TGR2017で大賞を受賞した札幌を代表する劇団、yhs。看板俳優の能登英輔さんと小林エレキさんが、2018年1月にラボチプロデュースで二人芝居を上演します。
「のと☆えれき」の愛称で大人気のお二人ですが、二人だけでお芝居をするのは今回が初めてなんだそう。公演に向けた意気込みやお互いの演技についてお話を伺いました。
劇団「yhs」所属。1997年旗揚げ公演「RUN」以降、ほとんどの作品に出演。
1979年7月11日生まれ。O型。劇団「yhs」副代表。札幌を拠点に活動する舞台役者。他劇団の舞台作品にも積極的に参加する傍ら、近年では映画、TVドラマ、TVCM、ラジオドラマ、ナレーションなどにも出演。毎週月曜23時からyhsの能登英輔とツイキャス番組「のと☆えれき」放送中。
二人芝居を上演する理由
ー 二人芝居「Not Decided -時計をとめて-」のあらすじと見どころを教えてください。
能登英輔さん(以下、能登):簡単にいうと「サイキックバトル」です。
小林エレキさん(以下、小林):もう少し付け足していうと「40歳間近なおっさん二人のサイキックバトル」。
能登:見どころは、いい歳したおじさんがバカなことをしているところかな。難しいことを考えずに「こんなバカな大人もいるんだな」って思ってもらえれば——
小林:ちょっと、これPRになってる?(笑)
能登:単純に笑ってほしいですね。気軽に楽しんでほしいです!
小林:脚本は大阪の劇作家、二朗松田さんです。最初脚本を読んだとき「ここまで会話がバカバカしいんだ」と思いました。のと☆えれき二人芝居の第一回公演なので、みんなに楽しんでもらいたいです。
ー 二人芝居をやろうとおもったきっかけはなんですか。
能登:エレキとは高校生のときからの知り合いで、もう20年以上の付き合いになります。ずっと近くで小林エレキという俳優を見ていて、尊敬できる役者だなと(笑)
小林:(笑)
能登:一緒にお芝居するのは楽しいんですけど、舞台上でガッツリ絡むことはそんなに多くなかったんです。濃密なやり取りをしたのは、yhsの作品だと『しんじゃうおへや』くらいかな。同じ劇団で、普段も仲良いからやらないことはないだろう、と。
小林:二人ともめんどくさがりやで腰が重いんです。実は4年くらい前から二人芝居の話はあったんですけど、ずっと実現にいたらず。そんな中で、ラボチの小室さんに協力していただき、今回の公演の運びとなりました。
能登:ありがたいです。
のと☆えれき二人芝居「Not Decided -時計をとめて-」
ー お二人の出会いは高校のときだったんですね。
能登:エレキが高校演劇部に入部してきたときが初めての出会いでした。今でこそ女の子にキャーキャー言われるような人気者ですけど、当時なんてそんな面影全くなかったんです!ぽっちゃりで、だっさいメガネかけて、
小林:お母さんに買ってもらったメガネを…!
能登:ぼそぼそしゃべるし、冴えない感じで、演劇部で大丈夫かなって思いましたよ。
小林:本来はバスケ部に入りたかったんですが、定員オーバーしちゃってて。でもどうしても部活には入りたかったから、演劇部の照明スタッフとかやったら面白そうかなって思って入部したんです。だから役者なんてやるつもりなかった。
ー エレキさんは、能登さんの第一印象はいかがでしたか。
小林:のっさんは当時、演劇部の部長だったんです。良くしてもらっていたんですけど、なんていうか、笑顔の奥に見える人間性の希薄さが、
能登:おい!(笑)
小林:まあまあ、すごいかまってくれて、良い人だなあ、見かけだけは、と。
能登:当時はそんなこと思ってなかっただろ!すごくなついてくれましたよ。エレキは照明をやりたくて入って来て、僕も照明を担当していたので、仲良くなるのは早かったですね。最初見たときは暗かったけど、話してみると明るいし、天然だし、いじりがいがあって。
小林:のっさんは昔からめちゃくちゃドSなんです。笑いのためなら、どれだけ人を貶めてもいいっていうような人なんです、ホントに。
良い演技とは何か
ー 二人芝居の稽古を進めていく中で、互いの演技をどう見ていますか。
小林:同じ劇団にいながらも、結構演技は真逆の考え方をしていると思います。選ぶ演技の趣味が真逆だからこそ、面白いのかもしれないです。一緒に稽古をしていて「なるほど、やっぱりね」と思うこともあれば、いまだに「おお、そうきたか」と新鮮に感じることもある。毎回やりがいを感じています。
能登:お互い共通しているのは、「舞台上で生きたい」ということです。僕がなにかやったときに一番うまく返してくれるのがエレキだったりしますね。
僕は、舞台上で嘘つきたくないんです。なにかアクションを起こすときに、どうしてそう動くのか、どうしてそうしゃべるのかを考えたい。外面だけ気にしてやってしまうと、何にも伝わってこないと思うんです。お互いのアクションのし合い、動かし合いだと思います。
エレキはどう思う?
小林:その場でリアクションできるのが、良い演技だと思います。演技はリアクションの連続だと思うので、自分が言ったことが相手に伝わって、相手がリアクションを返してきて、自分もそれに対してリアクションをする。
ー 二人芝居の稽古で心がけていることはなんですか。
小林:のっさんと物語を組み立てるのは、さらっと出来上がると思います。あとはそこから先をどう積み重ねていけるか。
能登:僕は、変に頑張りすぎないで、いつも通りの「のと☆えれき」でいいかなって思います。無理くり詰め込もうとしないで、現時点でできるものを観てもらえればいいなぁと。
小林:ね、言っていること真逆でしょ?
二人:(笑)
ー 今回は札幌公演の他に大阪公演も控えていますが、どのような意気込みでしょうか。
小林:「のと☆えれき二人芝居」と銘打って公演するんですが、大阪の人は「のと」も「えれき」も知らないので、とにかく集客が不安です。札幌の演劇ファンの方は、僕たちの活動やキャラクターを知った上で観てくれる人もいますが、大阪ではそういうわけにもいきませんので。
能登:新人だからね、大阪では。だいぶドキドキしてます。yhsで公演をしたときは暖かいお客様に恵まれたので、今回もぜひ観ていただきたいなと思います。
小林:脚本の二朗松田さんは大阪の劇作家ですので、二朗松田さんのネームバリューで。虎の威を借る「のと☆えれき」です。
能登:逆に、「二朗松田の脚本をこんなにしやがって!」って怒られるかも。
小林:そうなったら急いで札幌帰ります。
ー 最後にこの記事を読んでいる方へのメッセージをお願いします。
能登:念願の二人芝居がようやく実現するので、二人とも気合入っています。多くの方に楽しみにしていただいて、若干ハードルは上がっていますが…。
小林:ハードルは我々に関係ないっすからね!(笑)
おじさんがきっちりとバカなことをやるのを見届けていただきたいなと思います。今、この記事を読んでいるあなたに観に来ていただきたいです!
今できることを精一杯詰め込んだ作品に仕上げますので、動物園の動物を観る感覚で、気軽に楽しんでいただきたいです。
能登:よろしくお願いします!
公演情報
のと☆えれき二人芝居「Not Decided -時計をとめて-」
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