札幌演劇シーズンのご協力のもと、d-SAPでは、演劇が大好きな札幌市内・近郊の中高生のための「札幌演劇シーズン2018-夏」参加作品の稽古を見学を開催しました。
初めて観るプロの劇団の稽古に、緊張しつつも興奮を隠せない様子の中高生たち。演出家の方にはワークショップも開催していただき、名作が立ち上がっていくプロセスを目の当たりにしました 。参加した中高生には、見学を通して感じたことや学んだことなどを自由に書いていただきました。
今回の稽古見学の対象作品は、ELEVEN NINES『12人の怒れる男』と弦巻楽団『センチメンタル』です。
センチメンタル
今回、弦巻楽団の稽古見学で面白いなと思ったのは、みなさんがどのシーンでもすぐ「遊べる」んだなということです。遊ぶというのはゲームという意味ではなく、稽古でセリフを掛け合って、自由に演技しているという意味です。
演出の弦巻さんをめっちゃくちゃ好きになりました。自分は俳優志望ですが、弦巻さんを見ていると、演出家という役割がどのようなものか勉強できました。演出家にはこだわりがあって、自分の注文、イメージ、理想があるということ。それは、誰よりも作品を理解して考えて全体が見えていて明確に伝えることができないといけません。自分のイメージがあって自分の世界がある。それを自分じゃない違う人に伝えて上演するということはとても難しく、面白いことだなと思いました。
また、役者さんたちは弦巻さんの演出を実現できていて、すごいなと思いました。あと、学校の勉強も大事なんだなと思いました。例えば、大道具を運ぶ時に重点などを考慮して動かすと楽になったり音が鳴らなかったりと工夫できるからです。弦巻さんはそのような知識をたくさんもっていて、勉強も必要で、色んなことを経験しないといけないなと思いました。
自分はこの稽古見学を通して、やっぱりプロは違うなって思いました。役者として、もっと作品に対して考えることが必要だと思いました。良い刺激を受けることができて本当によかったです。ありがとうございました。
高校では行ってない事が多く、すごく自分の為になった3時間でした。ミニWSもすごく楽しかったです、その中でも「紙コップ」は運動神経、発信&受信の能力、協調性といった演劇をする上で必要な要素を養うことができる効果的なミニゲームでした。機会があれば僕の高校の部活でも挑戦させていただきます。
その後、休憩&発声となっていましたが、各自で行っていたのに誰一人として怠けていないというところに、役者達の真剣さを感じました。その後も無計画に稽古をパッパと進めるのでなく、きちんと今日練習するシーンをあらかじめ決めてから取り掛かるというのも、稽古をする上で大事だと思いました。
場面転換時の大道具移動も様々なやり方があるということを学びました。さらに、大道具からクギの先がはみ出ていた時も、キチンと大声で知らせていたところも、安全を守るための大事な気遣いだと思いました。そして、役者の演出をしている時、「もっと◯◯して欲しい」という指示は1個もなく、寧ろ「◯◯すぎる」という指摘が多かったような気がしました。小返し中は100をやってやり過ぎと言われてなんぼだと思いました。それ以外にも、理性と衝動のバランスや、台詞と説明の緩急、緊迫感と慌ただしさについて弦巻さんは指摘していましたが、僕は意味がわかるだけでどのように演じればいいのかは全く浮かび上がってきませんでした。それでも今回の「センチメンタル」の出演者たちはその言葉を理解していて、その通り演じられていたので、素晴らしいと思いました。
時間の都合上最後まで観ることができなくて非常に残念でしたが、とても勉強になることが多かったので、稽古見学に当選して本当に良かったと思いました。素敵なお時間をありがとうございました。本番とても楽しみにしています、頑張って下さい。
私は弦巻楽団演技講座を受講していましたが、弦巻楽団の本公演の稽古を見学するのは初めてで新鮮でした。
客観的に見て気づいたことは、役者の皆さんが稽古を円滑に進めようとしているということです。演技プランを稽古前に考えてくるというのもそうですが、稽古の流れを見て「何をすべきか」「次はどのような動きになりそうか」を考えて行動していて、役者も演出も一緒に作品を作っている感じがしました。
舞台の上でしか見たことのない役者さんが、稽古場でどのように作品を作っているのかを見られることは貴重でした。また、自分が稽古に参加するときに向けて良い学びの時でした。
「センチメンタル」の初演は私が生まれる前だったので観たことがなく、ストーリーも知りません。ですが、序盤の1シーンの稽古を観ただけで作品に引き込まれました。2人の会話の奥に、言葉にはしていない様々な感情が隠れているように思いました。大道具に3本の大きな直方体があって、それらがどのような役割を果たしていくのかも、本番で見られるのが楽しみです。
12人の怒れる男
イレブンナインの稽古場にはこれまで一度も伺ったことがなかったので、とても厳しく練習をしていると感じました。しかし、時には笑いも混ぜながらしっかりメリハリをつけていて、かっこいいなと思いました。
ワークショップは、1から51までの数字を、順番に言って3の倍数と3のつく数字の時には、手を叩くというゲームをしました。最初は緊張していましたが、役者の方々と一緒にできて馴染むことができました。曲に合わせてコップを隣の人に回すゲームや、それの発展版などをして、楽しみながら演技をする際の右脳と左脳の使い方を学ぶことも出来ました。
また、稽古の見学では、普段見ている演劇がどのようにしてできているのか、どのような雰囲気で作られているのかを見ることができました。普段の生活ではあまり感じることのない独特の緊張感を直に感じることが出来て、とてもいい経験になりました。
今回見学させていただいた一部分が、本番ではどの様に変わっているのかを注目して楽しみたいと思います。練習、そして本番頑張ってください!
