出演者・演出インタビュー②|劇団words of hearts『博士と過ごした無駄な毎日』特集

劇団words of heartsによるお持ち込み記事です

今回も引き続き、出演者の皆さんの声をお届けしたいと思います。本公演をご覧になる前に、是非一度読んでみてください。

今回のキャスト

浅野浩平役:本庄一登(演劇家族スイートホーム)

黒坂妙子役:飛世早哉香(OrgofA / in the Box)

宮本千絵役:袖山このみ(劇団words of hearts)

浅野浩平役:本庄一登

ーこの作品の見どころはどんなところですか?

本庄一登さん(以下、本庄) 昔、実際に起こったことを、今生きてる人たちに体験してもらえる、感じてもらえるのが一番の魅力なんじゃないかなって思うんですよね。

実際に北海道でも空襲があったし、戦争が行われていたということを知らない人が多いと思うので、その空気感というか、緊張感を肌で感じてもらえる数少ない作品になっているんじゃないかなと思います。

ー本庄さんの演じる浅野浩平はどんなキャラクターですか。

本庄 そうですね、振り回されるし、上手くいかないことばっかりだし、しんどい役ですね(笑)。

ー演じていてしんどいですか。

本庄 やっててしんどいです。最初の方はひたすら卑屈なんですよね。やりたいことをさせてもらえない。でもそんな中で、周りのみんなと一つのことを成し遂げて、達成感を覚えて、そこでちょっと変わっていくというか、前向きになれるような役です。

あと、僕の役だけ、過去と現在の二つの役があって。この物語は浩平の回想のお話なんですね。なので、二つの視点を持って楽しんでもらえる役だと思います。

ー役を演じる中で、難しいと感じていることや、意識していることはありますか。

本庄 いやもう、ムズいですよ。当時の日本男児の厳格な感じというか、考えの持ち方というか。今の僕なんて、お国のために死ぬとか、頑張るとか、そんな考えは全く無いし、引き出しが無い中で、こういう役をやらなきゃいけない。何とか自分に無い部分を埋めなきゃ、という気持ちでやっています。

ー役を研究する上で、本庄さんなりに取り組んでいることはありますか。

本庄 戦争ものの映画は観ましたね、何本か。「うわ、この人厳しい。」みたいなイメージとか、言い回しの中で自分の台詞に合わせられそうなものは盗んで吸収するようにしています。

ー最後に、この作品を観に来てくれるお客様にメッセージをお願いします。

本庄 もう12月で、寒い時期になってますね。この作品は、心温まる部分ばかりでは無いかもしれないですけど、とても深いお話になっていますので、観て損は無いと思います!まだ、クリスマスの時期などにも公演はありますけど、年納めの演劇の一つにしてもらえればと思います。

楽しみにしていてください!観に来てください!(笑)

黒坂妙子役:飛世早哉香

ーこの作品の見どころはどんなところですか。

飛世早哉香さん(以下、飛世) 見どころですか。そうだなあ。

まず、北海道って、まだ歴史が短いから、とか歴史が浅いから、みたいなことをよく大人は言うんですけど、その「浅い」っていうのは、良いところもあって、それは、「辿れる」っていうところなんですよ。辿れて、そこにまだ人の感触が残っている。

飛世 今、「江戸時代」って言われても、私たちにはピンとこないじゃないですか。そこじゃなくてもっと近いところに、この作品がある。北海道に住んでいる人が、「この地名知ってる!」とか、「同じように感じたことある!」とか身近な歴史が辿れるのが、とても見どころだと思います。

ー飛世さんの演じる妙子は、どんなキャラクターですか?

飛世 妙子はですね、竹を割ったような性格をしているなっていう感じがしていて。

飛世 何というか、「ああ、いい家族に育ったんだな」っていうふうに思ったんですよね。それは何でかっていうと、この時代に、思ったことをちゃんと言えるというのは、(育った家が)優しい家庭っていうことじゃないですか。

(女性が)「女の子として」とか、「これをちゃんとやりなさい」とか言われる時代の中で、男性にも物怖じしない感覚があったりとか、なかなか無いと思うんですよ。一番現代人に近い感じかもしれないな、と思いながらやっています。

ー飛世さんが妙子を演じる上で、難しいと感じていることや、意識していることはありますか。

飛世 妙子は結構色んなことをスパスパと決めていく性格なんですけど、私には分からないことがあって、それは「実感が持てないことを信じていない」っていう感覚なんですよね。

飛世 普通だったら、例えば新聞を読んで、「うわ!」って思ったりとか、例えば地震が起きて、自分の地域が揺れなかったとしても、私たちはニュースを見て、「え、揺れたんだ」と思ったりとかするじゃないですか。でも妙子はその実感が持てなかったりして、「持ちたくないのかな」とか「逃げてるのかな」とか思っちゃうんです。自分だったら、逆に実感を持ちすぎちゃうと思うので。そうじゃないんだっていうところに、難しさを感じています。

ー最後に、この作品を観てくれるお客様に向けてメッセージをお願いします。

飛世 いつも歴史ものをやったりするんだけど、北海道の歴史ものは久々で、しかもそのほとんどが史実なんです!
この作品を観てくれる人が、「まさか、ここは想像でしょ!」って思うようなところが全部史実になっているじゃないですか。そこを楽しんで欲しいです。「これ想像かな?」「これは史実かな?」っていうものがかなり入り混じっているので、こんな劇的なことが本当にあったんだ!っていうことに、感動していただきたいなと思います(笑)。

宮本千絵役:袖山このみ

ーこの作品の見どころはどのようなところですか。

袖山このみさん(以下、袖山) そうですね、私北海道に住んでて、江別はもちろん知ってるんですけど、江別で空襲があったり、戦闘機を作っていたことは本当に知らなかったので。

住んでても知らないこと、特に実際に起きた歴史に焦点を当てているところが見どころかなと思いました。実際に木製の飛行機が飛んだんだ!っていう驚きもすごくありました。

ー袖山さんの演じる千絵は、どんなキャラクターですか?

袖山 千絵は、三人娘の中では一番真面目で、お仕事のオンとオフのスイッチがすごくしっかりしてる子だなと思います。あとは、三人娘の中で1人だけ、牛乳カゼインの実験をしているんですね。他の二人は、興味ないんですけど、千絵だけ、ずっと接着剤の研究をしている。そういうことに興味のある、ちょっと変わった子です。

ー千絵を演じる上で、意識していること、工夫していることはありますか。

袖山 さっきも言った部分なんですけど、オンとオフのスイッチがバチっと切り替わる人なので、お仕事モードの時は、はしゃがない!っていうのをすごく意識していますね。

袖山 他の二人が、キャッキャと楽しげにしていることが多いので、仕事している時は真面目に、そうじゃないときは少し周りの空気に乗る感じを意識しています。

ー最後に、この作品を観てくれるお客様に向けてメッセージをお願いします。

袖山 戦争って、自分たちからは程遠いというか、あまり身近ではないものだと思うんですけど、でも今生きているこの時代に、別の国では戦争をしていたりするじゃないですか。

袖山 でも、私もそういう実感は本当にないんですよ。戦争って何なんだろうって。

そんな戦時下に起こった出来事を今回はお芝居にしているので、当時そこにいた人がどんなことを感じていたかとか、戦争って何なんだろうとか、そういうものをちょっとでも感じてもらえたら良いなと思ってやっています。

そういう部分を楽しみに、観に来てもらえたらと思います。

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