2018年9月6日に発生した北海道胆振東部地震の被害にともない、やむなく中止となった今年の教文演劇フェスティバル。公演を楽しみにしていたファンからはたくさんの悲しみと励ましの声がありました。
しかし、来たる11月30日、「グランド・チャンピオン・ステージ」の振替公演が実施されます!演フェス事務局が「演劇のチカラで活気を取り戻そう」と協議・調整を重ねた結果です。
以前からタイアップしていたd-SAPは今回の振替公演を受け、札幌市教育文化会館 事業課の方にお話を伺いました。
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演フェスが今年にかける思い
「教文演劇フェスティバル(通称:演フェス)」は、1986年にスタートした札幌市教育文化会館を会場に行われる演劇の祭典です。毎年夏に開催されており、演劇に関する様々なイベントが開催されます。
名物企画「教文短編演劇祭」も演フェスの一環として行われており、演劇を普段観ない人でも楽しめるように2008年からスタートし、今年で10年目を迎えます。
10年で一区切り、次の10年に向けて
教文演フェスのメイン企画として、短編演劇祭が2008年から毎年行われて来ました。
過去の優勝劇団は、劇団怪獣無法地帯(2008、2009年)。ELEVEN NINES(2010、2011、2012年)、yhs(2013年)、星くずロンリネス(2014、2017年)、道外から参加の東海連合(2015、2016年)と、現在も大活躍中の団体ばかりです。
しかし、回を重ねるにつれ、その盛り上がりは少しずつ落ちて来ていた、と教文事業課の方は語ります。札幌の中でも比較的大きな動員数を誇る劇団が短編演劇祭に出場する機会は減り、短編演劇祭としての動員数も落ち気味でした。決して失敗だったわけではありませんが、さらなる発展が期待されていました。
そこで、2018年はコレカラの10年間のためのステップアップの年として位置付けられました。
今までの10年間とは違ったコンセプトを持った新しい10年間のために、「演フェスって変わったんだ」と多くの人に思ってもらうための2018年。突然大きく変えるのではなく、ひとつ段階を踏むための一年です。短編演劇祭の本当の「一新」は、2019年からの10年に見られるようです。
コレマデを振り返る「グランド・チャンピオン・ステージ」
今年の短編演劇祭のテーマは「オウ」…ということで、これまでの「オウ」(=王・チャンピオン)たちによる夢のエキシビジョンマッチが企画されていました。
その名も「グランド・チャンピオン・ステージ」。過去の優勝劇団が、コレマデの短編演劇祭で上演し評価の高かった作品を上演し合うという企画です。王者たちの過去の上演作品を楽しみ、短編演劇祭のコレマデを振り返るというのも大きな目的です。
北海道地震によるやむなき中止
ゲストや審査員も発表され、過去最大の盛り上がりを見せていた今年の演フェス。しかし、9月6日に発生した北海道胆振東部地震の影響で、安全面も考慮して中止せざるを得なくなりました。
期待が大きかった分、たくさんの悲しみの声が上がりました。
札幌市教育文化会館 事業課の方は、地震が発生して公演を中止にせざるを得なくなったときの心情を語ってくれました。
震災翌日の朝イチから停電した教文の中で緊急会議をやりましたが、仕込み当日に被災したことで、チーム内のモチベーションの低下といいますか、落胆度は当然ながらかなり大きかったです。
特に今年度の演フェスについては、昨年の演フェス開催中からアイデアを出しあって、チーム全体で作りこんできたイベントであったので、思い入れや意気込みも例年以上に強かっただけに、とても残念でした。
今回の地震では、全道規模の停電被害が注目されましたが、一方で、仮に震災直後に当館の電気が復旧したとしても中止にしていたそうです。
理由としては、①余震のおそれがありテクニカルスタッフの安全を確保できないこと、②電力不足や停電の地域がある中で、大きな会場で電気を沢山使うイベントをしてしまうと、停電地域への電力供給にも影響を及ぼす恐れがあること、③交通機関の運転の見合わせが続いているため来場者の安全も確保できないこと、があげられます。
しかし、地震発生から1ヶ月後の10月10日に、「グランド・チャンピオン・ステージ」の振替公演の実施を発表!
その背景には、教文チームによる一進一退の調整・協議、数々の奮闘がありました。
震災によって中止にすること自体はやむを得ないことなのですが、中止の判断をした先をどのように考えるか、何か出来ることはないか、代替案になり得る可能性はないかについて、全員で諦めずに検討することが大切なことだと思います。
振替公演の可能性については、実は震災直後から会議や調整を続けておりました。演フェス全体を通して関わる方々がとても多く、状況も日々変わるといったような、正に一進一退が続いておりました。ギリギリまで開催できるかどうかはわからなかった中でも諦めなかったのは、前述した動機が原動力となっていたと思います。
残念ながら短編演劇祭は中止となってしまいましたが、それでもたくさんのお客様に楽しんでいただこうと、当初よりパワーアップしているそうです。
主な変更点は、、、
- 会場が小ホールから大ホールに変更
- 出演する王者劇団と豪華ゲストによる「GRAND TALK SESSION」
- 高校生以下は1,000円で見られるチケットの発売
- 9月のチケットを予約・ご購入のお客様は優先エリアでの観劇が可能
- 演フェスの収益金の一部を震災支援金へ寄付する「Pray for Hokkaido」プロジェクト
豪華ゲストは、斎藤 歩(劇作家・演出家・俳優・公益財団法人北海道演劇財団 専務理事 芸術監督)、 鴻上 尚史(作家・演出家)、 森崎 博之(TEAM NACS リーダー/俳優・脚本家・演出家) の3名。「GRAND TALK SESSION」では、王者×ゲストの貴重なトークをご覧いただけます。
「Pray for Hokkaido」プロジェクトは、震災によって中止となった公演を復活させ、主催者、出演者、お客様の皆で創り上げられた振替公演をまた地域に還元していこう、北海道を演劇のチカラで元気にしていこうというコンセプトです。
「震災による中止というマイナスをプラスに変えていく」という新たなテーマを掲げ、ただの演劇イベントにとどまらない特別なものとなりそうです。
ぜひ、教文演フェスを観るというかたちで、北海道を応援しましょう!
【前売】2,500円(当日3,000円)
※教文ホールメイトは500円引き
【高校生以下】 1,000円(当日も同料金)
※2階席のみ、教文プレイガイド取扱い
【チケット取扱】
・教文プレイガイド:011-271-3355
・大丸プレイガイド:011-221-3900
・ローソンチケット:0570-084-001(Lコード12328)
・出場劇団のCoRich経由からも予約受付中です。詳しくは各劇団のSNS情報をご覧ください。
札幌市教育文化会館事業課(第二・第四月曜休)
〒060-0001 札幌市中央区北1条西13丁目
TEL:011-271-5822
FAX:011-271-1916
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