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アンケート調査に基づく札幌の文化芸術支援のための政策提言が公開|7月3日に市に提出予定

2020年5月に実施された「新型コロナウイルス感染長期化に対峙する札幌の文化芸術関係者の活動再開の道を探るアンケート調査 第1章 影響と損失」の調査結果を基にした政策提言が発表されました。

アンケート調査について

札幌で活動するすべての演劇人の皆様へ【アンケート回答のお願い】

調査結果

【アンケート調査】第1章の速報版が公開、数値が語る札幌演劇の現状とは

アンケート調査結果では、札幌の文化芸術関係者の現状が数値として明らかになりましたが、今回はその結果を踏まえ、具体的な5つの政策を提言しています。

演劇活動を行うすべての人にも関係のある政策提言ですので、ぜひご一読ください。

MEMO
当記事に用いられている政策提言書の画像は、「札幌の文化芸術活動のいまとこれからのための調査プロジェクト」のFacebookページに掲載されていたものです。画像ファイルであるため小さな文字が見づらくなっていますことをご了承ください。なお、記事の下の方に政策提言書全文をダウンロードできるページのリンクを掲載しています。

5つの政策提言

提言書で示されている政策は5つあります。

  1. 活動再開に向けて多様な表現分野の関係者による「ネットワーク」を発足
  2. 文化芸術活動のための「相談窓口・情報プラットフォーム」を設置
  3. 文化施設への持続的な支援
  4. 創造活動の奨励金等、クリエーションのための基盤を支援
  5. 新たな手法への試みを支援

どの政策も、アンケート調査結果を踏まえたものであり、新型コロナウイルスにより特に大きな影響を受けた分野に対して支援を求める内容です。

一つずつ紹介します。

1、活動再開に向けて多様な表現分野の関係者による「ネットワーク」を発足

文化芸術関係者を支援する政策形成のための「ネットワーク組織」すなわち「行政と現場が定期的に意見交換を行う場」を求めています

現在札幌市が独自に行っている支援として、無観客公演の動画配信への支援「さっぽろアートライブ」がありますが、アンケート調査結果によると、オンラインを活用した文化事業の支援要望は、1〜6%(個人5%程度、団体1%)でした

現場の必要性に即した的確な支援策が実現するためには、現場の声を聞くためのネットワーク組織が必要です。

特に、再開に向けて策定するガイドライン(公演を行う際に気を付けなくてはならないことや、中止・延期の基準など)について、施設間・事業者間の情報共有および札幌市の指導・指針提示は急務とされています。


2007年に施行された「札幌市文化芸術基本条例」第10条には、行政と現場の意見交換の場に関して、次のように定めてられています。

札幌市文化芸術基本条例

 

第10条 市は、市民、芸術家等、文化芸術活動を行う団体等の自由な発想が文化芸術に関する施策の推進に欠かせないものであることに鑑み、市とこれらの者とが、文化芸術に関する施策の推進に関し、互いに自由かつ率直に意見の交換を行うことができる仕組みの整備を図るものとする。

この仕組みとして、2009年度(平成21年度)に「札幌文化芸術円卓会議」が設置され、札幌市の文化芸術の現状や支援策について話し合われていましたが、2018年度(平成30年度)を最後に会議は行われていません(原因不明)。下リンクより過去の「円卓会議」の様子を見ることができますが、初期に比べると近年は期間が短くなり、頻度も少なくなっていることがわかります。

政策提言書には、この「円卓会議」を活用して意見交換することもできるとの記述があります。

いずれにせよ、現場の声を反映した政策を実現するために、行政と文化芸術関係者によるネットワーク組織の設置が求められています。

参考 札幌市文化芸術基本条例札幌市公式サイト 参考 札幌文化芸術円卓会議札幌市公式サイト

2、文化芸術活動のための「相談窓口・情報プラットフォーム」を設置

文化芸術活動の現場を熟知した専門家(弁護士、税理士、経営コンサルタント、心理カウンセラー等)に気兼ねなく相談ができる「窓口」の設置を求めています。

「音楽・演劇・舞踊」分野において、「困っていること」として「創作発表の意欲が湧かない」と回答したのが71%。また、困ったこと、迷ったことが起こった時に援助してくれる個人や団体、組織などは「ない」が53%でした。

そのほかにも、どんな支援があるのか、経営を立て直すにはどうしたら良いか、その他日常の業務で困ったことなどを総合的に相談できる場所を必要とする声はアンケートでも数多く寄せられていました。

