ダンスカンパニーKIKIKIKIKIKI『MUSUME-Dojoji』/『lonely woman{tane}』主催きたまりに聞く

KIKIKIKIKIKIによるお持ち込み記事です

2022年11月15〜16日にコンカリーニョで上演される、ダンス公演『MUSUME-Dojoji』/『lonely woman{tane}』。両作品共に北海道初上演、主催のきたまりさん(ダンスカンパニーKIKIKIKIKIKI)としても札幌での初公演です。

KIKIKIKIKIKI主宰のきたまりさんに、公演についてお話を伺いました。

京都から札幌に大移動

ー 札幌に引っ越されてきて、いかがですか?

きたまり (笑)。今年の夏、2022年の7月に20年住んだ京都から札幌に越してきたんですが、食べ物は美味しいし、自然豊かだし、快適に生きてます。まだ、夏と秋しか知らないので、自然の厳しさを感じるであろう冬が楽しみで。

母が道産子だったので、北海道の季節が変わる時期の自然の美しさは小さいころから耳にしていたんですが、本当にきれいだなと。

ー ちなみになんで引っ越そうと思ったんですか?

きたまり 理由は沢山あるんですが、去年の11月にダンスの現場で13年ぶりに札幌にきたら、なんか街なのに山みたいな天候の変化なのが驚いて。京都に住んでると、日本で生きてる感覚が強くなるんですけど、北海道は地球で生きてる感覚になるなと思ったのが、体感的なきっかけですかね。

あと、地方都市で舞台芸術の活動を続けるって大変なんだけど、自分のペースで作品を作れる豊かさとか、自ら場やコミュニティを作っていける面白さはあるじゃないですか。でも同時に、息苦しさも感じることも少なからずある。その上、コロナ禍の制限もあったから、思考回路が狭まっている感がして、気分転換もかねて大移動した感じです。

ー 夏に札幌きて、もう主催公演。早いですよね。

きたまり 私はダンス作品をつくる人なんですよね。ダンスを教える人でなくて、つくる人なので、劇場が必要なんです。で、引っ越してきた翌週くらいに、札幌で踊ったことある劇場がコンカリーニョなので、「いつ空いてますか?」って聞いて、そこからトントントンって感じで。

劇場以外で作品をつくるのも、みせるのも好きなんですが、まずは劇場で顔見せ的な公演打たないといけないなっていう姿勢ですね。あと北海道は面白いアーティストや人の宝庫だと感じるので、いろんな人と出会いたい気持ちもあります。長年住んだ京都を離れ、北海道という新たな土地で生活をはじめたからには、これまで出会ってきたコトと、これから出会っていくコトを繋げるようなことをできたらなと考えて上演プログラムを考えました。

使用写真:2019年木ノ下歌舞伎舞踊公演『娘道成寺』より PHOTO:YOSHIKAZU INOUE 提供:京都造形芸術大学 舞台芸術研究センター

古典演目への挑戦『MUSUME-Dojoji』

ー 今回は2作品の上演ですが、まず『MUSUME-Dojoji』という演目について教えて下さい。

きたまり 『MUSUME-Dojoji』は、元々2008年に現代における歌舞伎演目上演の可能性を発信する団体・木ノ下歌舞伎から声がかかり、創作したソロダンスです。

初演以後、木ノ下歌舞伎と二人三脚で10年以上にわたり幾度も上演してきた大切な作品なのですが、コロナ禍の最中にダンスショーケースでの上演依頼があり「娘道成寺をもっとフットワーク軽くいろんなところで上演したい」と木ノ下歌舞伎に相談し、2022年に横浜とソウルでの上演を機に“木ノ下歌舞伎版”『娘道成寺』の独立派生形である“きたまり版”『MUSUME-Dojoji』としたのが、今回の演目です。

『娘道成寺』同様に、きたまり演出・振付・出演のソロダンス作品ですが、随所に異なる部分があり、常に変化を受け入れ攻めの姿勢で挑戦しつづけるのが『MUSUME-Dojoji』ですね。

