札幌演劇シーズン2019-夏にて、15年間続けてきた一人芝居の集大成「野村大ひとり芝居傑作選」を上演する野村大さん。
真面目で、腰が低くて、演劇が大好きで、お客さんにも演劇人にも愛されている。そんな野村さんのルーツや演劇のことを聞いてみました。
お相手は、高校演劇部時代の先輩であり、ともに札幌演劇界で活躍している劇団yhs主宰・南参さん。
旧知のおふたりに、高校演劇部時代のこと、作品づくりのこと、仕事と家庭と演劇のことなど、お互いのことをゆるりと語ってもらいました。ボリュームたっぷりです。お楽しみください。
取材・文章=鶴岡ゆりか(「野村大ひとり芝居傑作選」制作)
高校時代の思い出
野村大(以下、野村) 南参さんとは藻岩高校の演劇部で一緒にやらせていただきまして、私が1年生の時に…
南参 僕が3年で。1年間だけ一緒にやりました。
野村 その節は色々とお世話になりました。あの頃は演出家がダメ出ししてる最中、役者は立ってなくちゃいけないという決まりがあって。私、いまだにそれ守ってます。
南参 えーー!そんなルールあったっけ?
野村 なので、実はyhsに出た時もダメ出し中は僕だけずっと立ってました。
南参 知らなかった。
野村 あれ?なんでみんな座ってるの?!能登(英輔)さん?(小林)エレキさんも?って。
南参 そうだったんだ(笑)それは、もう呪いだね。
野村 まあ、出番の多い役者さんは体力消耗してますからね。私のように出番が少ない役者は立ったままアイドリングしてるくらいがちょうど良い。
南参 でも今回なんて全部「出番」でしかないじゃない。
野村 なんならダメ出しもないですからね。
南参 自問自答だ。
野村 あ、まあ…演出が別にいるという体でやってるんですけどね。
野村 南参さんは高校の時の思い出ってなにかあります?
南参 俺は…正直、演出はあまりやりたくなかったんだよね。でも誰かが先輩の演出を引き継いでいかなきゃいけないってことで、同級生に言われて「じゃあ今回だけね」って言って。
で、その時に先輩から言われたのが「演出はキレちゃだめだ。不機嫌になっちゃだめだ。場が悪くなるからもし気に入らないことがあったとしても、そこは明るくやらなきゃだめだ」と。
だからその時代は、先輩も俺もサングラスしたりハチマキ巻いたり変な恰好で演出したりして。
野村 へえー!
南参 なんか今も、それはできるだけ守ろうというのはあるかな。
野村 それは素晴らしいことです、本当に。
南参 あと、発声とかもね。高校生の時はただ言われた事を一所懸命にやってるだけで、理論は大人になってから後付けでついたけど。
劇団に新しい子が入ってきたりして思うのは、あの時やってたことは間違いじゃなかったんだなと。やっぱりすごく声が通るようになる。やっぱりその時ちゃんとやってた仲間、能登とかエレキなんかは声通る。
野村 本当にそれは思いますね。あの時ちゃんとやってて良かったって。
南参 そういう基礎中の基礎みたいなのは廃れないなあと。
野村 私、初舞台では最初ぜんっぜん声が出なくて。でも途中で突然「あ、こうやるんだ!」ってわかったんです。気づきでしたね。あれがなかったら今頃どうなってたことか…。本当に、高校時代の基礎訓練の経験は良かったと思ってます。
南参 高校演劇って大会があってホールでやるじゃない。うちらは石狩支部の地区大会で教文(教育文化会館)小ホールに必ず立つから、まずはあそこで通用する声を作らなくちゃいけない。基礎さえできていれば逆に小さい劇場でやるのには対応できるから。
野村 そうですね。
南参 狭い劇場では通用するけど大きい劇場となると…って人もいるから、そういう意味ではよかったんじゃないかな。
野村 今は稽古場がないので発声練習がなかなかできなくて。もう、発声させてくれー!って思います。
南参 どこで稽古してるの?
野村 自宅です。自宅ではセリフ入れたり動き決めたりして、たまにBLOCHとか稽古場で大きい声出しながら確認するって感じです。ああ、発声したい!
