生きるために必要なことって?|子ども演劇ワークショップ発表公演『ハックルベリーフィンみたくなりたくて』

2020年1月9日に、教育文化会館小ホールにて、教育文化会館が主催する子ども演劇ワークショップの発表公演「ハックルベリーフィンみたくなりたくて」が行われます。

マーク・トウェインの名作『ハックルベリー・フィンの冒険』を原作に、ELEVEN NINESの納谷真大さんと後藤七瀬さんが脚色したオリジナルストーリーです。

納谷真大さんに、作品の魅力や子どもたちとの劇作の面白さについてうかがいました。

生きるために必要なことがたくさん書かれている

ー 今回上演される「ハックルベリーフィンみたくなりたくて」はどのようなお話ですか。あらすじや見どころを教えて下さい。

教文子ども演劇ワークショップの参加者のソラという女の子が劇の演出に選ばれ、入院中の母親のアイデアで、「生きるために必要なことがたくさん書かれている」ハックルベリー・フィンの冒険という物語を題材に、仲間と共に劇を創っていく物語です。

ソラとお母さんとの物語と、皆で劇を創る物語が二重構造のように進んでいきます。劇を創る劇ということで、メタ演劇の形になっています。

 

ー 名作『ハックルベリー・フィンの冒険』を原作とした脚本を上演しようと思ったきっかけは何でしたか。

マーク・トウェインの作品の中に『トムソーヤの冒険』という表街道の作品があって。それに対して裏街道を行っている作品が『ハックルベリー・フィンの冒険』という感覚なんですが、僕はどちらかというと『ハックルベリー・フィンの冒険』の方が好きなんですよね。

子どもたちで劇を創るとどうしても綺麗事というか、表層だけをなぞった劇になってしまうような気がするのが嫌で。

話の中に奴隷が出てきたり、人を殺すって言葉が出てきたり、嘘を平気でついたり。生きるためには醜いこともいっぱい経験せねばならない。

子どもだからまだ知らなくていいと蓋をしていくことが多いと思うんだけど、蓋をせずにそういったことを最初に子どもたちに教えていく大人になりたかったのかな。

『ハックルベリー・フィンの冒険』をやるとなると、どうしても子どもたちと「人を殺す」やら「奴隷」やらの話をしなければならないし、それがどういうことかっていうのも、モノを創るからには一緒に考えなければならない時間ができるから、子どもの劇としてはとても良いんじゃないかなと思いました。

作品に奉仕することに向き合う

ー 普段の稽古・作品づくりと、子ども演劇ワークショップでの稽古・作品づくりとの違いを感じることは何ですか。

何が1番大きく違うかっていうと、普段イレブンナインの稽古だと2、3時間くらいは休憩取らずにやってて「あ、休憩取ってなかったな」みたいなこともあるんですけど、子どもたちとの稽古だとこまめに休憩時間を取らなくちゃならないってことですよね。

あとは土日を中心に稽古をしていると、昼休憩のあとは稽古にならないですね。

だいたいみんな眠そうだし。そういう意味では子どもと劇をつくるときは、短期集中で効率よく稽古してあげなくちゃいけないんだけど、どうしても長時間の稽古になってしまうのが難しかったですね。

 

ー 子ども演劇ワークショップの意義とは何だと思いますか。参加する子どもたちにとって、このワークショップはどのような場になっていると思いますか。

僕は日本の演劇は欧米に比べて何十年も遅れてると思ってるし、学校で学ぶ最初の演劇体験が間違ってることが日本の演劇を何十年も遅らせてると思ってるので、今回参加者の子どもたちにも「君たちの思ってる演劇は間違ってるで!」「君らがこれまでつくってきた劇みたいなものはたぶん間違ってるケースが多いよ」っていう話をするんですよ。

「セリフをしゃべることが芝居のメインワークになることが学習発表会とかでもあるけど、そうではないんだよ」って事を伝えていくってことが僕個人の意義ですね。

あと、僕が子どもと劇を創る時に必ず言うのは「きっと君たちの思っている演劇の創り方と、僕が思ってる演劇の創り方は違うと思う」と。

でもいろんな創り方があるから、僕と創る時は、これまでの創り方から少し考え方を変えて創ってくださいって言ってるんです。それが彼らにとっての一緒に劇を創ることの意義ですかね。

