障がいのある人とともに、演劇をつくる。
深川市にある障がい者のための施設「深川デイプレイス ふれあいの家」では、施設の利用者と、職員、そして学生が一体となって演劇づくりに取り組んでいます。
現在大学4年生の松本奈津実さんは、深川市の演劇の活動に参加しながら、障がいのある人について学び、現在は演劇の持つ「社会包摂機能」についての研究を進めています。今回は、松本さんに障がい者とともに生きるための、演劇の可能性についてお話を伺いました。
札幌生まれ、札幌育ちの大学生。
演劇初心者ですが、深川市の夢公演プロジェクトのサポートスタッフとして頑張っています。演劇活動を通して、共生社会が実現できればいいなあと考えています。
障がい者と演劇をつくる
ー 松本さんが演劇に携わるようになったきっかけを教えてください。
昨年、同じ専攻の4年生の友だちに「深川で、障がい者の演劇の活動があるんだけど、一緒にいかない?」と誘われたのがきっかけでした。演劇というものにもあまり触れたことがなかったので、やったことがないことをやってみたいと思って行ってみました。
ー 松本さんにとって、演劇の魅力はなんですか。
演劇に関わるみんなと「良い関係を築ける」ことと、「楽しい」ことが何よりの魅力だと思います。自分自身もやっていて楽しいと思うし、周りでやっている人も楽しそうだし、観てくれる人も楽しめます。
ー 『障がいのある人と演劇をつくる』ことについて、どんな思いをもって活動をしていますか。
一番心に残ったのは、昨年の活動の中で出会った施設の利用者さんとの関わりです。その方は普段はあまり他人と関わらない方でした。私もどう関わるべきなのか悩んでいました。
あるとき、その方と舞台で同じシーンに出ることになりました。お互い話しかけるような台詞があり、演じるということを通して、その方とコミュニケーションをとることができて。そのあと、その方とはご飯を一緒に食べながらおしゃべりをしたりすることもできるようになりました。演劇が、障がいの有無に関係なく、仲を深めるきっかけになるんだなって思いました。
演劇の『社会包摂機能』
ー 『社会包摂機能』という概念について教えてください。
日本劇団協議会の「社会包摂活動の調査研究」というものがあり、『社会包摂』という言葉は、そこから知りました。『社会包摂』というのは、社会の中でいろいろな違いのある人が一緒に暮らせるような状態、という意味だと私は解釈しています。
ー どのような思いや目的で、演劇の『社会包摂機能』についての研究をしているのでしょうか。
一番は、この考え方がもっと広がってほしいという思いからです。そのためには、深川で活動をやることはもちろんですが、こういう活動があるんだということを、もっと多くの人に知らせなければなりません。行われている実践と、そこで何が起こっているのかを明らかにしていくことが大切かなと思います。
私は、大学院でこのテーマについてもっと深めていきたいと思っています。ほかにどんな実践や研究があるのかをもっと知って、私も自分の研究を修士論文で発表することで、ノウハウを共有できるような研究者になりたいです。
ー 松本さん自身は、演劇が『社会包摂』とどのように関わってくると思いますか。
この活動がきっかけとなって、出演者の利用者さん、学生、職員がつながりを持つことができますし、演劇を深川の町の大きなホールで行うことで、町の人たちにも、障がいのある方たちのことを知ってもらうことができます。
地域に施設があるというだけではなく、この活動をもっと広げることで、施設の利用者さんが“町に必要な人たち”になるといいなと思いますね。そんなふうにつながりができていって、『社会包摂』につながっていくといいです。
ー 11月25日に上演される舞台を観に来るお客様、またd-SAPをご覧の皆様に伝えたいメッセージがあれば教えてください。
みんなで一緒に作った演劇を観てほしいです。障がいのある人を理解するためには、知識だけではダメで、実際に関わりを持つことが一番だと思うんです。観に来て、何か感じてもらえるものがあれば。演劇自体もとてもいいものなので、ぜひ来てほしいです。
公演情報
タイトル | 夢公演part2「きずなから夢へ そしてきずなへ」 |
会 場 | 深川市文化交流ホールみ・らい(北海道深川市5条7番20号) |
日 時 | 11月25日(土)14:00 |
チケット | 一般 1000円 学生 500円 |
NPO法人アートステージ空知深川事務所
TEL:0164-22-3062