遠投のキャッチボールを札幌と大阪で|のと☆えれき第二弾 特別対談

2018年、「Not Decided-時計を止めて-」で初の二人芝居を行った能登英輔と小林エレキによるユニット・のと☆えれき。

この6月に第二弾として、前回に引き続き大阪の二朗松田さん(カヨコの大発明)脚本によるサスペンスコメディ「私の名前は、山田タロス。」を札幌と大阪で上演します。

最近ではYouTubeでも旅動画などを公開するなど、活動の幅を広げる二人に、公演のプロモーションのために訪れた大阪でお話をうかがいました。

能登英輔 Noto, Eisuke

劇団「yhs」所属。1997年旗揚げ公演「RUN」以降、ほとんどの作品に出演。

小林エレキ Kobayashi, Ereki

1979年7月11日生まれ。O型。劇団「yhs」副代表。札幌を拠点に活動する舞台役者。他劇団の舞台作品にも積極的に参加する傍ら、近年では映画、TVドラマ、TVCM、ラジオドラマ、ナレーションなどにも出演。毎週月曜23時からyhsの能登英輔とツイキャス番組「のと☆えれき」放送中。

変化球をいっぱい投げてる

ー 昨年の第一弾を終えて、何か変化はありましたか?

能登英輔さん(以下、能登) 変化は、特にないですね。

小林エレキさん(以下、小林) ないですね。ただ、「あ、二人でできたな」っていう達成感みたいなものはあって、今回、二回目をやるってなった時に、前よりは良い意味で気楽に(笑)。

能登 自然に入れた気がする。前回は、周りからも期待というか楽しみにされてた部分もあって、やらなきゃ、ちゃんと成さなきゃ、みたいな気持ちがあった。

小林 蓋を開けてみたら、お客さんが笑ってくれて成立したけど、本番始まる前までは、「大丈夫かこれ、大丈夫かこれ」ってずっと思いながらやってました。

能登 受け入れてもらえるんだろうか、ってね。

 

ー 大丈夫か、というのはどの部分についてですか?

能登 一緒にやったことのない脚本家さんだったので、僕たちに合ってるのか、お客さんがどう受け止めてくれるんだろうか、っていうのが怖かったですね。

小林 台本のリズム感が初めてのものだったので、これで合ってるのかなと思いながらやったら、二朗さんには「早い」って言われました。「想定してたより早いリズムでいくねー」と。

今回は笑いというよりシリアスなシーンも多くて、しかも二人芝居だから会話でそれを見せなきゃいけない。笑いは割と控えめなのかな、前回より。

能登 構図自体が、あんまりバチバチしていないですね。前回は真正面からぶつかり合うような感じだったんですけど、今回は、お互いをぶつかり合わずに攻める、みたいなことが多い。

小林 うん。

能登 見た目だけの派手さとは違う面白みがあるかな、という気がします。

小林 はい。セリフも裏を読みあいながら喋ってる感じ。

能登 変化球をいっぱい投げてる。

小林 ストレートは投げないですね。

能登 お互いに一癖ある役どころなので、「今、本当は何考えてるんだろう?」って感じで見てもらえると面白いかもしれないですね。

小林 前回は短いセリフの応酬で進んでいくので、リズム感がつけやすかった。今回は一人での持ち時間が長いんですね、長いセリフが多いので。お互い、相手のセリフの時に何をしてるのかっていうのも結構大変です。

能登 攻めていく方と受け取り側、どっちも難しい部分があるよね。

小林 受けてる方がやりすぎてもセリフの邪魔になるし、かといってずっと待ってても変な感じになるし。

能登 前回は短い距離でのキャッチボールで、今回は遠投。ボールが飛んできてる最中にどの立ち位置にいくか、とか。そういうようなイメージかな。

 

稽古の様子

 