南参 BLOCHは客席との距離が近いでしょう。あれが怖い部分でもあるし反応がダイレクトにわかるから楽しい部分でもあるし。
野村 私は逆にBLOCH以外の場所で一人芝居やれる自信ないです。INDEPENDENT(札幌はコンカリーニョを会場に行われる一人芝居フェス)すげーなー!と思って。
南参 高校卒業してから俺は大学生でyhsを立ち上げたんだけど、大ちゃんは大学のサークル?
野村 はい。
南参 つかこうへいさんのもやってたよね。
野村 北広島でつかこうへいさんのワークショップがあるというので友達に誘われ、そこでつかさんに出会いまして。
南参 それがすごいよね、レジェンド。もう亡くなってしまったけど。
野村 もう!もう!もーう!すごい衝撃でした。その時出せる声がガラッガラになりましたし、(宮澤)りえ蔵さんもいて…青春でしたね。
あとは…つかさんが超ー!怖ええ。
南参 (笑)
野村 今日はつかさんが来るぞって日はもう稽古場の緊張感がすごいんです。そこへつかさんが普通に入ってきて「おう、やるぞ」って。で、口立てで。
南参 あぁ、口立て!
野村 いやー、あれがまたすごい、ほんとすごい!シビれます。あの人は役者ですね、本当に。
その後、大学で室蘭にいた頃はこしば(きこう)さんにお世話になりまして。
南参 こしばさん?!風蝕異人街のこしばさん?
野村 ええ。室蘭演劇工房という劇団に大学1~3年生の3年間おりまして。で、4年生の時、大学に演劇サークルを作りました。
南参 へえー、知らなかった。で、そのあと札幌に帰ってきて。
野村 ちょうどイナダさんがワークショップをやっていて、そこからイナダ組に。
その前に、第1回のロンリーアクタープロジェクト(通称ロンリー。BLOCHで行われる一人芝居フェス)ですね。
南参 その頃yhsにも客演してもらって。
野村 出させていただきました。でも、yhs結成の時は誘ってくれなかった。
南参 いや、それは(笑)
野村 エレキさんは誘われてるのに。
南参 だって、大ちゃん高校の時はぜんっぜんしゃべらない男だったから!
野村 しゃべらなかったですね。
南参 スタッフで小道具を一緒にやった時もなっかなか喋らない。俺の中での大ちゃんのイメージは“部室の隅っこで正座してる男”。
野村 隅にいましたね。
南参 「いや、正座じゃなくていいんだよ?!」って言っても「私は、このほうが、楽なので」って。
野村 高校卒業の時、先生が色紙に「実直な三枚目」と書いてくださったんです。その時、私の方向性は決まりましたね。この線だ!と。
南参 真面目…真面目なんだよね。だから、誘わなかったのはそれもあるかも。真面目だなー、って(笑)
南参 俺はお笑いが大好きだったから。高校の時もコントみたいなのをやりたかったけど、当時は真面目なテーマ性のある芝居じゃないといけない感じで。でもやっぱりどうしてもやりたくて劇団を作った。
野村 そうなんですね。
南参 一人芝居には笑いを入れようと意識してるの?
野村 まあ、普段人を笑わせることってないので、笑ってもらえると嬉しい、というのはありますね。あとは、理屈をつけるなら振り幅があった方が…。
南参 物語的にもね。
野村 楽しいシーンがあるとみんなが同じ方向を向けるというか。根本的にはいい話をやりたいんです。いいお話を強調するためにおちゃらけるというか。
南参 コミカルな部分をね。
野村 という理屈を後付けで考えました。でも単純に笑ってもらえると気持ちいいんです。
南参 気持ちいいよね。舞台は目の前にお客さんがいて作ったものの反応がすぐ返ってくる。特に笑い声ってはっきり返ってくるからやっぱ病み付きになるよね。でも初日とか怖くない?
野村 もうもう、怖ーい!です!
ずっと一人で稽古してるもんですから、リアクションがわからない。これは俺は面白いと思ってるけど本当に面白いんだろうか?ていうか、伝わるんだろうか?って。
南参 途中で誰かに見てもらったりしないの?
