これまでとは違った独特な緊張感を|ぷらすのと☆えれき『我が生涯、痛恨のダ・カーポ』

2018年、2019年と続けて高クオリティな二人芝居を上演し好評を博した演劇ユニット・のと☆えれき。

第3弾となる2020年は、大阪を拠点に活動する野村有志さん(オパンポン創造社)を招き、「ぷらすのと☆えれき」として三人芝居に挑戦します。脚本は、過去2年に引き続き大阪の二朗松田さん(カヨコの大発明)。

コロナ禍での劇場公演に向けて、これまでとはまた違った緊張感を持った稽古場にお邪魔し、作品についてお話をうかがいました。

三人芝居の面白さ

ー 今回は前回・前々回とは違い、野村さんが加わった三人芝居ですが、稽古の雰囲気など何か変化は感じますか。

能登英輔さん(以下、能登) プレッシャーが違いますね。これまでもなかったわけじゃないですけど、野村さんがいる分、役者としてのプレッシャーをさらに強く感じています。

小林エレキさん(以下、小林) 良くも悪くも、僕たち2人はお互いのことを知り尽くしているので、これまでは割とトントントンと作っていくことが出来ていたんですね。

でも今回、大阪ですごく活躍されている野村さんが初めて加わって、やっぱりプレッシャーは大きくなりましたね。

 

ー 野村さんは、これまでの二人芝居企画に加わることは、どう感じていますか。

野村有志さん(以下、野村) 僕は、昨年の大阪での公演(2019年6月『私の名前は、山田タロス。』大阪 in→dependent theatre 1st にて)を観ていて一緒にできたらいいなと思っていたので、多分お二人が仰っている3倍くらいはプレッシャー感じています…。

でもせっかくなので、ただ作って終わりじゃなくて創作過程で吸収できることが何かあればいいなと思っています。

 

ー この三人で一緒に芝居を作るのは初めてですよね。それぞれ、この人はこういう役者だな、といった発見はありますか。

能登 最初に本読みをしたときに、野村さんは「役としてその場に存在している」ことが出来ているとすごく感じて、良い役者さんだなと思いました。

小林 僕も、DVDで野村さんが演出・出演の作品を見て、すごく緻密に演技を組み立てる方だなと思っていたんですよね。でも、実際に一緒に演ってみると、爆発力もあるんだ!と驚きました。

野村 お二人は、対照的なレアカードって感じしますね。種類が全然違うけど、どっちも超レアカード。お二人の5倍くらいプレッシャー感じていますよ。

小林 あれ、さっき3倍って…?!(笑)

野村 「静と動」と言いますか、「光と影」と言いますか、すごいバランスのお二人だなと思っています。このお二人の間で、どう自分が入っていけるだろうかと考えながらやっています。せっかくなので、楽しみながら模索していきたいなと。

能登 よく言われるんですよ、「正義(能登)と悪(小林)」みたいなね。

小林 逆だよ?「正義(小林)と悪(能登)」だよ?

野村 (笑)いやでもほんとに、対照的で、でもすごい高いレベルでバランスを取られているなあと思っています。

 

 

ー 稽古は演出家がいなく、3人で作っているんですね。

小林 そうです。二人芝居の時から、特別に演出家はいなく、2人で話し合って演出的なことも決めています。

今回も3人で、なんとなくこっちの方が良いかもね、と色々試しながら稽古をしています。

能登 全体的なバランスは、演出助手の遠藤雷太さんに見ていただいています。

野村 今日は稽古が始まって3日目なので、まだがむしゃらなところもありますが、お二人が随時意見を言ってくださっているので、演出家がいなくても今のところ心配なく稽古が出来ています。

3人で作るのはまた違ってくると思うので、お二人はどう感じていますかね。

小林 野村さんは普段演出家もされる方なんですよね。僕たちは役者専門なので、野村さんからも色々な演出的な意見を聞きたいなと思いつつ、まだ合流して3日目なので、ちょっと控えめな感じがします(笑)

多分2週間後くらいには、俺たちを怒鳴っていると思います。

能登 「せやから違うやろ!!!」(笑)

野村 いやいやいや(笑)。役者として今回呼んでいただいているので、僕が演出する時とはまた違った見方で作っていくことができると思って、楽しみです。

 

二朗松田作品について

ー 脚本はこれまでに続いて二朗松田さんです。初めて台本を読んでみたときの第一印象はどんな感じでしたか。

能登 面白かったですね。どんどん読み進めちゃって、気がついたら終わっちゃった!みたいな。

小林 今回は、より当て書きで書いてくださった作品なんですよね。「二朗さんが僕たち3人が出演する脚本を作るなら、どんな感じのものを思い浮かべますか?」と最初にオーダーしています。

前回・前々回は僕たちでキャスティングを決めていたんですけれど、今回は誰が何役かまで二朗さんに決めていただいています。

 

ー 野村さんは二朗さんと同じ大阪で活動されていますが、二朗さんの脚本をどう読みましたか。

野村 二朗さんは、関西の劇作家で3本の指に入る方だと思っています。二朗さんの脚本に出演するのは今回で2回目なので、ずっと出たかったんです。大阪ではあまり機会がなく。なので北海道で二朗さんの本をやれるっていうのは嬉しいですね。

能登 大阪の演劇人の方からは、「オパンポン創造社の野村くんはすごい、一緒にやった方がいいですよ!」と言われました。なので、僕たちとしても、野村さんと一緒にできるのは楽しみです。楽しみと、怖さ(プレッシャー)もあります。

小林 いつキレられるか…。

一同 (笑い)

小林 でも、良い緊張感があって楽しいです。2人だと、緊張感も何もないので。

能登 年代も同じくらいなので、楽しいです。

ロックバンドのお話

ー ロックバンドの話ということもあり、劇中曲も楽しみです。クレジットには、「音楽制作:小林エレキ」とありますが。

小林 ロックバンドのお話なので、所々にロックな音楽が欲しいねえと。曲どうしようかと話していると、プロデューサーの小室さんが「エレキくん曲作れない??」って。

小室明子さん 違うよ、違うよ、最初能登くんが言ったんだよ!

