女子大生が「札幌演劇シーズン2017-夏」参加劇団の稽古にお邪魔して、作品の魅力に迫る企画「夜の稽古場参観日」。
今回は、7月29日より上演する パインソー「extreme+logic(S)」の稽古場に行ってきました。
見たことのない物語
ー はじめに、パインソーという劇団について教えてください。
演出 山田マサルさん(以下、山田):2009年に、私はその前にANDという劇団で14年位役者をずっとやっていて、その時に立ち上げた劇団ですね。その後ANDは解散してしまうんですけれども、「人間の業と欲をテーマにお芝居を作りたいなあ」なんて思って、自分で脚本を書いたり、その時から一緒にやることが多かった現在は東京在住の作家・川尻恵太くんが脚本を書いて、僕が演出するっていうスタイルを今年で8年やっております。
劇団というよりは演劇ユニットみたいな形で、あんまり規制にこだわらない活動を目指しているんですけども、あんまり演劇を見たことがないお客様にエンターテインメントを提供したいなと思っております。
ー 今回上演される『extreme+logic(S)』のあらすじを教えてください。
出演 赤谷翔次郎さん(以下、赤谷):ヒーローが出てくる話でして、ヒーローとして地球を守っているたくさんのヒーローがいる世界が舞台です。
テーマ的には「ヒーローってなんだ?」「誰にとってのヒーローなんだ?」って感じですかね。戦ったり、普通にアルバイトしたり、恋愛したり、っていうように普通の一般人に混ざってヒーローが生活しているようなお話です。
ー 初演と比べて意識して変えたところ、違いがあれば教えてください。
山田:エンディングがいくつもあるというマルチエンディング方式を取り入れました。札幌ではあまり使われていない方式で、お客さんがエンディングを選べるという内容になっています。いつも新鮮に、鮮度の高い魚市場のような感じですかね(笑)
あとはセットが超豪華になってますね。それからキャスティングも大幅に変更されていますし、東京で活躍する俳優、高橋良輔さんをゲストとしてお呼びしています。
ー マルチエンディングを取り入れた理由は何でしょうか。
山田:我々は今までも一つの劇を3話構成にして上演したりしていまして。2015年の夏の演劇シーズンの「フリッピング」という作品がそうでしたね。
他にも全部違うお話を提供させていただいたり、あまり演劇を見たことがないお客様にもテレビドラマや映画のような感覚で楽しんでいただけるようなものを作ってます。役者はめちゃくちゃ大変なんですけどね(笑)
その分お客さんには「これ演劇じゃなくない?」みたいな、良い意味で新鮮さを味わっていただけたらと思ってます。
途中まで同じ劇でエンディングだけ違うっていうのは、お客さんにはどういう風に思ってもらえるのかなっていうのと、札幌だと我々しか出来ないかなと思って、最初に一発かましてやろうと思ってやりました(笑)
ー 役作りにおいて、挑戦している課題があれば教えてください。
赤谷:僕はやっぱり四年前の自分にどう勝つかですね。
四年前の自分っていうのは記憶の中でしかないんですけど、やっぱりお客さんにとっては一回見てるものなわけで。前回を見てくれた人が今回も見てくれるかもしれないですけど、そこで僕がどう変わってるのか。「四年前とは違うぞ」と。
じゃあ何が変わったのかって言うと自分じゃ答えられないんですよね。それに答えてくれるのはお客さんだし共演者だし。だから日々自分との戦いみたいなところはありますよね。まあ今んとこは負けてないんですけど。だからあの頃の俺が今の俺見たらどう思うだろうっていう感じですね。
出演 田中温子さん(以下、田中):まずパインソーさんから私へ客演のお声がけいただけるなんて思ってもいませんでした。なのでオファーが来た時に「本当かな?」と思って、シーズンのパンフレットの撮影をするまで疑ってたくらいすごいことだったんです。
私がパインソーに出ますって公に発表されたときも、「田中さんが!?」みたいな反応と、「待ってました!」みたいな人がありがたいことにかなり多くて、みなさんすごい期待してくださってるんですよ。それでハードルが上がったなと思いまして(笑)
そこで、パインソーに出ることで田中温子としての殻を破りたいなっていうのと、いい機会をいただいたなっていうのはすごく思ってます。
あとはまだキャストが揃ってないっていうのもあるんですけど、他の現場よりさらに、個人の役者力が試される現場だなというか(笑)