野村 小屋入りしてスタッフさんに見てもらってその反応をみて「これは笑えるんだ」とか、「わかりにくいんだな」とか確認して修正する感じですね。
南参 リハーサルで初めてなんだ!俺は稽古場でみんなに台本読んでもらって「反応いいな」とか「ここはスルーなんだ」とか。そのまま本番に持ってく時もあるし、ちょっと違うなと書き直す時もあるし。
そういうの無しでいきなり劇場入りってのは、なかなか大変だね。
野村 だから私は「実直な三枚目」として「これは別に笑いを取ろうとしてるんじゃないんですよ、真面目にやってるだけですから」というツラしてやってます。笑ってもらわなくても大丈夫ですよ、と。
南参 でも本音は笑ってほしい。
野村 笑われなかったらガクーッと。
南参 大ちゃんの一人芝居、最近はなかなか見れてないんだけど、あの中学生のやつ(『きみのミカタ』(2011年初演))とかは「あざといなー!」って思った。
野村 あれは…やむを得ない。
生みの苦しみ
野村 僕の台本は、まあツマサキ舞台氏が書いてることになってるんですけど…。もう辛くて辛くて。よく台本、書けますよね。
南参 毎回、毎っ回!悩むよ、ほんとに。
野村 ツマサキ舞台氏は、15分の台本を書くのに一ヶ月以上「もうやだ、もうやだ」って苦しんで、妻に「嫌やならやめたら」って言われながら。なので、それを二時間ぶん書くなんて考えるだけでもう…。
南参 俺も嫌だよ、正直。もともと演出が楽くて劇団を作ったんだから。で、書きたくないから集まったメンバーに「誰か台本書いてくんない」って言ったら、ものすごい暗いのとかどアングラとかの案しか出てこなくて。
いやこれは、ちょっと…違うかなあ…うーん、しょうがない俺が書くかって(笑)でも書き続けるうちに欲が出てきて「こういうのも書きたいなあ」とか、もうちょっと上手くなりたいなあみたいな思いが出てきて。
若い頃は初期衝動でこれを表現したい!というのがあるけど、それはすぐネタ切れになるので、今はできるだけ身の回りにあるものとかニュースを見て気になったこととかから発想することが多いかな。
野村 『しんじゃうおへや』(2009年初演)もそんな感じですか?
南参 『しんじゃうおへや』は、実は劇場のあて書きとして書いたんです。
シアターZOOから「なんか企画考えて」って言われて、あの形とか色とか地下に降りていく階段とかから“死刑執行室”ていう単語がなんとなく出てきて。
いきなり劇場に入って絞首刑の縄がぶら下がってたらショッキングだろうな、って。その後、色々調べていくうちに死刑制度というテーマにぶつかって広がったっていう。
野村 あれは笑いが少ない方の作品ですよね。作る上でなにか違いました?
南参 全然違います。笑いってお客さんにとっても息抜きになるからどうしても入れたくなるんだけど、そこは俺もじっと我慢して。オムニバスだったから前半にはちょっとした笑いもあったけど、後半1時間は一切笑いなしという。
はじめてそういうのをやってみて怖い部分もあったけど、どういう反応が返ってくるのか楽しみでもあったり。
自分が知った事を伝えたいというのはもちろんあるんだけど、裏切りたいという気持ちはどっかであるかもしれない。意地悪な、天邪鬼な気持ち。
野村 いやー、すごい勇気です。
南参 まあ、普段コメディやってるとね。
野村 私も次は笑い一切なしで…いや、無理だなあ。やっぱり笑ってもらいたくなっちゃう。
南参 感動して泣きながら、というのも嬉しいけど、笑いながらニコニコとお客さんが帰っていく姿がやっぱ気持ちいいんだよね。
野村 ええ。
南参 泣いて帰ってるお客さんにはすいませんって気持ちになっちゃう。「なんかすいません、ティッシュ無駄に使わせて」って。
野村 じゃあ『しんじゃうおへや』の時なんかは、
南参 もう、みんなズーーン…と重いものを背負ったまま社会に帰っていく、みたいな。
野村 (笑)
野村 作品のテーマって先に決めます?
