4月27日から5月2日までの6日間開催される、札幌の若手演劇人による演劇フェス「遊戯祭」が今年も始まります。
今年のテーマである「谷川俊太郎」をモチーフとした演劇を、3作品コンカリーニョで上演。その裏ではことにパトスで30時間企画と題して、様々な劇団・ミュージシャン・パフォーマーたちの企画を楽しむことができます。
今年の春も、琴似のまちが演劇に染まる!
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今回は遊戯祭に出場される3作品の、それぞれの演出家の方々に対談形式で作品の魅力を語っていただけました。どの作品を観に行くか、ぜひ参考にしてください。
谷川俊太郎との出会い
前田透(劇団・木製ボイジャー14号)(以下、前田):谷川俊太郎との出会いっていつ?
むらかみなお(デンコラ)(以下、むらかみ):会ったことあるんですよ、実は。
二人:えー!!
むらかみ:私の高校の校歌の作詞をされたのが、谷川俊太郎だったんです。ちょうど私が1年生のときに高校創立50周年で、その記念に学校を訪れていただきました。オシャレなおじさんって感じでしたね。
前田:俺は大学の校歌の作曲が谷川俊太郎だった。作曲が息子さん?だったのかな。 でも、最初に読んだのは教科書じゃない?
畠山由貴(劇団パーソンズ)(以下、畠山):そうだねー。絶対なんかで読んでいるとは思うんだけど、覚えていないなあ。小学校・中学校くらいに初めて触れたはずなんですけど、作品名は思い出せない。 でも調べていくと、「実はこれも谷川俊太郎の作品だった」っていう発見があって。「ハウルの動く城」のエンディングテーマも彼の作詞なんだそうです。ちょうど台本上がる2日前くらいにハウル観ていたのに、台本読んで初めて知って「観たじゃん!あれそうだったんだ!」ってなりました笑。実は結構身近に谷川作品はあるんだなって衝撃でした。
前田:谷川俊太郎は「ポエム」を作る人って感じがします。「詩」「文学作品」っていうかたいものを、ポップな感じにさせた。そこにものすごく才能を感じます。そういう、やわらかくて馴染みやすいポエムを(Twitterとかで書いている人もいるけど)生み出した、原点が彼なんじゃないかと思う。そういう意味では、演劇を作る演出家として、「原点としての谷川俊太郎」と出会ったのは、今回の遊戯祭が初めてでしたね。
畠山:遊戯祭に出会わせてもらった感じだよね。
前田:偉人だなって思う。
今回の座組の特徴
むらかみ:デンコラは唯一大学の演劇サークルです。色々なサークルを掛け持ちしている人も多いので、そういうのは強みかな、ダンスサークルの人や映像作る人たちと一緒に演劇が作れるので。そもそもデザイン学部でもあるし。
畠山:みんな綺麗でかっこいいよね。
前田:アートに対する思いがあるのかな。
むらかみ:デザインとアートって実はちょっと違っていて、そこを普段から考えている人は多いですね。芸術とパフォーマンスのバランスとかもよく考えています。 他のお二人は、コラボレーションですよね。
前田:うん。でも初めましての人は実は少ないんです。なんとなく顔見知りだけど、一緒にやったことがないって人が多いですね。まさに、化学反応って感じです、新しいものが生まれそうな。その中に加えて、役者じゃない方にも参加してもらっています。僕のイチオシ、パッション。彼はただの友だち! 他に 安田せひろ と 小川沙織 は独特な雰囲気を持った二人です。この二人の兼ね合いが最高。キャスティングのときニヤニヤしちゃう。
畠山:すごくいいね。私は初めましての人がけっこういる。脚本家の白鳥くんのイメージにそうように色んな方面から集まっていただきました。年齢層も広くて18歳から40近くの方まで。すごくみんな真摯に取り組んでいます、稽古場も和気藹々としていてすごく良い雰囲気。「自分が出たい」って思いよりも「作品をどう立ち上げるか」を考えてくれる役者が多いです。良い反応が起きていて、すごく良いです。
前田:デンコラは他の大学のサークルの中で、どういう存在なの?
