2020年1月17日〜20日にサンピアザ劇場にて上演される、弦巻楽団#35『ラウンド・アバウト・ミッドナイト』。2019年1月に三重県の劇場、津あけぼの座プロデュースのユニット「あうんの会」第2回公演のために書き下ろされたウェルメイド・コメディで、今回が札幌初演となります。
出演するのは、深浦佑太さんと村上義典さん。札幌演劇界では誰もが認める実力派俳優のお二人です(共に俳優賞受賞経験あり)。弦巻楽団の過去公演にも数多く出演されており、お二人の共演回数も相当数になります。
今回は弦巻さんの司会のもと、お二人の関係性やこの作品にかける思いをテーマに対談していただきました。
転載元
参考
深浦佑太 × 村上義典 対談!弦巻楽団#35「ラウンド・アバウト・ミッドナイト」公演特設サイト
二人でがっつり絡む芝居
ー 弦巻楽団#35『ラウンド・アバウト・ミッドナイト』に出演される深浦佑太さんと村上義典さんをお招きして対談をしていただくという、未だかつてない斬新な企画を行います!お二人は今回で何回目の共演になりますか?(聞き手=弦巻啓太)
村上義典 (即答)わかりません!
深浦佑太 10本前後じゃないかな。
村上 数えますか?
(二人で数え始める)
深浦 …14、5本!
ー 誰よりも多いんじゃないですか。これまで弦巻楽団でも何度も共演していただいているお二人ですが(#15『ラブレス』、#25「果実』、#28『ナイトスイミング』、演技講座発表公演『ハムレット』、#31『センチメンタル』、#33『ワンダー☆ランド』)、二人でがっつり絡むシーンは意外と少なかったり。
村上 深浦くんと一緒に弦巻楽団に出させていただくときって、だいたい深浦くんが主役で、僕が悪いヤツの役をやることが多いんですよ。
深浦 (笑)
村上 深浦くんが出ないときは僕も主役だったりするんだけれど…。
ー 8月に上演した#33『ワンダー☆ランド』は、一回も言葉を交わさなかったよね。
村上 全員が出てくるオープニングとエンディング以外は、同じ舞台上にいなかったですね。
ー でも今回は二人芝居なので、ずーっと一緒にいるわけです。どうですか、二人でこれだけ絡むっていうのは。
深浦 僕は義典くんと絡むの楽しいです。義典くんとやると、僕の演技に対してストレートで返ってくるときもあれば変化球を投げてくるときもあって、返す球の変化が多彩で面白い。
村上 それ、僕がいつも深浦くんの演技に対して言っているやつだよ。
深浦 義典くんとやっていると、いつも刺激的というか、飽きないというか。次は何が来るんだろうな、と毎回楽しみな役者なので、これだけがっつり絡むことでどこまで幅が広がるか楽しみです!
村上 以前「出会いの思い出と第一印象」のページにも書きましたが、深浦くんは人の話をよく聞くんです。
僕稽古でたまに、台本に描かれていないものを演技としてぶち込むことがあるんですけれど、そのアドリブに対してもきちんと返してくる。
以前共演したときに、僕が考えてきたことに対して面白い返しをずっとしてくるから、毎度稽古に行くまでにどれだけ作戦(演技プラン)を用意できるかと自分にチャレンジを課していたんだけれど、深浦くんは僕が持っていった作戦全部にちゃんと対応してくるんです。あれはすごく建設的な稽古だったなぁ。
ー 村上くんはこれまで長編の二人芝居を経験しているけれど、意識していることとか気をつけたいこととかありますか。
村上 んー、二人芝居と大人数が出る芝居でやること変わるのかと言われたら、正直俳優としての仕事は変わらないんじゃないかなと思いますね。僕がまだキャリアもそんなにないからかもしれませんが。
ただ、長編を二人でやるということは集中力を持続させるのが大変だったり身体的な疲労が蓄積されていくので、そういった身体面のケアをしっかりしていかないと、今後厳しいなとは思います。本番に向けての稽古期間もそうですし、本番中も含めて。
(深浦に)どうですか?
