2016年、札幌で結成された井上悠介、久保章太、山科連太郎、リンノスケによる演劇ユニット「きっとろんどん」。
唯一無二の個性を持つ4人は、旗揚げ公演から着々と動員数を伸ばし、2020年札幌演劇シーズン選出作品「発光体」で1000人超の観客を動員。2021年の「STAGE」では旧北海道四季劇場の観客を魅了した。
ついに2023年、さらに洗練されたきっとろんどんが北海道での勢いそのまま、東京で再旗揚げする。
5月末に下北沢での公演を控え、2023年4月某日、きっとろんどんメンバー4名が、LINEビデオ通話で集い対談を行った。
※本記事は、対談の様子のダイジェスト版です。全文バージョンは、特設ページに掲載しております。よろしければご覧ください。
質問…「北海道で活動してきて一番の思い出はなんですか?」
井上 なんだろう。なんか思いついている人いますかね。聞きながら思い出すので。
リンノスケ(以下、リン) 僕は、あります!
井上 じゃあリンノスケ。
リン 僕はかねてからきっとろんどんの4人で公演をやりたいんです。そういう意味で「Yoneen」が一番楽しかった公演です。客演なしで、脚本・演出・出演を全部4人でやって。4人だけの公演がこれからもずっと続けばいいなと思います。
山科 リンノスケはね。メンバー愛がこう見えて強いからね。
久保 (笑)
※きっとろんどん短編企画「Yoneen」(演劇専用小劇場BLOCH 2019/4/6~7)では、きっとろんどん4人それぞれが脚本・演出を手がけた短編4作品を上演した。通常の公演では客演を招いて作品制作をしているため、唯一の4人だけの公演であった。
山科 「Yoneen」はね。稽古場に23時集合とかだったからね。23時に集まって、午前1時2時くらいにさ、久保をひもでぐるぐる巻きにしてさ、横に置いとくとかさ。今思えば面白くないことも、面白かったんだよな。
井上 やっぱ「Yoneen」やって、お客さんが来てくれたのがありがたかったなあ。
山科 一番のって難しいけどさ。旗揚げ公演で、久保さんが主役だったじゃないですか。で、久保さんがその本番一週間前に脚の手術をしてきたのが(笑)ゲネに杖ついてやってきたのがねぇ、思い出だよねぇ。
※きっとろんどん旗揚げ公演「〜探偵写楽弥太郎シリーズ〜 kidnapping the rice ball」(演劇専用小劇場BLOCH 2016/8/20~21)は、当時大学生だったきっとろんどんが、同年代の仲間とともに上演した作品。
久保 ごめんなさい、あれまじで(笑)
井上 おしりにおできできてたんじゃなかったっけ。
山科 内ももだよね? 内ももをちょっと切ったんだよね。
久保 そう。ただ切って終わりなんだと思ったらなんか重症だったんだよ(笑)
リン なんかそういうエピソードを、山科さんがけっこう覚えているのがすごくうらやましいなって思います。人の記憶って17TB(テラバイト)までしか無いらしいので。僕の記憶から全部そういうエピソードが抜けています。
山科 何覚えてんのじゃあ(笑)
リン 公演をやった。としか覚えていないんです。
井上 あ。俺ね、小さいエピソードなんだけど。短編演劇祭で「宅飲み」をやったとき、まだ脚本とかできてない時にd−SAPのインタビューがきちゃって、俺はいなくて。リンノスケと久保と山科が3人でインタビュー受けて、できてるふりを頑張ってしたっていう話が、けっこう面白かった。
山科 井上くんもよく覚えてるワァ。
井上 最終的に記事あがった時に、3人しかいないから、3人が集合している写真と、俺はなんかすっごい薄く宣材写真が、死んじゃった人みたいにサムネができて公開されていたのがすごい思い出です。
山科 あったねー。人それぞれ覚えてるとこが違うんだな。
※北海道短編エンゲキ祭‘18 に4人芝居「宅飲み」で参加した(生活支援型文化施設コンカリーニョ 2018/5/5~6)。後に「宅飲み」はYoneenでも上演される。井上が話している記事はこちら↓
久保 全部思い出深いけど、テレビって貴重だったよなとは思う。やっぱあの経験ないよ、ラジオもだけど。
山科 テレビ「平岸我楽多団」。HTBのね。毎週やってた番組なのに、あれ以来呼ばれなかったってのが……もし何かまた、チャンスがあれば。あの頃よりは、できたら楽しいけどね。
※「平岸我楽多団」は、2015年から2017年に放送されたHTBの番組。その後、番組名が変わって2019年まで続いた。きっとろんどんは2017年3月に「幻の巨大生物ビッグフットを探せ!」前編・後編に出演。
井上 久保くんがね。ドッキリ仕掛けられたんだよね。
山科 ラジオは2年連続やらせてもらって、ありがたかったですね。「新春!きっとろんどん」っていう名前がいいよね。
※「新春!きっとろんどん」は2019年と2020年に放送されたSTVラジオのお正月特番。
久保 めでたかったよね。
山科 冠番組ですから
井上 3年間の休止を経て復活させますか。
山科 ちょっと話それるけど、Twitterに「ちょっとらじお」復活してほしいですってリプライも来てました。
※「ちょっとらじお」は2020年4月から6月にYoutubeなどで配信していたラジオ番組。
質問「言われて嬉しかった観劇の感想はなんですか?」
山科 作品の評価されるのは嬉しいですよね。もちろん山科さんかっこよかったってのも言われたらうれしいんだけど。
井上 「今まで見た中で一番おもしろかった」とか言われたのは、年配であればあるほど嬉しい。いっぱい見てそうな人。
山科 観劇の感想というかさ、誘って一回来てくれた人が、付き合いじゃなく、次もその次も来てくれるのは嬉しかったな。あと次回公演発表したとき「きっとろんどんだ!」っていうのがTwitterとかでちょっと盛り上がる時も嬉しいし。
井上 リンノスケは何かありますか。
リン 初めて会った方に「きっとろんどんの大ファンです」って言われたのがすごく印象的です。「きっとろんどんが一番好きです」って言ってくれたのが嬉しかったです。
山科 久保っちはなんかある?