ー サスペンス要素もあって、あまり札幌で見ないタイプの脚本ですよね。

小林 お客さんの反応が楽しみですね、どんな見方をしてくれるか。

能登 読めば読むほど、もしかしたらこっちかも、っていうのも出てくるから、いろんな受け止め方できるんじゃないかと思います。

小林 裏腹の連続。

能登 もしかして、って家に帰ってから思うかもしれないし。

小林 正直、やりやすい台本ではないので、その分、やりがいはあるかもしれないですね。

能登 さらに近くに作家さんがいないので、まあ聞けばいいんですけど、聞くのもちょっと悔しい。問題を出されて、こんな答えかなって二人で考えながらやっています。

 

ー 今、稽古はどうですか。完成までどのあたりでしょう。

小林 6.5合目(6/5現在)。そんなに動きのある芝居じゃないので、これからちょっと試しながら、全体のミザンス(役者や美術の配置)とかを決めていく感じ。

能登 デコボコしたでっかいカタマリができた状態で、あとはそれを滑らかに。

小林 滑らかにしたり尖らせたり、

能登 形をちゃんと作る。

 

ー 二朗さんが思うより高いところに行けるといいですよね。

能登 そうですね。そういうとっかかりみたいなのは見えてきています。

 

稽古の様子

 

ー 二人の役どころについては、見てのお楽しみということですかね。

能登 楽しみにしてくれている人もいるかもしれないし。

小林 「私の名前は、山田タロス。」ってタイトルなので、どっちかが山田タロスです、ということだけお伝えしておきます(笑)。

能登 もしかしたら全然違う人がタロスかもしれないけど(笑)。設定がやっぱり面白いですよね。アクトノイドっていうロボットが出てきたり、男の子は結構ワクワクするような感じです。僕、母が観に来るんですけど、ついてこれるか心配です。

小林 分かりやすい話じゃないからね。

そうそう、今回演じる時に気をつけなきゃいけないのは、展開していくにつれて、お客さんの思考も進行していくわけだから、セリフをちゃんと届けること。ここは聞かなきゃダメですよ、ってところと、やり取りの中で見せていく部分をきっちり分けしないと、置いてけぼりにしちゃう可能性があるよね。

能登 そうだね、そうは言っても気軽に見て欲しい部分はあるんですけど(笑)。

小林 気軽に見てもらうために我々が気をつけないといけないっていうところはあるよね。

 

ーお客さんは深く考えなくても理解できるというところまで。

小林 謎解き要素もあるから、ちゃんと提示していかないと。

能登 そうだね。これはもしかして、って考えてるうちに別の話進んじゃってることもあるから。

小林 今なんて言ったの、って思ってたら展開を逃しちゃったりするからね、そういうことは避けたいですね。


6月4日、大阪の観劇三昧日本橋店で、脚本の二朗松田さんをゲストにトークイベントを行った二人。大阪だけでなく各地から日頃ツイキャスを観ている人たちが集結し、暖かい雰囲気の中で進行した。

イベントレポートはこちら

脚本の二朗松田さん(カヨコの大発明)を囲む のと☆えれき


ー トークイベントはいかがでしたか?

小林 想像以上に皆さん盛り上がってくれました。我々はそんな盛り上げてないですけど。

能登 やりやすかったよね。

小林 普段の軽口みたいな感じで進行して、でもみんなついてきてくれたので。気張ることなくっていったらあれですけど。

能登 ツイキャス放送が大阪公演の直前に300回を迎えるんですけど、かといって…。

小林 6年もやってるとね…特に何もなく(笑)。

能登 でも毎週見てくださってる人がいるので、心強いです。去年くらいから周りで協力してくれる人が結構、現れて。

小林 6年粘るとさすがにみんな手を貸してくれる。

能登 腰の重い我々としては助かってます。

小林 腰が重いっていうか動かないからね。

能登 何人かが押してくれてようやく動く。その割にやった後の評価はすげえ気にする(笑)。

小林 一番ダメな(笑)。

能登 ビビリなので二人とも、何かやって失敗したくないっていうのがあるよね。

小林 失敗するくらいならやらない(笑)。

のと☆えれきに始まり…

ー 大阪公演は新しい「in→dependent theatre1st」の杮落としシリーズとしての公演です。新しい劇場をご覧になっていかがですか?

