ついに開幕直前となりました、4月27日から始まる札幌若手演劇フェス「遊戯祭17」。
遊戯祭実行委員会のTwitterではPATOS企画の稽古の様子や、衣装小道具フリーマーケットなど様々なお知らせが掲載されていますので、ぜひ覗いてみてください。
今回取材したのは、コンカリーニョで上演予定の「20m2の胞」の稽古の様子です。学生サークルならではの稽古の様子を、写真を中心に演出家・出演者・脚本家のインタビューを交えてお届けします。
「デザイン×演劇」
札幌市立大学の演劇サークルであるデンコラは、「デザイン×演劇」をコンセプトに、様々な分野の表現を取り入れています。
今回の稽古でも、ピアノの音に合わせながら役者が体を波打つように動かす場面などが見られました。
上の写真は役者二人がぐるぐると回りながら追いかけっこをするシーンですが、演出のむらかみさんの指示もあり「ただ回る」動きから「視線を外さずに回る」というように、細かな表現の仕方が決められていきます。
話し合いを重ねて
演出のむらかみさんを始め、脚本の徳永さんも稽古に加わりながら、舞台装置の配置や役者の細かい動きのタイミングについて話し合いを重ねます。
脚本についての訂正があれば、その場でパソコンを使って直していきます。
役者が実際に演じてみて感じたこと、演出家が表したいこと、脚本家が大事にしたいことのすり合わせが行われました。
インタビュー
今回は、演出のむらかみなおさん、秋山りなさん、脚本の徳永萌さんに個別にインタビューを行いました。インタビュアーはd-SAPメンバーの二瓶ひかるさんです。
むらかみなおさん
稽古中にハプニングが起こったことはありますか。
むらかみなおさん(以下、むらかみ):ハプニングというか、参加団体の中で唯一のサークルなので新入生歓迎会と遊戯祭の稽古を同時に進めないといけないっていうのが今起こってる事件ですね…。一応無事に終わったんですけど。あと私が別の舞台(きっとろんどん「発光体」)に出たり、秋山さんも別のところ(劇団・木製ボイジャー14号「チャブダイ、カニ、ダンス、プリーズ」)に出てたので、ただでさえ人が少ないのにあんまり揃わないっていうハプニングはありました。
稽古を通して、役者や劇の雰囲気に大きな変化はありましたか。
むらかみ:脚本がすごい変わりましたね。もう第十二稿なんですけど、稽古進めながら脚本家の考えをどんどん重ねていくので…。でもその分深く考えられた、計算された台本ができあがっています。でもまだ書きかえ続けられると思います。
おすすめの役者さんはいますか。
むらかみ:踊れる人が多いんですよね。宮森さんも踊るし、秋山りなは元バレリーナなんですよ。演劇ってもちろんセリフだけじゃないと思うので、身体表現にも挑戦できるキャストがいるっていうのが強みかなと思います。あとピアノ弾ける人ですね。ピアノの音がセリフになっているシーンみたいなのもあって、ただの会話劇じゃないことに挑戦したいなあと思ってます。
秋山りなさん
稽古する上で大変なことは何ですか。
秋山りなさん(以下、秋山):箱の中にうずくまってるシーンがあるんですけど、ひたすらに自分の足が臭いことですね(笑)いかに自分の足をいい匂いにできるかっていう(笑)あとはずっと箱の中にいたのが、箱から出てすぐに踊らなくちゃいけないんですよ。体バッキバキです。
劇の見どころを教えてください。
秋山:ピアノですかね。今のところ、場転が実際にピアノの音が鳴りながら行われるので、そこが魅力です。
徳永萌さん
この脚本は初めから遊戯祭に向けて書かれたものですか。
徳永萌さん(以下、徳永):「こういうのをやってみたいなあ」っていう構想はかなり前からありました。ただ、形にするかどうかって言われると多分しなかっただろうなあっていうものでした。でも今回「やってみない?」ってなおちゃんが言ってくれたんですよね。この台本書いたときは「役者がいないなあ」と思いながら書いてたんです。「この役書いてみたいけどやる人がうちのサークルにいないな」って思ってたような役が、1年経って新入生が入ってきたことで「あ、この子いけるな」っていうことがあって結構嬉しくなって書きました。
どのような時に脚本を書き換えるのですか。
徳永:稽古見てみて「こっちの方がいいな」って思って変えることもあるし、役者さんに実際に喋ってもらったら気持ち悪かったりとか、「ちょっとこれはいきすぎかな」とか「寒くないかな」と思って変える時もあります。あとは単純に量が足りないんですよね。最初に書き終わったときはもっと少なくて、今はどんどん増やしていかないと、と思ってます。その分良い方に変わっているとは思うんですけど、稽古に時間がかかってしまうことに関しては役者と演出にごめんなさいって感じです(笑)でも普段あまり脚本を書かないのと、周りの脚本家の方がどれくらい変えてるのかわからないから、どの程度変わるのが普通かもいまいちよくわかってなくて…。ただ遊戯祭に参加する他の脚本家のお二人と対談させてもらった時に「もうほとんどストレートで出してます」っていう話を聞いて、ひえっと思いました。
劇の見どころを教えてください。
徳永:私がやらせたい役を役者にバーンと当てているので「うちの役者はこんなにいいんですよ」っていうのを伝えたいです。あとは、絶対こんなのありえないだろっていうぶっとんだ設定だったり内容だったりするようで、実は根底には「みんな思ったことあるんじゃないの?」っていうものがあるので、そこをわかってもらえたら嬉しいなと思います。
ありがとうございました。
公演詳細
タイトル | 20m2の胞 |
演 出 | むらかみなお(デンコラ) |
脚 本 | 徳永萌(デンコラ) 台本ちらっとのぞき見 |
出 演 | むらかみなお、秋山りな、古川侑三郎、小椋翔貴、ナカムラサキ、高橋清伽(以上、デンコラ)、宮森峻也 |
あらすじ | わたしたちは、同胞を欲しがる。わたしは小さな部屋の中で、眠り起きそして、あの子の醜悪さを思う。すぐ下の部屋では誰かが、眠り起きそして、自らのシチューを拵える。部屋は胞。胞の数だけ思惑があり、それは理解に及ばない。それでもまったく確かなことは、わたしたちは孤独のままでは生きていけないということ。 |
モチーフ | 『二十億光年の孤独』 |
会 場 | 生活支援型文化施設コンカリーニョ |
日 時 | 4月29日(土)11:00 4月30日(土)15:30 5月1日(月)20:00 |