久保:東京でTDPとの「コントラスト」やって、なんかすごく演劇見てらっしゃりそうな方の「熱意ある札幌からわざわざ来た団体がいるんだぞ」みたいなツイートがすっげえ印象に残ってて。東京でもそうやってちゃんと見てくれる人いるんだなあと勇気づけられたツイートでした。
※BLOCH PRESENTS 2019 TDP×きっとろんどん二大都市ツアー「コントラスト」(演劇専用小劇場BLOCH 2019/10/19~23、シアター711 2019/10/25~27)は、演劇専用小劇場BLOCHがプロデュースするTDPとタッグを組んで実施した公演。二都市ダブルキャストで上演した。
質問「動員数を伸ばせた理由はなんだと思いますか。」
山科 これ自分たちで考えるの難しいね。きっとろんどんの動員数で言うと、旗揚げが4ステージやって300人ちょっとだったんですよね。そんでおおーって思って、第2回公演からステージ数を、増やし続けたんだ。そうしたら、動員数が減ったことはなかったんだよね。演劇シーズン「発光体」が、13ステやって、1068人。これがきっとろんどん記録ですね。……それは、なぜだと思いますか、と。
※評価が高かった作品だけを再演する「札幌演劇シーズン」に第2回公演「発光体」が選出された(演劇専用小劇場BLOCH 2020/1/25~2/1)。
山科 ぶっちゃけどうなの。井上くんはなんでだと思った?
井上 競合劇団がなかったのかも。ジャンル被ってるかんじの。あんまりエンタメっぽいのがなかったんだよね確か。
山科 そうね。ちょうどおれらが大学生で旗揚げした時に、シュッとした男4人組で物語書ける奴がいて、みたいなのが、ちょうど良いタイミングだったと。
久保 あのさー、役者みんな面白かったのはあるけど、井上君の脚本の力だとは思ってるよ。
井上 あ、いいこと言ってくれますね。
久保 んめっちゃ好きなんだよ井上君の脚本。
井上 あらー。嬉しいねえ。
リン 僕はあんまり好きじゃないです。何をしたいのか分からないんです。
山科 (笑)井上くん最初の頃言われたよね「伝えたいことが何なのか分からない」って。だけど「何かを伝えなければいけない」みたいな感じが無いから、動員数が増えたんだとおもうんだよねー。
久保 メッセージ性強いと、ね。
山科 それにハマらなかった時に続かないじゃない。
井上 まあ俺のような者から、人生経験を積んだお客さんに伝えるメッセージなんて無いですよ。
リン 結局、みんなの人柄じゃないですか? 見に行きたいとか応援したいっていう、人徳でしょうか?
山科 幅広い世代がいますからね。お客さん。
質問「ぶっちゃけ、なんで東京行ったの?」
山科 久保くんは行ってないけど
井上 私はですね、いろいろインプットっていうんですかね。東京の文化、演劇以外にもいろんな経験とかしたいなって。やっぱそういう経験が入ってこないと、劇も作れないので。
山科 リンノスケは?