稽古見学の初めに、ミニワークショップに参加させていただきました。特に1つ目のゲームでは、実際に演じるときにセリフを喋らない時も無関心にならないためのトレーニングになり、とても学びになりました。また、ベテランの俳優さんもミスをされるときがあり、稽古見学ならではの貴重な姿を見ることが出来たので嬉しかったです。(笑)
実際に稽古が始まるとWSのワイワイとした空気から「12人の怒れる男」の糸がピーンと張ったような空気になり、私はその切り替えに驚きつつ冒頭のシーンを見学しました。冒頭はセリフ中心というよりも動きが大事になるという印象のシーンで、1回通しては演出の納谷さんからの指摘が入り、その指摘をもとに俳優さんそれぞれで動きを変えていっていて、見学した1時間だけでも最初と最後に行ったものでは動きがかなり変わっていたのが衝撃的でした。
私は演技を経験したことはほとんどありませんが、すべてをここにまとめきれないほどの多くのことを生で感じることが出来て、良い経験になりました。とても幸せな空間でした。演劇が好きな者として、今後もこのような機会を活用し、演劇と関わっていきたいと思います。
私は演劇部に所属していて、「もっと演技の勉強をしたい!」という思いから今回応募させていただきました。このようなWSや稽古見学に参加するのは今回が初めてで、稽古場に入るまでは緊張でいっぱいだったのですが、演出の納谷さんをはじめとした役者の皆さんが温かく迎えて下さり、プロの劇団に対する「厳しくて怖いところ」というイメージが払拭されました。
WSでは、「変化に瞬時に対応出来る力」と「相手の動き・言葉を受け取ってアクションを起こすこと」がいかに大切かということを学びました。同じ動きを何回も繰り返した後に、瞬時に別の動きに変えるというのは思った以上に大変だったのですが、演出の納谷さんが「これが出来ないと稽古での変化にも対応出来ない」と仰っていて、こういう訓練を積むことも大切なのだと思いました。
稽古が始まるとそれまでの賑やかな雰囲気が一変、真剣なムードに…。皆さんのこの作品に掛ける想いがひしひしと伝わってきました。稽古の雰囲気作りがしっかりとされているからこそ、良い舞台が創られていくのだと思います。
稽古中何度も同じシーンを繰り返す中で、役者さんの動きは毎回変化していました。この事について稽古後の質問タイムで平塚直隆さんにお聞きすると「ただ感覚で演じるのではなく全てを計算で演じている、全ての行動に理由がなくてはならない」と教えて頂きました。また、この他にも幾つか質問させて頂いたのですが休憩中にも関わらず平塚さんと江田由紀浩さんが丁寧に答えて下さり、励ましのお言葉まで頂けて、お二人の演劇に対する熱意と心の温かさを感じました。本当に感謝しています。
今回このような貴重な経験をさせて頂き、短い時間ではありましたが沢山のことを学ぶことができ、本当に参加して良かったです。演劇の魅力を再発見出来ましたし、もっと沢山の人に演劇を楽しんでもらいたいと思いました。完成した作品を観られるのが待ち遠しいです!
今回『12人の怒れる男』の稽古を間近で見て、私は胸が躍りました。日が照り暑い中、それに負けぬ熱さを持って取り組む皆さんは、最高に格好良かったです。
初めは「舞台上で会話をする」ことや、右脳と左脳を活用することを楽しく学ぶミニワークショップ、そしてその後稽古が始まりました。
笑顔が溢れていたワークショップから一変、物々しくぴりぴりとした『12人の怒れる男』の空気になった稽古。12人という人数が出ずっぱりの舞台を、冷静に、楽しそうに見極める演出の納谷さん。その納谷さんの提案や指摘に素早く答える役者さんたち。そして歩き方やマイムの動きを休憩時間にも繰り返し練習する姿。これらを通して一層感じたのは、皆さんそれぞれが「この劇を作る」ということへの強い想いを持っていることです。稽古を見ていくうちにその思いが垣間見えて、私はさらに心を掴まれました。
高校生最後の夏、素晴らしい場に立ち会えて本当に良かったです。私やっぱり演劇が好きだな、と思いました。公演がとっても楽しみです!
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