南参 最近は決める。
野村 ほお。
南参 自分の子供に最初に見せた作品は、実はうちの子供を見てて思いついた作品で。
やっぱ自分の子供見てたら、昔、自分が子供だった頃のこととか思い出さない?そういえば自分もこんなこと思ってたなとか、どうでもいいウソついてたな、とか。あー、子供の時だけの世界ってあったなあ、と思って。
で、子供達があっち向いてホイで真剣にバトルするお話を書いたんだよね。
野村 ああ、『WORLD IS MINE』(2015年初演)!
南参 これはある意味テーマを決めてから書いたというか。
野村 『WORLD IS MINE』やりたいです。やらせてくださいよ。
南参 一人で?
野村 いや(笑)、出してください!
南参 一人でこう(あっち向いてホイのマイム)…やってても面白いけどね。でもあれは面白かった。やってる側は、本当にくだらなくて。
野村 面白かったです!
南参 じゃ、再演の時にね。
野村 もうテーマがないんですよね、私。
南参 なんか、こういうセリフを言いたいとかは。
野村 あ、それはあります!シーンを思いつくというか。じゃあこういうシーンをやるためにはどういう話にしたらいいか…っていうのばっかりですね。
南参 ああ、なるほどね。
野村 もう、ほんとに台本書きたくない。だから、今回みたいな再演の機会はただただ楽しいことしかないんです。
南参 わかる(笑)演劇シーズンはね、再演に限るだからね。書き直したりは?
野村 ネタをちょっと変えたりはしますけど。どういう伏線を張って、とか、セリフを考えたりしなくていいんだー!って。
南参 ゼロからものを作るのってほんとエネルギーがいるよね。
野村 いや、ほんっと!よくこんな苦行を皆さんやってらっしゃるなと。
南参 多作な人っているじゃない。札幌でいうと小佐部(明広)くんとかさ、どんだけ書いてんだよっていう。すごいよね。
野村 ほんとに。
南参 継続は力なりっていうけど。
野村 でも最近は、少ーし、少しだけそれっぽいものが書けるようになってきたんじゃないか俺、と思うようになってきました。
南参 何本くらい作ったの?
野村 ロンリーでは18本くらいですかね。
南参 それだけ書ければ、全然。
野村 全部短編ですけどね。
南参 短編でもだよ。
野村 じゃあ、次回は暗いやつを一本。
南参 いや、暗くなくていいけど(笑)笑いのないやつをね。
野村 ハードボイルドな…っていうと、またハードボイルドでふざけたくなるんですよね。
南参 やたらいい声でね。声がいいからね。
野村 いや、ほんと、有難いことに。この声を授けてくれてありがとう!何者か!
南参 お父さんお母さん、とかじゃないの?!
野村 (笑)両親に感謝です。あと高校の時の発声練習とつかさんのワークショップと。
スタッフ 野村さんが喉潰したのは見たことないかもです。
野村 この前、二年ぶりに一人芝居をやった時はちょっとやばかったんですけど。
南参 やっぱり年齢はね、あるよ正直。エレキとか能登とか、昔は喉潰したことなんてなかったけど、最近はやっぱね。
野村 そうですか。
南参 エレキはイレブンナインの短編やった時には声飛ばしてたらしいし。色々ね、身体の管理は気を付けていかないと。
野村 はい。
南参 能登は去年の『12人の怒れる男』の時にすごい風邪ひいてて。本番はじまっちゃったら最後までハケられないじゃない、あの芝居。で、トイレに行きたくて行きたくて、すごい戦いだったらしい。早く判決を出したい!って。
野村 (小島)達子さんにも「ロングランを甘く見るな」って言っていただいたので。
南参 一人芝居は替えがきかないからね。
野村 いや、ほかの方も替えはきかないんですけどね。ほんとに気を付けます。
南参 今年で40?
野村 はい、来年1月で。
南参 30代最後だ。
野村 はい。30代でピークを迎えます!
南参 いやいやいや、ピークって!