リン 今の年齢で、自分に合うところを考えたときに、日本の中でとなると東京っていう感じになりました。
井上 山科はどうですか? ぶっちゃけ。
山科 東京に住んでみたいってのが一番大きいのかなあ。なんか引っ越した時は「もっと活躍の場をひろげるため」とか、なんかかっこつけた理由探してたけど、今、住んでみて思うのは東京に来てみたいっていう夢をもつ地方の若者の一人だったんだろうね。
久保 うんうん
山科 こうやって井上もリンノスケも来たとなると、よしじゃあ、札幌よりも多くの人に見てもらいたいとか。演劇で食いたいとか。そういう目標は出てくるけどね。
質問「たくさんのファンがいる久保君ですが、今後の出演はほぼないのでしょうか。」
久保 どうしよう。でたいです。
リン 井上さん、ほら、出たいと言っています。出してあげてください。井上さんが権利をにぎってますから。出す出さないですとか。
井上 そんな事ないよ。久保くんは、久保くんがやりたくなったら、いつでもいいですよと。
久保 でてもいいのであったらでますよ
リン 久保さんを出すってなったらどんな役にしたいですか?
井上 久保くんはねー。軍。軍人とかかな。退役軍人。
久保 退役なんだ、もうやっぱり現役ではない。
山科 現役には、ちょっとごめんなさい。鍛えてなさすぎるもんね(笑)
井上 タクシードライバーのロバートデニーロみたいな。
山科 いいじゃないですか
久保 そう聞くとなんかいいじゃない(笑)
リン ロバートデニーロでいいんじゃないですか。
久保 どういうこと?
井上 ロバートデニーロ役でね。
久保 じゃあ渋い演技できるように練習しとこ。
質問「もう北海道では公演をしないんですか?」
井上 代表して久保くん、いいよ。
久保 俺でいいのかい。「します」。
山科 うん。北海道でまたやるにはやっぱりね。東京に出てきちゃった手前、「ああ、負けて帰ってきたな」っていう印象ではやりたくないね。
井上 東京で、吸収して、知識とか。クオリティをこう、吸収して、札幌で公演うつ。リンノスケはどうです?
リン 助成金が通ればできるんじゃないかなって思います。
山科 ハハハ現実的(笑) 東京で公演やるってなって、予約のリスト見て、ああ札幌でも来てくれた人だなーってのを見ると。すごい頑張るぞって気になるから。そうなるとやっぱり、じゃあ札幌でもやりたいなって思う。
久保 そうですねえ
山科 「北海道では、絶対にやります。」以上。
質問「今公演のいきごみをどうぞ!」
山科 札幌の人も、東京の人も、来たらきっと気に入ると思うので、精一杯、緊張しながらやって参りますので。今きっとろんどん東京支部、一切の惰性なくやってるので。過去一真剣なきっとろんどん。見に来てください。お願いします!
公演情報
きっとろんどん東京旗揚げ公演
『概ねワシントン』
舞台は札幌。我々は悩んでいた。この何もない離れ孤島にいたままでいいのか。
一念発起して上京。東京にて初の自主公演を企画する。
この公演が成功しなかったら、北海道に帰らなければならない。
果たして公演は成功するのか?
結局公演は大失敗に終わるのだが、物語はそこから始まる。
知られざる札幌の地で巻き起こる一大エンターテイメント。
札幌で話題のユニット きっとろんどん が、満を持して東京に上陸!!!
2023年5月31日(水)〜6月4日(日)全9ステージ
5月31日(水)19:00
6月1日(木)14:00/19:00
6月2日(金)14:00/19:00
6月3日(土)14:00/19:00
6月4日(日)12:00/16:00
※開場は各回開演の30分前
※上演時間は110分を予定
シアター711(東京都世田谷区北沢1-45-15 鈴なり横丁)
下北沢駅 京王井の頭線中央口/小田急線東口改札より徒歩約8分
山科連太郎(きっとろんどん)
リンノスケ(きっとろんどん)
井上悠介(きっとろんどん)
熊谷嶺
藤達成
原あゆみ(メロトゲニ)
ヒロシエリ
桜井木穂
前売券 3500円(予約、当日精算)
当日券 4000円
※自由席
※お支払いは現金のみ
日時と枚数を選択し、お名前・ご連絡先を入力してください。確認画面後、予約を実行すると完了メールが届きます。
お支払いは当日となります。受付にてお名前をお伝えのうえ、チケットをお受け取りください。
脚本・演出:井上悠介
舞台美術:リンノスケ
舞台監督: 岩淵吉能
照明:田中稔彦
音響:島村幸宏
宣伝美術:リンノスケ
演出助手:長谷川あひる
前説王:久保章太(きっとろんどん)
制作:加納絵里香
当日制作:岩間麻衣子(大人の麦茶)
主催:きっとろんどん
【協力】ライリーワークス、Spacenoid Company、メロトゲニ、大人の麦茶、株式会社ステージワークURAK
Twitter https://twitter.com/KittoLondon
HP https://kittolondon.jimdofree.com/
メール kittolondon@gmail.com
電話 090-5989-7287