文化芸術関係者の悩みの受け皿を設置し、「1、ネットワーク組織」や政策検討機関とも連結することで、相談事項をさらなる支援事業に反映することができます。


既に京都府や横浜市では、新型コロナウイルスの影響により困っている文化芸術関係者のための専門相談窓口が設置されており、注目を集めています。

なお、札幌にも札幌文化芸術交流センター SCARTSによる「SCARTSインフォメーションカウンター」が設置されており、新型コロナウイルス感染症の影響についての相談を受け付けています。これについて、政策提言書には言及がありませんでした。

参考 京都府文化芸術関係者支援相談窓口公式サイト 参考 文化芸術創造都市横浜・臨時相談センター YES公式サイト 参考 SCARTSインフォメーションカウンターのご利用及び相談サービスの再開について札幌文化芸術交流センター SCARTS 公式サイト

3、文化施設への持続的な支援

文化施設に対して、単発的ではなく、中長期視点の継続的な支援を求めています。

アンケート調査結果によると、個人、団体・事業所ともに、最も必要としている支援として「活動の再開や新規展開事業に向けた支援」 が上位であり、7月まで中止・延期が続く場合、経営困難に陥る団体・事業所は50%を占めています。

文化施設は、感染拡大防止策として客席数を大幅に減らすなど対策を講じて再開することが予想されます。当然チケット売上も大幅に減り、現行の利用料金を支払うとなると、利用者の経営状況はさらに厳しくなってしまいます。

そこで、行政には公立・民間を問わず文化施設の施設使用料を減免したり、補助したりすることが求められます。


兵庫県では「芸術文化公演再開緊急支援事業」が行われており、感染拡大予防ガイドラインを遵守して芸術文化公演等を実施する場合、施設使用料の半分に相当する額を支援しています。

参考 芸術文化公演再開緊急支援事業の実施について兵庫県芸術文化課

4、創造活動の奨励金等、 クリエーションのための基盤を支援

国による「持続化給付金」とは異なる、札幌市独自の文化芸術関係者に対する奨励金等の支援を求めています

自粛要請により数々の公演・展示・イベントが中止・延期となり、文化芸術関係者は大きな損失を被っています。アンケート調査結果によると、5月までの延期・中止による収入の損失の平均額は、個人が62万円、団体・事業所が586万円(1円以上の損失があった場合)です。

今後の創造活動が経済的理由により中断されることのないように、文化芸術活動基盤そのものを支援することを求めています。


京都府では、新型コロナウイルスの影響により、文化活動を自粛・縮小せざるを得ない状況に置かれている京都府在住の文化芸術関係者に対し、最大20万円の補助金が交付されています。

参考 京都府文化芸術関係者支援相談窓口公式サイト

5、新たな手法への試みを支援

感染拡大防止策を講じて行われる、新しい文化芸術活動に対して支援を求めています。

自粛要請により、多くの創作発表の機会が失われましたが、今の状況だからこそできる実験的な表現が少しずつ生み出されています。政策提言書には「新型コロナウイルス感染拡大によって生じた大きな社会変革は、文化芸術活動に多面的な創意工夫を迫っている」とも記述されています。

札幌市には、このような新しい環境・手法で取り組まれる文化芸術活動の技術や場所、機会の開発・整備が求められています。


東京都杉並区では、「杉並区新しい芸術鑑賞様式助成金」として、感染拡大防止策を講じて区内で実施する文化芸術活動事業に対し、その事業に係る経費の一部を最大30万円助成しています。

文化芸術活動の再開を実質的に支援する事業です。

参考 杉並区新しい芸術鑑賞様式助成金について杉並区公式サイト

以上が、提言された5つの政策です。

政策提言書全文は以下のページより閲覧・ダウンロードできます。

参考 札幌の文化芸術活動のいまとこれからのための調査プロジェクトfacebook 参考 調査結果に基づく政策提言書 公開天神山アートスタジオ

7月3日に札幌市に提出予定

政策提言書は、2020年7月3日(金)15:00より、札幌市役所本庁舎にて札幌市市民文化局 川上佳津仁局長に提出される予定です。

冒頭には報道機関各社による取材があり、その後提言書の手交、アンケート・提言書趣旨等説明という流れです。

札幌市で活動する文化芸術関係者の声が、しっかりと政策に反映されることを期待しています!

 

お問い合わせ
さっぽろ天神山アートスタジオ(担当:小田井真美)
札幌市豊平区平岸2条17丁目1−80
Mail: mami@sapporo2.org

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