台詞を音楽として聞く舞台|宮崎から劇団こふく劇場「ただいま」が来札

2018年12月、宮崎から劇団こふく劇場が「ただいま」という作品を持って札幌にやってきます。この作品は、2015年に劇団25周年記念公演として上演され、今回は札幌を含めて全国10箇所の再演ツアーです。

劇団こふく劇場は、1990年4月に永山智行さんらを中心に宮崎県都城市で結成。1996年こまばアゴラ劇場の「第8回 大世紀末演劇展」に参加をきっかけに活動の範囲を全国へと広げる一方、1999年から宮崎県門川町・三股町の文化会館にてフランチャイズカンパニーとして活動しています。

本記事では、劇団こふく劇場代表の永山智行さんと劇団員のあべゆうさんに今回の公演についてお話を伺いました。

公演情報
劇団こふく劇場「ただいま」2018年12月1日〜2日@シアターZOO

ツアーを楽しむ

ー なぜ札幌で上演しようと思ったのですか?

永山智行さん(以下、永山):単純に、札幌に行きたかったんです。札幌は、斎藤歩さん(札幌座)や劇団千年王國のみなさん、札幌ハムプロジェクトのみなさんが宮崎に来てくれたりして交流があったので。今年はうちの劇団も29年目になって、僕も50過ぎですし、いつまでツアーで全国を回れるかわからないな、じゃあいけるとこ行っちゃえ!って感じです。

今回上演するシアターZOOは、長崎のカンパニーがやる企画の演出で一回来たことがあって、すごい良い劇場だったし、ぜひ自分の劇団で上演したいなぁという思いがありました。

 

ー 北海道は海を越えなくてはいけないので、移動が大変じゃないですか?

永山:道具班が頑張って運んでくれる予定です。

あべゆうさん(以下、あべ):キャラバンっていう大型の車に大道具全部積み込んで陸送するんです。各地の美味しいものを食べながら北上する感じです(笑)

永山:人に会えるのももちろんですが、行く先々で美味しいものを食べるのも楽しみの一つです。

 

ー 全国をやはり回るのは大変ですか?

永山:大変ですけど楽しく回っていますよ。全国を回ることで作品そのものが変わっていくということが、ツアーをしていく楽しさの一つですね。

自分たちのホームグラウンドで作って終わりじゃなくて、できたものを持って行ってそこでのお客さんの反応などをもらうことで、多方向からものを見ることができるのでものの見方や感覚が変わってきます。だから、毎ステージごとに若干手直しをしていくんですよ。

今回もトータル20ステージ以上すると思うんですが、全部違ったものになるんです。作品が旅をしながらどんどん変わっていく。

 

ー 札幌公演なら札幌公演の色に。

永山:そうですね。札幌の前には広島にも行くので、各地のお客様からいただいたリアクションでより良くなったものを札幌の皆さんに観ていただきたいです。

あべ:やはり各地のツアー先の初日はすごく緊張します。その土地のお客さんと初めましての瞬間なので、どう見てもらえるかわからないし、どういう空気を持ってくるお客さんかわからないので。でもそれも楽しみなんです。そこから新しい感覚を磨いたりとか!

 

台詞を音楽として聞く

ー 宣伝動画を見ましたが、私は道産子なので宮崎弁が聞きなれず歌を聴いているような気持ちになりました。宮崎弁へのこだわりはありますか?

永山:こだわっているというか、郷土意識からやっているというわけではなくて、実はちょっと戦略的にやっていたりします。今回のようにツアーで全国を回ったりした時に、今仰ったように台詞を音楽として聞いてくださるという側面があるんです。

この作品は全体の構成をカセットテープのA面B面、一つ一つのシーンを曲みたいに考えています。生の音を流したり、楽器を鳴らしたりとかして各シーンに必ず音が流れているようにしています。

台詞も小説的な描写で語りのような部分があって、台詞はコーラスのように、舞台に出ていない役者も後ろでユニゾンで言うように工夫したり。ブレスのタイミングにこだわったり、3人いたらそれぞれの音の高さを変えるとかもしていますね。

あべ:間違えたらすっごい分かるんですよ。恥ずかしい(笑)

永山:文章自体は共通語なんですけど、イントネーションを宮崎弁でやります。ちょっと不思議な音の世界をみなさんに感じていただければなと思っています。

宣伝動画

 

「ただいま」という日常

ー 「ただいま」はどのような作品ですか?

永山:この作品は2015年に初演したんですけど、その年はちょうど戦後70年でした。戦争を直接描くことはできなくても、戦争や災害で失われてしまう日常なら描けるかもしれないと思い、つくった作品です。なので日常のお話です。宇宙人が来たりとかはしません。

あべ:パラレルワールドに入ったりとかもしません。

永山:そういうのは全くないんですけど、私たちみんなが誰でも経験するような日常のちょっとしたドラマを描いています。

あべ:誰もが経験したこと、もしくは経験しうるようなことが少しずつ繋がって描かれている物語です。

永山:それを少し変わった演出で上演します。日常のお芝居なのに、あまりリアルに喋ったりとかしなくて、会話のシーンも正面を向いて会話していたり。

あべ:正面に相手がいるつもりで喋るけど誰とも目を合わせないとか、何か衝動的なポーズを取りながら動かないで生き生きと台詞を喋るとか。

永山:静止画に台詞が載っているみたいな。観ていただけたらわかると思います。

 

ー この作品をどんな人に見て欲しいですか?

永山:お客さんを選ばないお話だと思うので、みなさんに来て欲しいです。それぞれの立場で見方が変わってくると思うので、どんな方でも自分に置き換えてご覧いただけると思います。

あべ:宮崎で作った作品ですが、北海道の方々にも通ずるものがきっとあるはずです。自分の日常を宮崎弁で、違う視点から観られるんじゃないかなって思います。

永山:宮崎の美味しいものが食べられる物産展に行く、ぐらいの感じで気軽に来ていただければと思います!

公演情報 劇団こふく劇場「ただいま」2018年12月1日〜2日@シアターZOO


参考
劇団こふく劇場「ただいま」公演特設サイト