ー 『MUSUME-Dojoji』の見所等があればお聞かせ下さい。

きたまり 歌舞伎舞踊「京鹿子娘道成寺」の長唄を使ってるので、詞章を予習してると楽しみ方が倍増するかも知れません。もちろん知らなくても大丈夫です。けど、振りの裏付けになる言葉があることを知っているとダンスを見慣れていない観客の方にとっては観劇の安心材料かもですね。

『MUSUME-Dojoji』は丹精こめて作ってきた振付が細かいがゆえに、気を緩めずに全力でしか踊れない作品なので、刻一刻と変化する身体のありようを味わっていただければと思っています。

あと、古典演目を題材にする時にいつも古典と現代の違いってなんだろう?と、思います。たかだか数百年で人間の所業がそれほど変わっている気がしなくて、昔の人も今の人も、小さなことで悩みもがき、喜びうかれ、沢山の言葉にならぬ想いを抱えながら生きていて、そんな人生の中にある人間の美しさや醜さを詰め込んだのが『MUSUME-Dojoji』です。

使用写真:2019年木ノ下歌舞伎舞踊公演『娘道成寺』より PHOTO:YOSHIKAZU INOUE 提供:京都造形芸術大学 舞台芸術研究センター

ダンスを問うことからはじまる『lonely woman{tane}』

ー では、次に『lonely woman{tane}』について教えてください。

きたまり 2016年に他界された、黒沢美香という舞踊家がいます。コンテンポラリーダンス界のゴットマザーと称され、横浜を拠点に活動していた方です。『lonely woman』自体は、1991年から上演されてきた彼女の作品です。

これまでは黒沢美香立会いのもとで上演が行われてきたんですが、それはもう不可能なので、コンセプトをそのままに、どうやって上演するかを黒沢美香アーカイブズの方々にご相談させていただきながら、あらたな試み精神で{tane}バージョンとしています。黒沢美香伝説のダンスプロジェクト「偶然の果実」で生みおとされた(種)であり、物事の原因や仕掛けの(たね)であり、アイヌ語で【今】という意味らしい(tane)です。

あと、他界した舞踊家の作品を上演してつなげていく試みでもあるので{tane}というサブタイトルをつけることで、はじまりの意味合いもあります。道内外の様々なアーティストと盛大に挑む『lonely woman{tane}』として上演します。

ー コンセプトはどういうものですか?

きたまり 大きくいうと、これですね。このスコアの中で3人ずつ数組のダンサーが交代で舞台に上がり、横1列に並び30分間のダンスを行います。30分の時間は“ヒト時計”の登場によって知らされ、時間を知らされたダンサーは次のダンサーに交代する仕組みです。

SCORE

ルール
ダンサーは立ったその場所を動いてはならない。

地図
横に並んだトリオでダンスする。・・・空間位共同態
交代する縦のデュエットでダンスする。・・・時間位共同態

手続き
1. ダンサー3人は、前を向いて横一列に並んで立つ。
2. ダンサー各自は、それぞれ<開始時>に正面向き直立の瞬間を経過する。
3. 開始後30分間は【ルール】と【地図】の範囲内でなんでもできる。
4. 30分経過時点では、次の3人と交代が成立しているべきである。

使用写真:2013年Dance Fanfare Kyoto vol.1「lonely woman」より Photo:Yujiro Sagami

ー 出演者にダンサーじゃない人も沢山がいますね

きたまり そう!そこがこの作品のポイントです。黒沢美香の言葉を借りると、

「lonely woman」はそれまでのダンスに意義を唱えるところから始まっています。動かなくてもダンス、回転しなくても足を上げなくてもいい。柔軟でない人も、やったことない人もダンスする。<すでに体が満ちて膨らんでいる。これ以上なにをすることがある。立っているだけで充分だ。>が前提です。ダンスとはなにか、ダンサーとは誰のことなのか思考形式をひっくり返してくれるところが見所です。

とのことです。この言葉を受け止めて、出演者のキャスティングをしました。

そもそもダンスとはなんだ?という問いを内包しながら、その問いかけに向かってもらえそうなダンサー、あと私自身が拝見して、表現の感覚にダンスを感じる音楽家やアーティストを出演者に迎えています。

ダンスを感じるってなんだ?って話なんですが、私の感覚だと、特有の表現を作りだしている、だそうとしている表現者の【今】の身体ということです。

ー 出演順は決まっているんですか?即興なんですよね?