能登 思った以上に素晴らしい劇場でした。

小林 新築の匂いがする。

能登 杮落としシリーズということなんですけど、いいのかなと思ってます、未だに。

小林 昨日、杮落としの「火曜日のゲキジョウ」で前説やらせてもらって。新1st史上初めての前説を担って、それで杮落としシリーズの最後が我々の芝居。

能登 のと☆えれきに始まり…、

小林 のとえれきに終わる杮落としですよ(笑)。前の1stもいい小屋だなと思ってましたけど、歴史もあるし。(新1stは)舞台も札幌でいうBLOCHに似てる。

能登 そうだね、だから札幌から大阪に来るにもあまり支障がない。

小林 持ってきやすいですね。

 

ー 札幌の若い劇団の人たちもどんどん来たらいいですよね。

小林 (自分たちの芝居を)見たことがない方が多いところでやらせてもらえるっていうのは、すごく刺激になるよね。

能登 昨日のトークでも話してたけど、飛行機代とかも安くもなってるから。

どんどん来た方が世界が広がるし、お互いの交流にもなるよね。今、大阪で流行ってるお芝居はこういう感じ、とか札幌はこんな感じ、とか。やりとりがあった方が活性化するんじゃないかな。

小林 俺もそんなに数見てるわけじゃないど、大阪の劇団さんとか役者さんの芝居って、やっぱりちょっと地元のカラーというか、色味が違うんだなーと思って見てます。大阪の方の演技はサービス精神旺盛でわかりやすく演じてるように見えるんだよね。

能登 そうか。

小林 札幌はあまり、そこらへんフレンドリーじゃないっていうか。劇団とか役者によるけど、トータル的な色味で見ると大阪の方が、よりお客さんに優しい感じがします。

能登 最初は怖いと思いますけど、一回来たら楽しくなっちゃうと思います。

小林 相内さん(劇場プロデューサー)も北海道出身の方だしね。(地方公演の)とっかかりとしては、よいんじゃないかと思います。

 

in→dependent theatre支配人の相内唯史さんを囲んで

 

ー 最後に意気込み、抱負をお願いします。

能登 約1時間のお芝居ですけど、単純に楽しんでもらえるように、やるだけですよね。

小林 会話を楽しんでもらえるような作品にしたいと思います。

能登 俺とエレキのお互いのやりとりもそうだけど、あとはお客さんとのやりとりも楽しんでいけたらな、と。

小林 お客さんも一丸となってラストまで突き進んでいけるような舞台になったらいいなと思って今、頑張っています。

 

公演情報

タイトルラボチプロデュース
のと☆えれき二人芝居Vol.2
「私の名前は、山田タロス。」
主 催ラボチ
会 場演劇専用小劇場BLOCH
日 時6月15日(土)15:00/19:00
6月16日(日)13:00/17:00
*受付開始は開演の40分前、開場は開演の20分前です。
概 要西暦2040年。
人類はアクトノイドと呼ばれる人造人間の発明に成功。以降、アクトノイドは単純作業や過酷な労働に従事していた。しかし、そのプログラムに重大なバグが発見され、アクトノイドは即時回収、その姿は街から消える。
西暦2045年。
ある晩起こった殺人事件。容疑者は舞台俳優、山田タロス。被害者は女優。公演終わり、山田の楽屋に一人の男が尋ねる。北海道警察サイバー犯罪対策課、牧内。牧内は山田に二つの疑いの持つ。一つは殺人事件の犯人として。もう一つは回収されず逃亡したアクトノイドとして……。札幌の俳優ユニット・のと☆えれきによる二人芝居の第二弾は、抱腹絶倒の心理サスペンスコメディ!
脚 本二朗松田(カヨコの大発明)
出演・演出のと☆えれき(能登英輔・小林エレキ)
チケット日時指定・自由席 入場整理番号付き

一般:前売2,500円 当日2,800円
U-25:前売1,500円 当日1,800円(枚数限定)

一般発売 

Web公式サイト
お問い合わせ電話 050-3698-5920(ラボチ)
メール rabochey2015@gmail.com