稽古場で、マサルさんが「こんな感じで」って言ったものに対してそれの何倍ものエネルギーを一瞬で出さなきゃいけないっていうことが毎日起こってくるので、自分を客観的に見たら本当に毎日へこみますし、みなさんが努力されているのを見ると、「ああ、素敵な現場だな」と思います。
ー 演技や演出において大切にしていることがあれば教えてください。
赤谷:稽古中にこだわっているのは、私生活を見せないことですかね。一応アマチュアの役者としてやってので、そこで「○○高校出身の赤谷です!」みたいなのがバレたら変な話じゃないですか。そうじゃなくて、役になりきってパチっとキリッと変えてます。切り替えるということですね。
田中:こだわっているというより意識しているのは、今回は榎本っていう役なんですけど、榎本として舞台に立っている私と、役者の田中温子としてBLOCHに立っている自分の意識っていうのを両方持つことです。
役だけに集中してしまうと、周りが見えなくなってしまうことがあるんです。
舞台上での役者は、セリフを言ったり感情を出したりもそうですが、段取りが多かったりするんです。「ここまでにこの位置に来なきゃいけない」とか、そういった意味で、絶対榎本だけになってしまってもいけないし、田中温子だけになってしまってもいけないと思っているので、主観と客観を大事にしています。
山田:演出として一番こだわっていることではないんですけど、僕はお客さんの代表として「見たこと無いものを見てみたい」というのがあって、要するに自分で考えたことは自分が見ても新鮮味が無いんですね。
だから稽古中の役者とかあらゆる人のアイデアをもらって、行ったことのない世界みたいなものが舞台の上で実現できたらすごく面白いと思うんです。
これは夢とかじゃなくてたぶん実現可能なことで、別にここに宇宙がなくても宇宙を見せることは可能だったりするわけじゃないですか。そのために自分を押しつけると「自分が見たいもの」に変わってしまうので、役者のみんなと稽古したりスタッフと打ち合わせしたりしている訳なんです。
「人も僕も見たこと無いものが見てみたい」って言う好奇心だけで8年くらいやってます(笑)
だから脚本も僕の一番好きな作家である、川尻恵太くんにお願いして、彼もその好奇心を大幅に上回る世界観で応えてくれる人なので、それを役者さんと一緒に作っていく上で視覚化できるというのはすごく面白いなと思っております。
知る機会としての演劇シーズン
ー 札幌演劇シーズンの良いところと、これから期待するところはありますか。
赤谷:普通のお芝居を自分たちでやる時にはなかなか自主的な興業じゃできない範囲まで宣伝してもらえるので、そこはすごく良いことだと思いますね。
過去に上演されて面白かったものっていう縛りでやっているので、「この期間は面白いと言われている作品しか見られませんよ」っていう期間に自分たちが参加できているっていうのは結構嬉しいことであり、ありがたいことでもありますね。
あとは「誰が得するのか」っていうのが一番明確になるといいんですかね。もちろんそれがお客さんだったらいいんですけど。例えば主演男優賞みたいなものがあると、勝敗ってわけじゃないですけど僕らにも何かしらの影響はあると思いますね。
それと団体同士の交流ってなかなかないんですよ、演劇シーズンって。一応札幌は狭いコミュニティーなので、他の団体の人も過去に共演したことある人ばっかりなんですよね。そこで何か合同でできるんじゃないかなっていうのはちょっと前から思ってました。例えば客演で出るとか。例えばyhsさんのところに僕がちょっとだけ出て、それが宣伝につながるみたいなことになればそれは演劇シーズン全体としても盛り上がるんじゃないかなと思います。
田中:個人的には今回で4回目の参加になるんですが、演劇シーズンに出させていただけるということが札幌の劇団にとってかなり大きな意味を持つように感じています。回数券やリピーター割引などを利用して、お得に作品を観劇することもできますので、お客様が、「こんな劇団や作品があったんだ」と色々知っていただける機会にもなると思います。
札幌の演劇情報を得るツールが少ない現状で、演劇シーズンを通じて、多くの方に素晴らしい劇団や俳優、作品に触れていただけるのはとてもありがたいことです。演劇シーズンが札幌演劇界の新たな環境作りをしてくれていますので、私達もそれに応えられるよう一層努力しないといけないなと思っています。相乗効果でさらに札幌演劇が盛り上がると嬉しいですね。
