出演者・演出インタビュー③|劇団words of hearts『博士と過ごした無駄な毎日』特集

2022年12月15日〜17日まで、劇団words of hearts『博士と過ごした無駄な毎日』が絶賛上演中です。

最終回となる今回は、脚本・演出の町田誠也さんに、この作品のテーマや見どころについてインタビューしてみました。

もう観劇された方も、これから観るよという方も、是非ご一読ください!

今回のインタビュー

脚本・演出 町田誠也(劇団words of hearts)

ー『博士と過ごした無駄な毎日』はどのようなことをテーマにした作品なのでしょうか。

町田誠也さん(以下、町田) 太平洋戦争の末期に、江別で実際に作られていた、木製戦闘機「キ106」に携わっていた人の物語です。

テーマとしては、「今と当時をつなぐ。」人と人との関わりがつながっていて、今の自分達の生活とか暮らしがあるんだということを、一番大きなテーマとして描いています。

ー今回は北海道の史実をテーマとした作品となっていますが、そのような脚本を書こうと思ったきっかけはあったんでしょうか。

町田 前から、「キ106」を作ってたことは知ってたんだけれど、詳しくはなくて。たまたま今年の夏にそれをふと思い出して、江別の郷土資料館に観に行ったんですよね。

そうすると、今の我々とそんなに違わない暮らしが垣間見えて、「え、何でだろう?」と興味が湧いて。

戦争を知らない我々が、教科書やテレビとかで見る戦争って、ものすごく抑圧されていて、がんじがらめで、笑顔なんて一つもない、みたいな、そんなイメージだったんだけど、実際はすごく生き生きとした暮らしがそこにあって、「あ、今の僕らと同じような生活してたんだ」って。戦争というよりそこにすごく興味があって。それが、北海道で忘れられてしまいそうな歴史と絡まって、すごくドラマチックに思えたので。

まあ、ちょっと怖かったんですけど、戦争を扱うというのは。すごく昔のことだったらいかようにも変えていいけど、今回のはちょっとデリケートじゃないですか。そういうものを扱う怖さはあったけど、思い切ってやってみました。

ーそれを演出上気をつけていること、意識していることはありますか。

町田 演出上気をつけることっていうのは、戦争とか昔っぽさのイメージにとらわれないところかな。「これって今っぽすぎない?」とか、今のイメージを物差しに、判断してしまうことが無いように。当時の17歳の3人娘が主人公なんだけれど、今と同じようにケラケラくだらないことを言って笑うだろうし、大人に生意気な口を聞くだろうし、っていうのを演出したかったので。

「当時の子はそんなことしないよね」というイメージからいかに解き放つかというか、そこに縛られないようにやるというところが、演出上で言えば気をつけたところですかね。

あと細かいところは、信頼できる俳優さんが集まってくれているので、最後整えればいいや、くらいに思っているんですが(笑)。

ー特に観て欲しい「見どころ」はありますか。

町田 テーマにもなっている、「つながっている」っていうところかな。この物語がすべて終わっても、人の暮らしは続いていくわけで。この物語の延長線上に、今の僕らがいるんだっていうことを感じてもらえると嬉しいかなと思います。

ー観に来てくれるお客様に向けてメッセージをお願いします。

町田 メッセージ(笑)。歴史をもとに舞台を作るというのは実際のところはすごく大変なんですけど、でもやっぱりやり続けなきゃいけない。

今回の作品で言うと、北海道でこんなことが起こってたんだ、っていうことを知っていただける人も結構いると思うんですよね。そういうのって、劇っていうか、文化の一番の役割だと思うので。そこから興味を持って、自分なりに知識を広げていってもらえたりとか、そういうきっかけになると嬉しいなと思います。歴史を扱うってそういうことなんだろうなと思うので。

舞台を楽しみつつ、今、北海道に住んでる僕らが知るべきことなんだっていうのを感じていただければと思います。

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