2020年5月に実施された「新型コロナウイルス感染長期化に対峙する札幌の文化芸術関係者の活動再開の道を探るアンケート調査 第1章 影響と損失」の結果報告書・速報版が公開されました。
アンケート調査について
札幌で活動するすべての演劇人の皆様へ【アンケート回答のお願い】
演劇だけで食べていける人がどのくらいいるのか、いま一番求められている支援は何かなど、札幌演劇の現状が数値として明らかになった本調査。
このページでは、アンケート結果の要約や報告書の内容、特に演劇に深く関係のある結果について紹介します。
当記事に用いられている報告書の画像は、「札幌の文化芸術活動のいまとこれからのための調査プロジェクト」のFacebookページに掲載されていたものです。画像ファイルであるため小さな文字が見づらくなっていますことをご了承ください。なお、記事の下の方に報告書全文をダウンロードできるページのリンクを掲載しています。
アンケート結果の要約
報告書には、はじめに調査結果の要約がまとめられています。
札幌の演劇分野の現状
札幌演劇人の人数
「演劇」分野で活動していると回答した人は、個人対象アンケートにおいて、全体923回答のうち23%、人数にして213人。団体・事業所対象アンケートにおいて、全体308回答のうち13%、団体数にして39団体です。
福岡で行われた同趣旨のアンケートでは、「演劇」は、個人対象アンケートで全体645回答のうち22%(142人)であったため、札幌の演劇人は比較的多いということができます。
演劇が生活の収入源となっている人の割合
文化芸術活動者のうち、活動の収入のみで生活している人は28%(263人)。文化芸術活動の収入の一部を生活の収入源にしている人も28%(263人)です。
一方、「演劇」分野に注目してみると、213人中、演劇の収入のみで生活している人は9%(19人)、演劇活動を収入源としていないが50%(106人)になります。
「音楽」や「美術」、「舞踊」、「メディア芸術」、「デザイン・建築・ファッション」などの他の分野は、活動の収入のみで生活している人が約30%います。「文化芸術活動で食べていけるのはほんの一握りの人だけ」とよく耳にしますが、実際は「演劇」が特別「食べていきづらい」分野であることがわかります。
演劇創造都市札幌プロジェクトでは、100人の演劇人が食べていける街を目指していますが、現状はその5分の1にも満たない状況です。
この現状を打破するためにはどうしたら良いか、動員数を増やすことのみが解決の道か、はたまたこの状態を「解決」する必要はあるのかどうか。みなさんはこの数字をどのように捉えるでしょうか。
公演の延期・中止による影響
「公演の延期・中止があった」と回答した人は全体で91%、およそ840人です。
それによる収入の損失額は、個人では合計約3億4000万円、平均約62万円。団体では合計約7億3000万円、平均約586万円です。
困っていること
個人アンケートでは、「創作発表の機会が失われたこと」が65%、「活動再開の判断が難しいこと」が56%、「稽古が準備ができないこと」が50%でした。
分野との関係をみると、「音楽、演劇、舞踊」などの上演芸術は、「準備や稽古ができないこと」「機会が失われたこと」「意欲が湧かないこと」が特に高い割合を占めています。
団体・事業所対象アンケートになると、「事業・施設の再開に関して阪大ができないこと」が59%、「公演、展覧会、イベント等の中止や延期により損失が発生したこと」が52%と高い結果となりました。
最も必要としている支援
最も必要としている支援は、「延期・中止による損失分の支援」が最も高く39%、次いで「再開や新規事業展開に向けた支援」が23%となりました。
札幌市独自の支援として、無観客公演の動画配信への支援「さっぽろアートライブ」がありますが、「映画」を除けば、「オンラインによる動画配信や無観客上演などの支援」を必要としている人は1割に満たない結果となりました。
「演劇」に注目してみると、「延期・中止による損失分の支援」が40%、「再開や新規事業展開に向けた支援」が17%です。
団体・事業所対象アンケートをみても、「再開や新規事業展開に向けた支援」が33%、「延期・中止による損失分の支援」が31%と高く、オンライン関係の支援については1%以下という結果になりました。
アンケート結果は以下のページより閲覧・ダウンロードできます。
参考
札幌の文化芸術活動のいまとこれからのための調査プロジェクトfacebook
参考
アンケート調査 報告書公開天神山アートスタジオ
これからの札幌の文化芸術を考える上で重要な基礎資料となります。ぜひご一読くださいませ。
また、報告書は今後提言版としてさらにブラッシュアップしてまとめられていき、アンケートは今後も第2章、3章と続いていく予定です。
札幌の文化芸術を守るためにも、みなさまのご協力をよろしくお願いいたします。