山田:ものを作っているものとしてはゴールがないので、前に上演したものをまた完璧にするために、もう少し多いステージ数でもう一回やらせていただけるっていうのは、色んな意味でワンチャンスあるっていうのが良いなと思います。作る側の人間としてはこんなことあっていいのかっていうくらい良いものだと内心思ってますね。
あと、今年の2月、そして去年・一昨年に下北沢で公演をしたんですけども、下北沢って誰もが知る演劇の街なんですね。そこでちょっと1杯引っかけたサラリーマンがふらっと演劇見に来るっていうのが結構あって、それって素晴らしいなって思うんですよ。他にも女子高生が何の情報もなく下北沢に行って、ぶらぶらして、そのまま演劇見に来るっていうのもあって(笑)そういうのが普通にあるんです。「下北沢に行けば演劇がある」っていうのが街の人の意識としてあるんです。
札幌もそういう風になっていけたらいいなあと思います。これは改善点とかではなくて、我々も考えなくちゃいけないことですし、演劇シーズンでそれを考える良い機会にしていけたらなあっていう感じですね。
ー 演劇にはどのような力があると感じますか。
赤谷:全部ひっくるめたものが演劇だと思うんです。音楽も鳴るし、視覚的にも刺激を与えるし、笑ったり泣いたりするし、逆に苛立たせることもあるし、それでいてお金も払うし。娯楽の良いところを少しづつ集めたところが演劇なのかなって。
ライブハウスとかにバンドを見に行って盛り上がりはしますけど、泣くってなかなかないじゃないですか。もちろん良い曲を聞いて感動して泣くことはありますけど、ワーっと高ぶって泣くってあんまりないですよね。そういう意味で色んな感情を持てるっていうのは演劇の力というか良いところだと思いますね。
演劇は総合芸術だとかよく言うじゃないですか。劇の中で使われた音楽を聞いて、「うわあこの曲なんだろう」って思うお客さんも中にはいるかもしれないし、そういうのも楽しめると色んな事が起きますよね。見たら明日からでも人生が変わるような娯楽なんじゃないかと僕は思ってます。
田中:私はもともとミュージカルを見るのが好きで、そこからやってみたいと思ってダンスをやったり歌を習ったりお芝居をやる側になっていった上で、私にとっては演劇はないと生きていけないものというか、大袈裟に言うと演劇がなくなったら何していいかわかんないっていうくらいのものなんですよね。
目の前で人間が動いて、感情を揺さぶられて、その場にいる人達しか体感できないものってすごいレアだと思っていて。舞台は生ものっていいますけど、今回パインソーが12回公演やる中でエンディングが違うだけじゃなくて、同じ芝居って一回もありえないんです。それって唯一無二なものだなっていう思いが私の中にはあって。
初めて演劇を見たお客様が、「演劇ってこんなに面白いんだね」って言ってくださることが多いんです。観劇後のその揺さぶられた感情が、その後の活力だったり糧になっているのだとしたら、演劇の意味ってすごくあるのではないかと思うんです。
山田:「この人一体何考えてるんだろう」っていうことが、音楽や照明や、セリフ、ストーリーとか色んなもので構成されて、それを生の人間が立って表現するっていうのは演劇にしかありえなくて、それによって感情が揺さぶられるっていうのは多分他の芸術にもないんじゃないかなと思います。
でもそれって見に行かないとわかんないし、見てもその内容をどう捉えるかっていうのはお客さんの自由じゃないですか。「こんな作品面白くないよ!」と言われることが、僕すごい好きなんですよ(笑)自分が考えてもないことをお客さんが思ってくれたわけじゃないですか。
それはもちろん、心を揺さぶられたからその意見が出てくるんですよね。そんな風に感情を揺さぶられ、色々な意見や議論が巻き起こるというのは演劇独特の魅力かなと思います。
シーズン作品コンパス
インタビューを受けてくださったパインソーの3名に、今回の作品『extreme+logic(S)』がどのような作品なのか、イメージマッピングしていただきました。
縦軸、横軸も自由に決めていただき、ホワイトボードにマグネットをぺたり。
山田:アート性ないですね、うちはね(笑)
赤谷:そうですね(笑)
田中:親しみやすい…もありか。
山田:もう文章にしちゃおうか。笑えるドキドキエンタメ。
(一同、爆笑)
こうして完成した作品コンパスがこちらです!
