【インタビュー】上田龍成さん・齊藤雅彰さん|教文短編演劇祭2017

短編に特化したユニット

上田:僕が台本書いたり演出したりするようになったのは、北海学園大学演劇研究会にいたときです。もともと放送作家になりたいと思っていたので、演劇の台本書くこともすごく面白かった。

そろそろ大学内だけでなく外でもやりたいと思っていた時期に教文短編演劇祭のことをを知り、できたばっかりの団体なのに小ホールで公演させていただきました。

「お芝居を観たことがない人にお芝居を観せること」をコンセプトにし、音楽ライブの転換中に芝居をやったり、飲食店などでやったりしたました。そうすると、必然的に長編より短編やコントをたくさん書くようになりました。

齊藤:短編演劇にこれほど特化したユニットも珍しいかも。

上田:僕は、札幌演劇シーズンに短編オムニバスで出ることを目標としています。過去にやった作品も新作も、ロングランかつ日替わりでやったら面白いと思うんです。

齊藤:すごく良いと思う。短編は観やすいからより演劇が身近に感じられるだろうし、こんなに短いのにこんなに面白いって抱腹絶倒するよ。絶対にお客さんに喜んでもらえる作品が2作品あるんだから(教文短編演劇祭で優勝した2作品)。

メインディッシュというより、オードブル。みんなでわっと楽しめる、そういう作品を作ることができるユニットですね。

上田:ぼーっとしながらテレビを見ている感覚でお芝居を楽しんでもいいんじゃないかと。何も考えなくても面白かったら笑うし、興味のあるものは食いつくし。演劇は敷居が高く、「ちゃんと観なくちゃ」というプレッシャーがお客さんにもあるんじゃないかと思います。

そうじゃなくて、もっと気軽におつまみを食べながら見る感じで演劇を楽しんでいただけたらなって思って頑張っています。

 

タレント役者が切り開いてきました


上田:
こうして道外で公演させていただく機会を通して、札幌演劇の特徴みたいなものを感じるようになりました。

札幌の芝居は、観に行く決め手が「役者」「タレント性」であることが多いのではないでしょうか。「この役者が出ているから作品を観に行く」というような傾向にある。

でも、東海連合の脚本も書かれる名古屋の劇作家、長谷川彩さんによると、名古屋の演劇は「この劇作家が書いているから作品を観に行く」なんですって。

タレント性のある役者が切り開いていった札幌演劇界、劇作家が切り開いていった名古屋演劇界。成り立ちが違うんだなあと改めて感じました。

札幌のタレント性は強みだと思うので、今後劇作家がますます大きくなるにつれて札幌演劇も発展していくんだろうなと。

齊藤:演劇界がどう成長していったかで、お客さんが演劇のどこに魅力を感じるのかも変わってくるんだね。

上田:名古屋の場合、やはり劇作家協会の活動が活発であることは大きいと思います。北海道支部(札幌)は頻繁に集まれているわけでもないですし。

札幌で活躍している劇作家が、もっと劇作家協会に関わりを持っていくことは、札幌の劇作家全体の成長のきっかけとなるんじゃないかなと思います。

北海道支部として、今後の展望は何かありますか。

齊藤:今考えていることとしては、月に一回リーディング公演をすることですね。劇作家協会として、戯曲に触れる機会を提供できたら良いなと。

上田:純粋に、会員をもっと増やしたいですよね。

齊藤:会員になると、他地域の会員との交流が盛んになります。北海道支部を発展していくために、色々と考えなくてはいけないことが多そうです。

 

ガラパゴス的演劇環境


齊藤:
札幌はいろんな作品・団体が混在していて面白い。ガラパゴス状態が良いと思います。

最近は道外公演も盛んに行うようになってきていて、どんどん視野が広がっていっていると思う。多種多様な作品が積極的に混在している演劇環境になったらいいですね。

上田:札幌演劇シーズン2017-夏で「イレブンナインが札幌演劇の入り口、introは奥の方」という表現を見て、すごく良いなぁと思ったんです。「各団体を」という意味でももちろんそうですし、「札幌演劇を」観ることの敷居が低くなっているなぁと。

イレブンナインが5000人近くのお客さんを演劇で楽しませることに成功し、それをきっかけに別の団体の作品を観る人も出てくるだろうと思います。

そのとき、イレブンナインが引き寄せてくれた可能性を離しちゃだめだなと思うんです。別の札幌演劇作品を観て「こっちはつまんなかった」じゃだめなんです。

齊藤:上田くんもシーズンで短編オムニバスやってたくさん集客してさ、

上田:「コントシーズンじゃん」って突っ込まれませんか、大丈夫ですか?(笑)

 

2017年9月25日

あけぼのアート&コミュニティセンターにて

 

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