、あの感覚は札幌発信の作品ではなかなか体験できないと思う。
雪さんの感想(「文学的な演劇 下鴨車窓『渇いた蜃気楼』」札幌観劇人の語り場, 2017年7月7日より)
今回の作品「微熱ガーデン」は、もともと下鴨車窓が主催する若手育成のためのプロシェクト「fullsize」に参加した俳優志望の若者と作った作品でした。今回は、オーディションによって全国から出演者を広く募り、新たなメンバーでより質の高い舞台を披露します。
とある地方の寂れた町を舞台に、学費や生活費に困った女子大生が生き抜く姿を描きます。大学生の方にも特に観ていただきたいです。
不気味な美しさと哀しさを湛えた舞台。若者と老人の孤独と貧困が活写された。苛立ちが表立つ理彩と、内面の鬱屈が増す結。対照的な性格だが、互いに相手を必要とする関係性を、演技・演出で微細に表した。
九鬼葉子氏の劇評(演劇雑誌「テアトロ」2017年3月号より)
公演は2018年12月8日(土)〜9日(日)、シアターZOOにて。これまでも高い評価を受けてきた下鴨車窓の新たなチャレンジに期待です。
素敵な劇的体験があなたをお待ちしています。