プロとして生き残るために —ELEVEN NINS新人公演

先日終演したELEVEN NINES「イージー・ライアー2017」(2月8日-12日@BLOCH)。新人公演といえどもほぼ全てのステージで満席で、総動員数は700人を超えました。

その大成功の背景には、血と汗と涙の猛稽古があったそうです。

今回はその新人たちの知られざる努力の一部を紹介します。

新人オーディション

2016年7月、ELEVEN NINES結成以来はじめての俳優オーディションを開催。

平均年齢はそれまで35歳だったところ、新人の加入で29歳となり、人数も7人増え18人となりました。

うち5人は2016年10月に上演されたミトモエワッカ「てこちゃん 書く語りき」で初出演。物語を動かす重要な役としての出演は今回の「イージー・ライアー2017」が初めてでした。

正式なメンバーとして加入したのは以下の7人。

・梅原 たくと
・小栗 太良
・坂田 亜里紗
・髙岡 諒一
・宮田 桃伽
・坂口 紅羽
・城田 笑美

上記7人の他にも準メンバーとして出演したのが、5名いました。可能性あふれる新人たちに、代表・演出の納谷真大氏による愛の鞭の音が稽古場に響くことになります…。

血と涙の稽古

新人たちの稽古の中での一大イベントは稽古合宿。

1月10日から5日間、あさひサンライズホール(士別市)にて開催されたこの合宿は、睡眠と食事以外は全て稽古に費やすという、一見楽しそうにも見えますが非常に過酷なものでした。

 

食事ももちろん自分たちで作ります。

 

とにかく稽古稽古稽古。お客さんに楽しんでもらえるように、面白いお芝居をつくるためにひたすらに稽古を重ねます。

札幌に帰り、本番が近くなるにつれて稽古の激しさも増していきます。公演後アフタートークによると午前4時まで稽古があったんだとか。演出は非常に厳しかったみたいで、文字におこせないような叱責が稽古場に響き渡ります。

すべてはお客さんのため。

イージー・ライアー2017

そして迎えた2月8日、9日、10日。各チームの初日です。先輩たちの宣伝もあってかほぼ満席の中で本番を迎えました。

私はBチームとCチームを観劇しましたが、同じ名前の役でも演じる役者によってキャラクターが違い、それによって人物の関係性や観劇後の後味まで変わってきます、意図的でしょう。特にCチームのレイコ役の宮田桃伽さんは、キレのある動きと、観客を裏切るような台詞(良い意味で)の数々に、大きな説得力があり、会場を沸かしていました。

レイコの元彼のトキオ役、Bチームの菊池さんとCチームの大作さんは演技の方向性がまるで違うにもかかわらず、どちらも「成立」しており、演出の重要性を再確認しました。大作さんは16歳なんだそう。これからの活躍に期待が高まります。

ドタバタコメディの中で圧倒的な存在感を示すのは、佐伯役の納谷さんとその妻役のお二人(澤田さんと福士さん)。彼らの登場で、新人たちは本当に恐れているような目に変わり、体を張って楽しませていただきました。

Twitterでもたくさんの感想が流れていました。

数々の試練を乗り越えて、舞台に立つという過酷さとプロ意識を感じました。

演出の納谷氏はアフタートークで「お客さんからお金を取っている以上、楽しませなくてはいけない。それは新人もベテランも関係なく、面白い芝居を作るためには血を吐いてでも稽古するべきだ。それがプロとしてやっていくということだ」と仰っていました。

今後の活動

ELEVEN NINES としての今後の活動ラインナップが折り込まれていました。

まずは4月19日ー23日@BLOCHで「分泌指南 vol.2」。昨年行われたvol.1では札幌の人気俳優たちをこれでもかというほど集め、お祭り騒ぎの短編演劇盛りだくさんでした。今回は脚本提供として、白鳥雄介さん、熊谷嶺さんを迎えパワーアップしてやってきます。

そして8月12日ー19日@かでる2・7で札幌演劇シーズン参加の「あっちこっち佐藤さん」。演劇シーズンレパートリー作品として500席のホールでやります。この夏、腹筋崩壊のドコメディが札幌で観られます。乞うご期待。

11月はまだ未定な情報が多いですが、サンピアザ劇場で公演するそうです。こちらはTGRに参加か。

そして2018年冬には「サクラダファミリー」を演劇シーズンで上演。家族の崩壊を描いたイレブンナイン代表作を再演します。

 

新人も増え、ますます活発になっていくELEVEN NINES。彼らのプロ意識は並大抵のものではありません。これからもクオリティの高いお芝居を期待しています。

新人のみなさん、おつかれさまでした!