深浦 やることは変わらないんじゃないかなぁ。
村上 どんな芝居であろうと、そこに生きている人間の生きている過程を演じる。『果実』でも『ラブレス』でも『ワンダー☆ランド』でも、どんな芝居でも俳優としてやることは変わらないんじゃないかなと思います。
ー そうなんだね。ただ二人だと、過ごしている時間のすべての情報をキャッチしなくちゃいけなくなる。
村上 やることの種類は変わらない、でも量が多くなる。
深浦 人がたくさん出る芝居だと、脚本上、個々の登場人物の物語が前のシーンと後のシーンとで飛躍することが多い。でも『ラウンド・アバウト・ミッドナイト』は、そういう時間軸の飛躍がない。お客さんが観ている時間の分だけ、二人の生活が積み重なっていく。集中力を持続させて、きちんと物語を積み重ねることを忘れないようにしないと。
村上 油断すると、自分がどこにいるのかわからなくなるんだよね。
深浦 そうそう、これどういうシーンだっけ、って!
「人間が居る」だけで楽しい舞台
ー 義典くんは2009年から、深浦くんは2011年から、約10年も弦巻楽団の作品に出てもらってきました。これまで色んなタイプの作品を上演してきましたが、今回はわかりやすい「ウェルメイド・コメディ」の作品です。
深浦くんは弦巻楽団のこういうジャンルの作品に出てもらったことはあまりなかったですね。
深浦 確かに。劇的(ドラマチック)な作品が多かった気がします。
ー 村上くんは、典型的なウェルメイド・コメディの#26『裸足で散歩』(ニール・サイモン作)に出てもらったことがありました。そんな二人が、これまでの約10年を踏まえて、二人だけでウェルメイド・コメディにチャレンジするのはなかなか良い取り組みだな、と思います。
この機会に、俳優としてのステップアップや何か目指していることはありますか。
村上 そうですね…。弦巻さんも深浦くんも10年以上の付き合いになり、僕より僕の演技のことを知っているお二人だと思うので、信頼しています。信頼しているからこそ、「作品を作り上げる」というより、俳優として「その役で舞台上にただ居るだけ」というところにいきたいなという思いがあります。
そのためにどうしたらいいのかは、僕の知識や経験では明確な手段や必要な作業が何かはまだ見えていなかったりして。稽古で試行錯誤していきたいなと思います。この3人での創作現場だからこそできるんじゃないかなと。
深浦 僕は、、、毎回手一杯になりながらやっているんで明確なビジョンみたいなのはないんですけれど…。
今回は、語弊を恐れずにいうと、遠慮をできる限りなくしていきたいなという気持ちがあります。絡む相手役者によっては、この人はどういう人なのかなとか、どうやってコミュニケーションをとるのが良いのかなといった、相手を探る時間があるんだよね。
村上 どう言えばどう響くんだろう、とかね。
深浦 そうそう。そこにカロリーを消費することがけっこうある。それはそれで面白い。
今回は、義典くんとは共演回数も多いので、そういった探り合う作業を最小限にできる。そういう意味で、最初から遠慮なく相手にぶつかっていけるんです。
ー 僕は二人に対して、お話を支えることのできる役者だなとか、軸がぶれない役者だなと思っていました。たとえば#28『ナイトスイミング』では、生き残った3人の立ち位置がとても大切なんだけれど、二人は対立軸をぶらさずに作り切ってくれた。
一方、『ラウンド・アバウト・ミッドナイト』では、乱暴に言ってしまうと、二人の人物を見ていれば楽しいという作品にしたいんだよね。お話のためにいる人間じゃなくて、「人間が居る」だけで楽しい。そういう舞台にしたいなと思っています。
二人は友だち…?
ー 作品は、男二人がシェアハウスに住んでいるというお話ですが、どうですか、実際の二人は一緒に住めますか。
深浦 ぜっっったいに嫌です。
村上 無理です。
ー お、どうしてですか?
深浦 えー、んー、あー、、、なんで嫌なんだろう。
村上 だってさ、朝起きてコーヒー淹れているときにさ、頭に寝癖つけてパジャマ姿の俺がお腹ボリボリ掻きながら出てきたら嫌じゃない?
深浦 やだ。
ー わかんないよ、実際目にしたら愛しいって思うかも。
深浦 いやいやいや。
ー 一人の時間がどうしてもほしいから、とか?
村上 …いや、俺はそもそも、結婚しているから……
深浦 それ言っちゃったらまた違う話になるだろ!