むらかみ:立ち上げた松崎修さんがひねくれ者だったんです笑。「演劇演劇!」って感じじゃなくて、斜めからというか、色々なジャンルを組み合わせてみたり、面白いことに挑戦する方でした。その意思を引き継いでいるのか、根つめて演劇やるぞ!って感じよりも、色々な楽しいこと、面白いことをゆるくやっています。 おすすめキャストは 秋山りな です。
前田:出た、トンデモやろう!笑(秋山りなさんは、木製ボイジャー14号の作品にも出演経験あり)
むらかみ:彼女はフランスでダンスをやっていた子なんです。多才で、ピアノ弾いてもらったりとか。
畠山:そっち(前田に)も演奏がありますよね。
前田:はい、僕がベース弾きますからね。
畠山:演出家が演奏するんだ笑。
前田:他にも、遠藤洋平くんにギターで参戦してもらいます。バンドも見どころのひとつです。 あ、僕のおすすめの役者はパッション。
畠山:私のところは、うーん、みんなイチオシです。あえてあげるとすれば、yhsの曽我さんかな。主演をしていただくんだけど、75分の芝居の中で72分くらい出てる。すごく素敵です。
それぞれの作品と比較して
前田:畠山さんは器用にみんなにフるよね。
畠山:私はね、不器用なんですけど、役者に対する愛が重いから…笑。自分で脚本書くときは、その作品を通して次につながってほしいって思うから、損な役回りの人をあんまり使いたくないんです。お二人とも「演出家」だと思うんです。でも私は奇をてらったことはできなくて、「役者がいかに舞台上で存在していられるか」を考えています。「役者がその役として生きている」っていう環境をつくるのが私の仕事だと思っています。 透くんも役者好きだよね。
前田:僕は役者出身だからね。
畠山:ボイジャーのみんな、ボイジャーの作品が好きなんだなって感じする。すごく作品が愛されている。エネルギッシュでパワーがある。
むらかみ:勝手なイメージなんですけど、ボイジャーさんは、「缶蹴りしよーぜ!」って言ってみんなでぐわっと缶蹴りに夢中になる感じ。
前田:その缶蹴りをどう面白くするかを考えるね。「ネオ・缶蹴り」を生み出そうとする。
畠山:どんな話ですかって聞かれたら「一人の女性の成長物語」です。周りの環境や人間たちの中で、逃げるのか、向き合うのか、どちらかの道に選択する女性のお話です。ストレートなプレイでお客さんが楽しんでいただけるようなお芝居を作ります。頑張ります。
むらかみ:私たちの作品はモチーフが「二十億光年の孤独」という詩なんですけど、自分の持っている気持ち悪い部分とどう向き合うかがテーマになっています。ぜひ、お楽しみに。
1991年8月9日生まれ。AB型。
劇団・木製ボイジャー14号の代表。演出家/俳優(お休み気味)。生まれも育ちも拠点も北海道札幌市。
劇作家の産み落とした言葉と俳優個々のマンパワーを剥き出しにするための分析と実験を日々繰り返すことで、解放感の高い劇空間を創り出していく。また、個性豊かなチーム作りに定評がある。
1990年3月14日生まれ。魚座。B型。
札幌で活動する劇団パーソンズの代表。作・演出担当。近年は自分の劇団外での演出も手掛ける。過去に遊戯祭15に参加している。
1996年6月13日生まれ。O型。
こどもの劇場やまびこ座遊劇舎で少年期をすごし、高校では演劇部の部長をつとめた。札幌市立大学デザイン学部に入学後は、デンコラの4代目代表に就任。主に学生界隈での出演の他に、演出、脚本、フライヤーデザインも手がけている。