マグネットを一列に並べて、「笑えるドキドキエンタメ(じんわり)」という文章に!
シンプルかつわかりやすく仕上がりました。
公演詳細
MY BEST BOOK
今回はなんと総勢12人の方に、おすすめの本について教えていただきました。雑誌から図鑑まで様々な本が揃っていますので、ぜひ最後までご覧ください。
倖田直機さん『TVBros. 平成29年4月8日号』
僕、お笑い芸人の極楽とんぼが大好きなんですね。それでこのテレビブロスには極楽とんぼのインタビューが載ってまして、極楽とんぼファンにとっては必見の内容となってますので持ってきました。細かく言うと山本 圭壱さんが僕の中では神様のような存在で、100キロの巨体で50m走を7秒で走ったりだとか、色々と魅力的な方なので大好きです。
氏次啓さん『ドラえもん 1巻』
僕はドラえもんが好きでして、全巻持ってるんですね。ドラえもんがのび太の時代に来て一番最初にハマった食べ物はどら焼きではなくておもちだったり、ジャイ子と結婚するのを阻止するために派遣されたのがドラえもんだったり、タケコプターを一番最初に付けた位置は頭じゃなくて腰だったり、のび太の短パンが脱げて短パンが飛んで行くってオチがあったりするのが最初の話なんですね。
何が言いたいか。初心忘るべからず。(笑)どんな話でも一番最初のルーツ辿ると楽しいよっていうことです。あとタケコプターは一番最初はヘリトンボって名前でした。以上、氏次啓でした。
赤谷翔次郎さん『超伝脳パラタクシス』(ネタバレ含む!)
SF漫画なんですけど、駕籠真太郎という作者が書いてるものです。この作者は普段はだいぶぶっ飛んだ作品を書いているんですけども、この超伝脳パラタクシスは結構真面目な話でして、ちょっと前に流行っていた進撃の巨人みたいな感じです。この漫画自体は2002年のものですね。
話としては、近未来が舞台なんですけど、超巨大な裸の巨人たちが人間に向かって攻めてくるんですよね。その巨人を人間が倒して兵器のように使って、また新たに来る巨人たちを倒していくんですけども、ずっと読んでいくとどうやらその巨人が数百年前にいた人類だったって話なんですよね。今よりもずっと未来で、もう地球が滅亡するからって人間を冷凍保存してシェルターに入れたんです。それで1000年間位の眠りについたんです。
で、選ばれた人間だけがシェルターに入ったんですけれども、残った人間たちはその1000年間で何をしていたかっていうと、どうにかして地球に生き残ろうとする技術を開発したんですね。それで開発されたのが、スモールライトのようなもので、人間を小さくしてしまえばこの狭い空間で生きていけるんじゃないかということで出来たんです。そういうことにどんどん気づいてきて、最終的に、攻めて来てる巨人たちは小さくなる前の自分達の先祖だったみたいなお話です。結構中身はエログロが多いんですけど、ぜひ読んでみてください。
田中温子さん(NEXTAGE)『Treasure Yourself』
ミランダ・カーさんが書いた本なんですね。私はもともとミランダ・カーさんがモデルとして好きだったんですが、本を出していることは知りませんでした。あるとき、私の友人が、「君にぴったりだ」と言ってプレゼントしてくれたのがこの本なんです。
読む前までは、ミランダ・カーさんは華やかな世界にいて、美人でスタイルも良くてすごいセレブで、っていうイメージだったんですけど、モデルになるまでのお話だったり、モデルになってからの葛藤だったり、大事な人の話だったり…。悩んだり苦しんだりしながら、どうしたら前向きにお仕事や人生と向きあえるかをちゃんと考えていた方なんだということが分かったんです。だからこそこの人は内面から輝きを放ち、ずっと第一線でお仕事をされているんだっていうのを知って、そこからもっとミランダ・カーさんが好きになりました。