僕は割と子どもたちにも普通に怒るので、口うるさい奴もいるんだなあってことを経験する場になればいいんじゃないですかね。

劇創作は楽しいけど、一つの作品にみんなが奉仕せねばならないってことだから、彼らはそれぞれ「楽しいことやろう」とか「みんなの前で発表しよう」とか「私が目立つ」とか様々な思いで来てるのかもしれないけど、作品に奉仕するということが、如何に厳しいかっていうことに向き合う場になれば良いですね。

僕は子どもとはいえ、対プロフェッショナルのようにダメ出しもするし、怒るし、そういう意味ではなんかちょっと学校とは違う集団での生活を学んでいるのではないかなとは思いますね。

 

ー 子どもたちの他にELEVEN NINESの俳優も出演されますが、大人の俳優と一緒に作品づくりをするのはどのような意図がありますか。

もともとは子どもたちだけで劇を創るのは大変だから大人も一緒に入って劇を創りやすくするっていうのが事務的な狙いであったのですが、ただ、参加者の子の中には、眼を見張るようなびっくりするような才能があって。

イレブンナインの若手なんかは、子どもが持ってる才能とか子どもの順応力とか子どもの成長度とかは学びになるし、子どもを通して大人も非常に勉強になってるんじゃないかなとは思いますね。

 

ー 最後に、この記事を読んでいる方にメッセージをお願いします。

ワークショップの発表公演という冠はついておりますが、キャスト・スタッフ一同、劇団の旗揚げ公演のような心持ちで、創作に全力を注ぎました。

年明け早々のお忙しい時だとは思いますが、1時間程度の作品ですので、是非、劇場まで足をお運びください!

お待ちしております!

 

公演概要

タイトル子ども演劇ワークショップ発表公演「ハックルベリーフィンみたくなりたくて」
主 催札幌市教育文化会館(札幌市芸術文化財団)
会 場札幌市教育文化会館 小ホール
日 時2020年1月9日(木)
開演19:00(開場18:30)
概 要小・中学生が札幌の実力派劇団ELEVEN NINESとともに、あの名作に挑戦!!

「生きるために必要なことをたくさん教えてくれるお話しだよ。」
お母さんのその一言で、主人公の女の子は、「ハックルベリーフィンの冒険」を劇にすることに決めた、ハックルベリーフィンのようになりたくて!
しかし、いざ劇をつくりはじめると、難しい問題が次々と襲いかかってきた、貧困、差別、奴隷制度・・・。
それでも子どもたちは彼らなりに「ハックルベリーフィンの冒険」に立ち向かい、物語の世界に飛び込んでいくのだった!
子どもたちは、劇をつくるという冒険の果てに、「生きるために必要なこと」を知ることは出来るのか!?
彼らは、ハックルベリーフィンみたくなれるのか!?

主催:札幌市教育文化会館(札幌市芸術文化財団)
後援:札幌市、札幌市教育委員会
助成:文化庁文化芸術振興費補助金(劇場・音楽堂等機能強化推進事業)独立行政法人日本芸術文化振興会
制作:札幌市教育文化会館事業課、ELEVEN NINES、tatt.inc
協力:世田谷パブリックシアター、d-SAP

原 作マーク・トウェイン『ハックルベリー・フィンの冒険』
翻訳:西田実
脚 色納谷真大、後藤七瀬(ELEVEN NINES)
演 出納谷真大(ELEVEN NINES)
演出助手後藤七瀬(ELEVEN NINES)
出 演子ども演劇ワークショップ参加者
梅原たくと、菊地颯平、大作開、宮田桃伽(以上ELEVEN NINES)
チケットチケット絶賛発売中!

【前売一般】1,500円(当日2,000円)
【中学生以下】1,000円(前売当日共通)

チケット取り扱い:
・教文プレイガイド(011-271-3355)※12/29-1/3は年末年始休み
・道新プレイガイド(0570-00-3871)※12/28-1/5は年末年始休み
・札幌市民交流プラザチケットセンター窓口 ※12/29-1/3は年末年始休み
・CoRichチケット予約 https://www.ticket.corich.jp/apply/104432/

※教文ホールメイトは300円引(一般料金のみ、教文PGのみ取扱)
※未就学児をお連れの場合は、必ず当館事業課(011-271-5822)までご連絡ください。
※車いすご利用の方は前日までに教文プレイガイドまでご連絡ください。

Web公式サイト
お問い合わせ札幌市教育文化会館事業課 011-271-5822
※12/29-1/3は年末年始休館