村上 いや、一人の時間がそもそも少ないって意味でさ。だから、一人の時間がないから住めないってことじゃないんだよきっと。
深浦 生活にお互いを必要としていないんじゃない?
村上 必要としてよ!一緒に住もうよ!
ー あ、いいね。稽古の一環で二人で一緒に生活してもらうとか。
深浦 嫌だ!
ー その模様をツイキャスで。
深浦 やだ~やだ~。
村上 長時間話したり、一緒に旅行とかならいけるんだけど、生活になるとまた違うよ。
深浦 彼のプライベートがわかんない、未知の部分が多い。
村上 多分、僕と深浦くんは、仲良い方なんだけど、演劇以外の接点がないんですよ。
深浦 確かに。
村上 仲良いんだけど、友だちかって言われるとちょっと微妙なんだよ。
深浦 会っても、演劇の話しかしないしね。
ー 演劇の話をしちゃいけないって縛りで一日一緒に過ごしてみるとか。意外に話してみたら他の共通点も見つかるかもよ。
村上 お互いのオススメのゲームをそれぞれでやるとか、そういう時間になるよ。
深浦 演劇以外で何か好きなものが同じで仲良くなったわけじゃないからね。
村上 深浦くんには言ってなかったかもしれないけれど、僕は君のこと友だちではないと思っているよ!
深浦 (爆笑)
村上 友だちってさ、地元にいたりするでしょ。小学校の頃から仲良い人とか。深浦くんはそういう人じゃなんだよね。
ー ……同志ということですね。
深浦 同じ志を持っていることは間違いない!
ー 最後に、観に来ようと思ってくれている方や、この対談を読んでいる方にメッセージをお願いします。
深浦 どんな人でも楽しめるコメディです。アラフォーの男が二人出てくるんですけれど、10代、20代の幼さがあったり、40以上の将来の不安を抱えていたりするので、楽しめる年齢層が広い作品です。もっと稽古を続けて練り上げていきます。各々の人物像を深めていく物語になっていますので、それを覗き見るつもりで来てくださると、とても楽しめるんじゃないかなと思います!
村上 僕は弦巻作品面白いと思いますし、深浦くんの演技も面白いと思っているし、そうなると、3分の2はもうすでに面白いんですよ。あとは僕が面白ければ、面白くないわけがない!あらすじとかは軽く目を通すくらいで大丈夫なので、思いっきり期待して劇場に足をお運びいただけると嬉しいです!!
ー ありがとうございました。ご予約受付中です!みなさま、劇場でお会いしましょう!
公演概要
タイトル | 弦巻楽団#35「ラウンド・ アバウト・ ミッドナイト」 |
劇 団 | 弦巻楽団 |
会 場 | サンピアザ劇場 |
日 時 | 2020年1月17日〜20日 全5ステージ1月17日(金)19:30 1月18日(土)14:00/18:00 1月19日(日)14:00 1月20日(月)19:30※開場は開演の30分前。 |
概 要 | 古川 大和 41歳・妻有り。 本人曰く、離婚係争中。框 貞九郎 39歳・独身。 本人曰く、常に募集中。主義も嗜好も違う二人の男、大和と貞九郎。 一つの部屋には二つのベッド。 ベッドの一つは大和の、もう一つは出て行った大和の妻のベッド。 二人はそこで暮らしている。 妻に出て行かれて以来 頑なになる大和を見かねて貞九郎は女性を紹介、あの手この手で説得し、送り出す。 ところが、紹介された女性が貞九郎の元恋人だと知って大和は激怒して帰宅し・・・。弦巻楽団が2020年に送る第一弾作品はこれまで約10年間、弦巻楽団数々の舞台で主役を演じてきた二人による待望の、徹頭徹尾二人きりのウェルメイド・コメディ! |
脚本・演出 | 弦巻啓太 |
出 演 | 深浦佑太(ディリバレー・ダイバーズ) 村上義典(ディリバレー・ダイバーズ) |
チケット | 【前売・予約】 一般 3,000円 U-22(22歳以下) 1,500円【当日】 一般 3,500円 U-22(22歳以下) 2,000円※全席自由席。日時指定。 ※U-22は受付で年齢の確認できる身分証のご提示をお願いします。 |
Web | 公演特設サイト |
弦巻楽団
TEL:090-2872-9209
tsurumakigakudan@yahoo.co.jp