能登 「エレキできんじゃない?」

小林 それで俺が「どうっすかね〜、できるかな〜、まあちょっと頑張ってみようかな〜」とか言ってたら、小室さんが「音楽制作:小林エレキ で名前クレジットしたから」って。「したから」!?じゃあやるしかないじゃん!って。

俺はギターしか持っていなかったので、少しずつ機材を揃えて作り始めています。難しいけれど、楽しいです。

 

ー 小林エレキ作の曲もお楽しみに、ですね!

小林 お手柔らかに、です(笑)

 

ー ところで、憧れのロックバンドはありますか。

野村 僕はミッシェル・ガン・エレファントが好きです。

小林 僕はスピッツが好きです。

能登 僕はaikoが好きです。

小林 ロックバンド?!

野村 なんか、3人ともジャンルが違いますね。この感じが物語にもあっている気がします。能登さん、わざと仰ったのかわからないですけれど、1人だけaikoって言いそうな役なんです。

一同 (笑い)

 

お客さんの目の前で

ー コロナ禍での公演となります。今年は配信公演も盛んに行われましたが、同時に、お客さんの目の前で上演することの尊さについても考える一年でした。劇場公演に向けて、意気込みや想いを教えてください。

小林 僕も以前、配信用の演劇を収録してみてわかったんですけれど、特に笑いのあるコメディでは、お客さんの笑い声や反応は作品そのものに影響するんです。笑い声があって初めて完成する、というと言い過ぎかもしれないですが、そのくらいの印象を受けました。

その場でやって、その場で観てもらうことの大切さをすごく感じた1年でした。

最近ようやく劇場が再開してきて、お芝居を観に行くたびに、生で演っているってめっちゃ楽しい!と思うんですよね。

この作品もお客様にとって、そういう作品になったらといいなと思って作っています。

能登 人それぞれ考え方は違うと思うんですけれど、僕は、オンライン配信は演劇とは別ジャンルになっちゃうんじゃないかなと思います。

僕もこの前yhsでお客さんの前で上演させてもらいましたが、やっぱりそこに人がいるってだけで本当に違って。役者間でもそうですし、舞台と観客の間でも、違いをすごく感じました。

お客さんには「人がそこにいる」ということを感じていただけたら嬉しいです。

野村 お客さんが最後のピースになると思います。コメディは特に。一緒の空間を作り上げていく。

僕はコロナ禍になってから9月に1度だけしか公演はやっていませんが、お客さんがいるのといないのとでは、空間作りにおいて1つ欠けているような気がしました。

この時期に北海道で公演ができるというのを幸せに思っています。精一杯やらせていただけたらいいなと思っています。

能登 感染症対策もできる限りのことをやっていきますので、安心して劇場に来ていただけたら嬉しいです!

 

公演情報

ラボチプロデュース ぷらすのと☆えれき
『我が生涯、痛恨のダ・カーポ』

日時

2020年11月
27日(金)20:00
28日(土)14:00 / 19:00
29日(日)13:00 / 18:00
☆開場は開演の30分前、受付開始は40分前を予定しております。

 

会場

シアターZOO

 

作品について

気がつくと、三人は見知らぬ密室の中にいた。窓はなく扉は固く閉ざされている。

三人はかつてインディーズシーンで人気を誇ったバンドのメンバー同士。しかしその仲の悪さと想像を絶するだらしなさ故解散、今はマンションの部屋代さえままならない。困った挙句彼らは二度目のブレイクを狙い再結成を決意、今夜はその決起集会。だったはずだが。

その扉には赤く謎の記号が描かれている。何かのヒントだろうか。
「あの記号、なんか見たことあるな…」
「あれは…音楽記号だ…!」
彼らは束の間希望を見た後、再び絶望へと舞い戻る。
そう、彼らは誰一人として楽譜を読むことができなかったのだ。

あの頃からなかなか自分を更新できない貴方に贈る、
密室ミステリーホラー脱出サスペンス青春ロックンロールストーリー。

 

脚本

二朗松田(カヨコの大発明)

 

出演

能登英輔(のと☆えれき/yhs)
小林エレキ(のと☆えれき/yhs)

野村有志(オパンポン創造社)

 

スタッフ

音楽制作:小林エレキ

舞台監督:高橋詳幸(アクトコール株式会社)
照明:相馬寛之
音響:山口愛由美
演出助手:遠藤雷太

宣伝美術:二朗松田
宣伝写真・舞台写真撮影:原田直樹 (n-foto)
映像撮影・編集:島田拓身
プロデューサー:小室明子

 

チケット

日時指定 整理番号付
3,000円

チケット取り扱い:
ラボチ オンラインショップ
・ローソンチケット(Lコード:18223)
エヌチケ

 

Web

公式サイト

 

主催

ラボチ

感染症対策について

ご来場予定のお客様はこちらのページをご確認の上、チケットをお買い求めください。

https://www.sapporo-engeki.com/notoereki3-taisaku

お問い合わせ

ラボチ
TEL.050-3698-5920
rabochey2015@gmail.com