きたまり 出演順は本番ギリギリに変更があるかもですが、こんな感じで考えてます。

A/岩本伊織ー羊屋白玉ー茂呂剛伸
B/河野千晶ーやまみちやえークリタチカコ
C/マユンキキーYoshinori Kikuzawaーきたまり
ヒト時計/Total Knock Out Orchestra Pickup

即興かどうかは、即興の定義次第ですが、リハーサルなし/本番のみ、という意味では即興です。もしやることを考えてきても他者と共に30分その場で立つ中で、即興は必然的にあらわれます。

私自身も出演者としてドキドキしますが、何が起こるかわからない90分、楽しみです!

使用写真:2013年Dance Fanfare Kyoto vol.1「lonely woman」より Photo:Yujiro Sagami

ー 最後に、この記事を読んでいる方へメッセージをお願いします。

きたまり そもそもダンスって習い事や祭事で、踊る文化として成り立ってきたものだから、ダンス作品を見る鑑賞文化というのは、あまり親しまれてないんじゃないかと思います。ダンス作品はわからないと捉える人も少なくないと思うんですが、そんな喰わず嫌いをせずに、ぜひ拝見してほしいなと。

『MUSUME-Dojoji』の振付の背後には言葉と物語、『lonely woman{tane}』の出演者には、同時代を生きる等身大の身体があります。表現をする側も、見る側も五感を澄まさないといけない瞬間が劇場に立ち上がると思うのですが、実はそういう時間って生きる上で、とても大切だと思います。

考えずに、感じる。なにを感じるかは多様でいい。そんな前提で、ご興味持った方はぜひ足を運んで欲しいです。充実の時間を全力でお届けします!

公演情報

ダンスカンパニーKIKIKIKIKIKI
『MUSUME-Dojoji』/『lonely woman{tane}』

日本の古典芸能・歌舞伎舞踊屈指ともいわれる大曲「娘道成寺」を現代的な身体感覚で大胆に踊る『MUSUME-Dojoji』。”立ったその場を動いてはならない”という制約の中、3人ずつ数組が横1列に並び交代で30分間のダンスを繰り返す伝説のダンス作品『lonely woman {tane}』。両作品共に北海道初上演!

文化庁「ARTS for the future!2」補助対象事業
協力:さっぽろアートステージ2022実行委員会、札幌劇場連絡会
主催:ダンスカンパニーKIKIKIKIKIKI

演目・日時

『MUSUME-Dojoji』
2022年11月15日(火)19:00/16日(水)14:00
振付・演出・出演:きたまり
共同制作:木ノ下歌舞伎

『lonely woman{tane}』
2022年11月16日(水)18:30
コンセプト:黒沢美香
ディレクション:きたまり
出演:岩本伊織、クリタチカコ、河野千晶、羊屋白玉、マユンキキ、茂呂剛伸、やまみちやえ、Yoshinori Kikuzawa、きたまり、Total Knock Out Orchestra Pickup

会場

生活支援型文化施設コンカリーニョ
札幌市西区八軒1条西1丁目ザ・タワープレイス1F(JR琴似駅直結)
Tel.011-615-4859 https://concarino.or.jp/

アクセス
▼新千歳空港駅より 「快速エアポート」手稲・小樽方面行き『琴似駅』下車。駅直結連絡通路ご利用にて徒歩3分。
▼札幌駅より 小樽、手稲方面(普通または快速)『琴似駅』下車。駅直結連絡通路ご利用にて徒歩3分。
▼地下鉄『琴似駅』より 東西線『琴似駅』下車。JR駅『琴似駅』方面へ徒歩12分。

チケット

【一般】前売3,500円、当日3,800円
【2演目セット券】(前売のみ)6,000円
【ユース(25歳以下)】前売2,500円、当日2,800円
【高校生以下】前売・当日共に1,000円(未就学児の入場はご遠慮ください)

チケット予約
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ki6dance@gmail.com