2017年も残すところあと2ヶ月。今年も夏冬の札幌演劇シーズン、遊戯祭、教文演フェス、そして現在開幕中のTGRと様々な企画が札幌演劇を賑わせています。
今回は、札幌演劇をもっともっと楽しむ秘訣「演劇を観て、感じたことを書く」ことの面白さを紹介します。難しい知識や資格は必要ありません。あなたも一観劇人として、感想を書いてみませんか?
[toc]書くことの何が面白いの?
小学校や中学校で不人気の宿題といえば、読書感想文。読むだけでもめんどくさいのに、その感想を書くって、一体何が面白いんだ!
しかし、嫌々でも書き上げ、それを誰かに読んでもらう経験を繰り返すと、次第にその面白さがわかってきます。
私はいま、作品と向き合っている。
劇場で体験したものを頭の中で思い巡らし、それを自分の言葉で表現する。そのプロセスを通して、作品のテーマと向き合い、深く考えることができます。
劇場に入る前の自分はどういう状態だったか、舞台美術はどうだったか、その脚本の一番最初の台詞は、声色は、表情はどうだったか、うねるような物語がクライマックスを迎えたとき何を感じ、どういう気持ちで劇場を出たか…。
難しいことも考えずにただ芝居を楽しむということももちろん素晴らしいことですが、感想を書くことによってまた違った楽しさを感じることができます!
学生の皆さんにとっては、文章力や語彙力もつきますし、インプットしたものをアウトプットする作業は将来ずっと役に立つ能力になっていくはずです。
一体何を書いたらいいの?
作品が社会問題や深いテーマを扱ったものだからといって、難しいことを書かなければいけないということではありません。
劇場で何を感じたか、それに対し何を思ったのかを素直に言葉にするだけです。
とは言っても何にも浮かばない!という人は、以下の5つのポイントを参考に思い出してみてください。
①劇場に入ってみてどうだった?
舞台美術、客席の雰囲気、前説の様子など。気に入った点を箇条書きで書いてみる。
②物語は面白かった?
登場人物がどのような姿で出てきて、どのような姿で帰っていくのか。わかりやすい話だったか、頭を使う内容だったか、物語に矛盾を感じなかったか。笑えた?泣けた?クライマックスは綺麗にオチた?
好きな台詞も思い出してみる。辛口コメントでも大丈夫、とりあえず思ったことを正直に文字にしてみる。
③ステキな役者はいた?
舞台上でキラキラ輝くお気に入りの役者、縁の下の力もちとして芝居を支えた役者、あなたの目を引くステキな役者はいましたか。
どこがどうステキだったのか、演技している姿を思い出しながら魅力を言葉で表現する!
④スタッフワークはどうだった?
音響、照明、衣装など、観客席から観た舞台は美しいものだったか。それぞれがバランスよく、効果的に機能していたか。
「あのBGMが好きだった」や「あそこの照明が綺麗だった」など、観劇中の感動を思い出してみる。
⑤自分の生活との関連
作品から伝わるメッセージ・演出の意図は、あなたの生活と関連していましたか。それはあなたの人生・考え方にどれだけの影響をもたらしましたか。
関連があるから優れている、というわけではありません。関連があった場合は、それを書き留めておくのも一つの手です。
以上の5つのポイントを書き出したのちに、文を組み替え、文章にしていきます。ポイントはとにかく書き進めてみること。修正・校正は後からいくらでもできます!
とりあえず一通り形にしたら、もう一度始めから読み直し、不自然・不適切な表現を修正します。正しい日本語を使えているか、誤字脱字がないか、文と文のつながりはスムーズかを確認し、問題がなければ完成です。
札幌演劇の発展のために
演劇文化の発展は、優れた演劇をただ作るだけではうまくいきません。作ったものを、観てもらう必要があります。
芝居を的確に分析し、批判し、それを作り手に伝えることによって、よりクオリティの高い芝居が生まれます。観る側も作る側も、批評を恐れては成長できません!
もちろん、根拠のない非難は関係を悪くし、争いを生みます。演劇人と観劇人で互いに尊敬しつつ、感想文という媒介を通して共に成長できる、そのような街へとなっていきますように。
みなさんのご協力、よろしくお願いします!!
早速書いてみよう!
舞台作品などの感想投稿サイト「札幌観劇人の語り場」では、登録メンバーの感想を掲載しているほか、一般の観客(ゲスト)による感想を募集・掲載しています。
また、感想を歓迎する劇場・劇団と連携し、感想を書いてくれる35歳以下の方を無料で招待する「公演招待企画」も行っています。公式サイトで募集要項を確認したのち、お申し込みください。