後半に、アファメーションといって、寝る前や瞑想するときなどに見ると良いとされる、ミランダ・カーさんが選んだ言葉がたくさん載っているんですが、ぱっと開いたページの言葉を読むと、それがスッと入ってきたりするので、お芝居の本番前に集中力を高めるために楽屋で読んだりしています。
山崎亜莉紗さん『小悪魔ageha 2010年9月号』
今はもうなくなってしまった雑誌なんですけども、キャッチコピーが「今よりもっと可愛くなりたい!美人GALのための魔性&欲望BOOK」ですね。表紙がもうすごい化粧の派手な女の子で、何がすごいかというと、この女の子たちのメイク術がものすごく細かく書いてるんですよね。ひとつ化粧をするのにも、どの化粧品を使ってどの順番でどうやるかっていうのがすごく事細かに説明されてて、7年前の本なんですけどすごく役に立つなっていう雑誌です。
私は7年前も今もまったくギャルではなかったんですけれども、これは何が良いかって舞台で濃い化粧をする時にすごい参考になるんですよ。ここまで派手じゃなくても色々参考になることがあるので買ってました。大変おすすめです。
たねだもときさん(クラアク芸術堂)『北斗の拳 1巻』
実はまだ1巻しか読んでないのでここが面白いっていうのはわかんないんですけど、パッと見てかっこいいシーンがあったので音読しておすすめとさせていただきたいと思います。
「ピシッ!『げっ!』スタッ『ぎゃあ!』『おいハゲ野郎。』スチャッ、ピタッ『ははー!』『なんだてめえは!』『その老人を離してやれ。』『てめえこのボウガンが目に入らないか!』『やめとけ。』ボキッ、バキン、ボキッボキッ『一子相伝の暗殺拳、北斗神拳の前にはボウガンの矢など止まった棒にすぎん。俺は戦いのプロだ。貴様には殺せん。』」
…みなさんどうぞ読んでみてください。
熊谷嶺さん(霊6)『ヒナまつり』
この漫画は基本的にはコメディで、ヤクザと、超能力を持ってる少女が出て来ます。これヤクザなんですけどそんなに血生臭くないし、コミカルな話なんですよね。
その中で特に好きな三嶋瞳ちゃんってキャラクターがいて、主人公である超能力少女の友達になるすごい普通の子なんです。でも周りに比べると普通なんですけど、だんだん普通じゃなくなっていくんですよね。最初はヤクザの付き合いで、中学生なのにバーの店番を任されたりして最初は「えー」って感じだったんですけど、なんでも吸収しちゃう子なのでバーにもともといたママさんより人気出ちゃって、担任の先生とかが飲みに来て「あれ、生徒いるな」みたいになるんだけど、でもすごい上手にカクテル作るから違う人だって勝手に勘違いしたりします(笑)
最終的にこの8巻では英会話教室に行くって言ってニューヨークに行くんですけど、ブートキャンプみたいなやつに手違いで行っちゃって、狙撃とかまで習っちゃうっていう(笑)他にも超能力少女がホームレスになったりとか、結構ぶっ飛んだ設定が盛りだくさんで笑えて面白いので良かったら読んでみてください。
山科連太郎さん(きっとろんどん)『大泉エッセイ 僕が綴った16年』
僕が大泉洋さんの大ファンで、自分でお金を出して買った本ってこれくらいなんですよね。あとは人から借りた本を読んで返す生活なので。16年前からのエッセイをまとめてて、2013年の大泉洋が振り返りコメントを書いてます。「水曜どうでしょう」とか「ハナタレナックス」とかの裏話が書いてあったりして、大泉さんファンは読んでみたら楽しいと思います!