仕事と家庭と、演劇
スタッフ お二人とも、仕事があって家庭もあって…となると、演劇に割くことのできる時間も限られてきますよね。そこらへんのバランスというか、昔とは作り方が変わる部分があったりしますか。
南参さんは、前に「子供をお風呂に入れてから稽古に行く」って言ってましたよね。
南参 そうそう、昔はね。職場と家が近いのもあったし、ほら、子供って早いから。5時半にはご飯、食べたらすぐお風呂。で、髪乾かして7時には寝るっていう(笑)
年齢は違うけど、大ちゃんのとこも2人子供いて、ね。
野村 本当は子供や家族があっても演劇やれてるよってところを、こう、みせていかなきゃいけないんですけどね。まぁ、しんどいですねー。
南参 大変は大変だよね。やっぱ、子供が生まれた時にどしっと責任を感じて、それでもやっぱり芝居をやりたい劇団も続けていきたいというのはあって。色々、家族に申し訳ないなと思う部分もあるんだけど…。
もしかしたら稽古がなければ遊びに連れて行ってあげられた時間とかもあったりしたかもしれないんだけど。
でも、子供が大きくなった時に俺の芝居を観て「なんだよ、こんなもののために時間使ってたのかー」って思われないようにしようと思って。だから、芝居もより気合入れて良いもの作ろうと思うようになった。
野村 うんうん。
南参 3年前に『ちゃっかり八兵衛』を観たんだよね、娘が。それで「おとうさんは劇うまいからもっとやった方がいいと思う」って言ってくれたの。それを言ってくれてすごく勇気が沸いた。
野村 うーわ。それ、ちょっと…いいなあー。
南参 今も他の芝居でも観れそうなものは観に行きたいっていうし、自分もやりたがったり。幼稚園の劇とか歌とかダンスとか、好きみたい。遺伝なのかわかんないけど。
野村 実は、息子に芝居を見せるか見せないかって悩むところもあって。私、最近親子ネタばっかり書いてるんですよ。“普段はうだつの上がらない父親だけど、ちょっと頑張ってママや息子に愛される”みたいな。そんなの息子に見せられないじゃないですか。
南参 そう?
野村 「えー、パパこんなこと思ってたの」って思われたら、ねえ。なので、ちょっと違う路線のを書かなきゃなあと思ってます。もっとアカデミックで知的なやつを!
南参 それは(笑)
野村 でも仕事も家庭も子どももありながら演劇、まあ演劇だけじゃなく、趣味を続けていくっていうのは、やっぱ能力が必要だなあと思いますね。
南参 環境もあるしね。仕事によって時間の取り方も違ったりするし。そこらへんは劇団員とかも含めて色々考えながらやらなきゃいけないんだけど。
野村 yhsって年齢層も広くて、家庭をお持ちの方とかもいますし、皆さん仕事もしっかりしてらっしゃいますし。
南参 しっかり…か、そこまではわかんないけどね(笑)
野村 劇団新劇場さんなんかもそうですけど、きちんと社会的に活動しながらもクオリティの高いものを作ってらっしゃるのはすごいなあと思います。
南参 「絶対芝居で食ってくぞ!」って人間じゃなかったから、俺が。でもクオリティが低くないものを作りたかった。お芝居と兼業で別の仕事をやっててもすごい作品を作る人は全国にたくさんいるから。
有名なところでは劇団新感線の中島かずきさんなんかは、もともとどこかの出版社の編集者なんだよね。編集者をやりながらすごいエンターティメントを作り、岸田戯曲賞まで取ってしまう。
もちろんスーパーマンかもしれないけど、そういう事をできる人がいるんだったらできないことはないんじゃないかと。
でもやっぱり知恵は絞らなきゃいけないし、本番も稽古も含めてどうスケジュールを組んだらいいのかとか、できるだけメンバーに負担をかけないように、とか。まあ、どれだけ伝わってるかはわかんないけど。
野村 私からも伝えておきます!