井上悠介さん(きっとろんどん、演出助手)『ピューと吹く!ジャガー』
ちょっと前にジャンプで連載されていた漫画です。ジャンプの一番最後に載ってるんです。エンタの神様の犬井ヒロシ的な感じですね。ギャグ漫画なんですけども、最後の巻に近づくにつれてあんまり面白くなくなっていって、なあなあになって終わるんですけども、中盤とかはわりと面白いですね。
結構ひどいボケが多くて、それに対する周りの反応が妙にリアルなんですよ。ナンセンスなボケなのに、反応がちょっとリアルなのが個人的にはすごい面白いなって思います。人によってはあんまり面白くないって感じるかもしれないので、まあ…人によります。僕は好きですね(笑)僕はバイブルだと思っていて、死ぬときは全巻一緒に焼いてほしいなって思ってます。
五十嵐穂さん(北海学園大学演劇研究会)『earth code 46億年のプロローグ』
題名の通り地球のことが書いてあるんですけど、人間との繋がりが色々書いてるんです。言ってること堅苦しいんですけど、でも全然小難しく書いてるわけじゃなくて、とてもわかりやすく書いていて読みやすいんですよね。
私達っていつも何も意識せず日常生活を過ごしてるじゃないですか。でも私達が生きていくために必要な酸素だったり日光だったり重力だったり、そういう普段意識しないことが書いてあって「ああなるほどな」って思います。例えば肌が黒い人もいれば白い人もいて、私達みたいな黄色人種もいるわけですけど、それって全部たまたまじゃなくて、住む地域とか日照時間とかによってすべて決まっているんですよね。
私達がたまたまこういう姿形で生まれてきたわけじゃなくて、全てがそういうバランスによってできてるんですよ。あと鼻の高さとかも、高緯度の寒冷地では空気を温めてから体に入れる必要があるらしくて、そういう理由で鼻が高かったりとか。「すべてのことに理由がある」ってことがわかりやすく、堅苦しくなく書いてあるんです。
普通に眺めてるだけでも写真とかも綺麗だし、自分が悩んだり落ち込んでる時にパラパラっと見ると「なんて自分はちっぽけな存在なんだろう」と思ってそんな小さな悩みなんてどうでもいいなと思える1冊です。読みやすいのでぜひ読んでみてください。
泉香奈子さん『宇宙(学研の図鑑)』
小学校の入学祝いで両親が買ってくれたんですけど、普段絶対見れないような月の裏側とか、火星のドアップの写真とか、地球に普通に生きていたら一生見れないような風景とか光景がたくさん載ってて、そういうのを見てるとちょっと怖くなってきて、すごいゾッとしてきて、それが興奮するっていうか(笑)それがなんとなく気持ちよくてずっと眺めてたりしてますね。
山田マサルさん『インタヴューズ』
これは色んな人のインタビューが載ってて、例えばピカソとか、演劇で言うとサミュエル・ベケットとかですね。あとはジョン・F・ケネディとかマリリン・モンローとかですかね。なぜこれをおすすめするかっていうと、色んな有名人のインタビューが載っているわけですけど、色んな状況で知られてると思うんですよ。例えば政治家で知られている人もいれば、音楽で知られている人もいて、演劇で知られている人もいて、「そんな人達が一体何考えてんのかな」っていうのが気になっちゃって(笑)
まあ僕ら演劇をつくってるんですけど、人が何考えてんのかなっていうのは一番気になるポイントとしてあって、自分が作ったものを見た時に人がどう思ってるのかっていうのがすごいやっぱり気になっちゃうんですよね。これ高校生くらいの時に読んだんですけど、人の話を聞くことによって色んなことがわかるじゃないですか。普段は全然違うような人なんだけど、プライベートというか、何考えてるのかがわかる本って言うことで、「芝居をつくる、お客さんに見せる、お客さんが何考えているのか」っていうところにも直結した感じの本ですね。
めちゃめちゃ長い本なので全部読む必要はないと思います。自分が知ってる人だけとか読めばいいような本なので非常に読みやすいかなと思います。
パインソー『extreme+logic(S)』は7月29日からBLOCHにて。マルチエンディングや多彩なグッズなど、楽しみどころ満載です。ぜひ劇場へ足をお運びくださいませ。
インタビューの様子は、「ダイジェスト動画」でご覧いただけます(下のボタンをクリック!)。