南参 いや、わかってくれてると信じてる。
南参 それで、長くやれるといいなーとは思うかな。もちろん、もうしんどいなってことはいっぱいあるけど、期待してくれる人とか若いメンバーのためにもいろんな形でお芝居は続けられるんだぞ、しかも面白いもの作れるんだぞっていうのをみせられたらいいなと思って頑張ってはいるんですけど。
野村 今回の演劇シーズンで、ほんと、そんな気はします。
南参 だから今回は、大ちゃんがやれるんだ!と思って。それはすごく嬉しかった。
これは演劇に限らずだけど、世の中、子育てとか待機児童問題とか、色んなことをみんなで何とかしていこうよという空気になってるのがすごくいいと思うし、まだ全然少ないだろうけど、育休をとれるような会社が増えたり。
そういう風に世の中が変わっていけば、子育てしながらでもお芝居ができたり、お芝居に限らず色んなことができるようになっていけばいいよね。色んな人が色んなことをもっと楽しめるようになると。
うちもまだやれてないけど、劇場で子供を預かってお芝居を観てもらえたらとかね。
スタッフ 子供にとってお芝居を見る環境が身近にあるっていうのは、札幌を“アートのまち”にという取り組みから考えてもすごくいいと思います。
南参 教育文化会館でこどもたちのワークショップをやったんだけど。学習発表会で体育館でやる劇とは全然違う、うちらが普段やってるような小劇場的な芝居の作り方だったり、照明や音響や舞台装置がついて、というのをやったら、こどもはもちろん、親御さんも含めて「こういうのもあるんだ」と興味もってもらえて。劇団四季だけじゃないんだぞって。
野村 演劇シーズンは、本当に職場の人も誘いやすいです。演劇なんか全く見たことがない方たちなので、普段、私が「一人芝居やってます」と言っても、なんかちゃらちゃら遊んでるんでしょーみたいな感じだったんですけど、今回のチラシを見て「ちゃんとやってるんだね」って(笑)
なので、演劇シーズンのようにたくさんの人に見てもらえる機会っていうのは本当にありがたいです。
南参 そういうのは、ほんと大事ですよ。新聞に載るとか、テレビで取り上げられるとかすると、公共のものとなって伝わっていくから。
野村 演劇ってすごいんだよって、もっとたくさんの人に伝わるといいなあー!
南参 また一緒になにかやれたらいいね。
野村 ぜひ、yhsに出してください。
南参 そうだね。yhsの20周年の時も誘ったけど、ちょうど2人目が生まれるって時でだめだったんだよね。
野村 そうなんです。すいません。
南参 俺が一人芝居の台本をってのは…なかなか書けないからなぁ。
野村 ぜひ『WORLD IS MINE』一人版を。
南参 (笑)まずは今回、久しぶりに大ちゃんの一人芝居を観れるの楽しみにしてます。
野村 お待ちしてます。今日はありがとうございました。
札幌市民交流プラザにて
公演概要
タイトル | BLOCH PRESENTS「野村大ひとり芝居傑作選」 |
会 場 | 演劇専用小劇場BLOCH |
日 時 | 2019年8月 3日(土) 18:00 A☆ 4日(日) 13:00 B◆|17:00 A☆ 5日(月) 19:30 B◆ 6日(火) 14:30 B◇|19:30 A☆ 7日(水) 19:30 B◇ 8日(木) 19:30 A★ 9日(金) 14:30 B◇|19:30 A★ 10日(土) 11:00A★ |15:00 B◇ ※開場は各30分前です。 |
概 要 | -日常に突然訪れる、15分間の小さな奇跡- 未来からやって来た科学者、札幌の平和を守る私立探偵、出張帰りのサラリーマン、電話番の新入社員、不良中学生、妻に先立たれた発明家。 【Aプログラム】 「Baby,I Love You.」 「西園寺」 「四十四年後の証明」 +ゲスト作品 ☆/★ ☆『きみのミカタ』 ★『アンクル・メジャー・コード』 【Bプログラム】 ◇『sweet sweet smile』 ◆『あのコのためなら』 |
脚本・演出 | ツマサキ舞台 |
チケット | 一般 3,000円 学生 1,500円 |
Web | 公式サイト |
お問い合わせ | 演劇専用小劇場BLOCH(ブロック) Eメール:mail@bloch-web.net |