d-SAPhttps://d-sap.com札幌演劇情報サイトFri, 11 Jul 2025 01:02:06 +0000jahourly1https://d-sap.com/wp-content/uploads/2017/01/cropped-logo-32x32.pngd-SAPhttps://d-sap.com3232 EPAD 2025年度 第2期「アーカイブ」募集開始!消えゆく舞台公演映像を未来へつなごうhttps://d-sap.com/17011/Thu, 10 Jul 2025 00:02:24 +0000https://d-sap.com/?p=17011

一般社団法人EPAD(Eternal Performing Arts Archives and Digital Theatre)は、2025年7月2日(水)より2025年度セレクションの第2期として「アーカイブ」区分の募 ... ]]>

一般社団法人EPAD(Eternal Performing Arts Archives and Digital Theatre)は、2025年7月2日(水)より2025年度セレクションの第2期として「アーカイブ」区分の募集を開始しました。

EPADを活用して作品を未来へ残す

EPADは、文化庁の助成を受けて2020年度から活動を開始し、これまで全国から3,861作品の舞台公演映像をデジタル収集してきました。そのうち713作品は権利処理が完了し、配信や有料上映など広く公開されています。

公的支援を伴う大規模な募集としては、今回が最後、もしくは残された最後の2年となる可能性があります。舞台芸術関係者の皆様にとって、作品の保存と新たな観客との出会いを実現する貴重な機会となるでしょう。

特にVHSなどのテープメディアは、経年劣化や再生機器の減少により二度と見られなくなる危機に直面しており、ユネスコもその危険性を指摘しています。この貴重な舞台公演映像が消え去る前に、ぜひEPADの支援を活用し、作品を未来へとつないでみてはいかがでしょうか。

「アーカイブ」区分とは?

この募集区分では、すでに完成している舞台公演映像のアーカイブ(収蔵)を希望する作品を募集します。

応募作品は有識者による審査を経て採択され、EPADに収蔵されることで、収集協力対価またはVHS等のデジタル化費用の実費が支払われます。

募集期間2025年7月2日(水)~7月23日(水)17:00
募集対象作品演劇、舞踊、伝統芸能の舞台公演映像、または舞台公演に付随するドキュメンタリー作品。エントリー時点で完成映像である必要があります
エントリー団体の条件映像の権利を有する団体または個人であること。
本事業および要件を十分に理解し、納品や必要な情報の提供、広報活動に積極的に協力できること。
エントリー作品数の上限1上演団体あたり5作品まで
収集協力対価/デジタル化費用採択作品には、22,000円(税込)、もしくはVHS等のデジタル化費用の実費(上限あり)
採択結果告知(予定)2025年8月27日(水)にEPADウェブサイトにて発表
採択後のデータ納品について採択された作品は、2025年9月末日までに指定のファイル名でデジタルデータ(mp4またはmov形式、フルHD以上推奨)をUSBやHDDで提出
映像の利活用について収蔵された作品は、館内閲覧、非営利上映、教育利用など、その時点の著作権法の許す利用が可能となり、作品データベースで情報が公開されます(EPADへの収蔵は著作権法の権利制限規定に基づいて行われるため、原則として著作権者の許諾は不要です)

応募方法

詳細はEPADのセレクション募集ページをご確認ください。 エントリーは、エントリー要項とQ&Aをご確認のうえ、募集ページ記載のエントリーフォームよりご応募ください。

お問い合わせ

EPAD事務局

Email:info@epad.terrada.co.jp

件名を「EPAD2025年度セレクション作品募集③ 問い合わせ」としてご連絡してください。

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【9/1締切】第12回北海道戯曲賞(2025年度)の募集開始https://d-sap.com/17002/Fri, 04 Jul 2025 04:04:13 +0000https://d-sap.com/?p=17002

北海道演劇界のさらなる活性化を目指し、全国から優れた戯曲を発掘する「北海道戯曲賞」が、この度、第12回目を迎え、応募作品の受付を開始しました。 大賞受賞作品は、受賞記念公演として上演されます。 公益財団法人北海道文化財団 ... ]]>

北海道演劇界のさらなる活性化を目指し、全国から優れた戯曲を発掘する「北海道戯曲賞」が、この度、第12回目を迎え、応募作品の受付を開始しました。

大賞受賞作品は、受賞記念公演として上演されます。

北海道戯曲賞とは

公益財団法人北海道文化財団が主催する戯曲賞。全国に門戸を開き、次代を担う劇作家や優れた作品を発掘することを目的としています。

賞の内容

賞の内容は、大賞として賞金50万円(1作品)、優秀賞として5万円(1作品)が贈られます。大賞作品は、賞金に加え、令和9年度(2027年度)以降に北海道文化財団主催公演として上演される予定です。

審査員

第12回となる今年度の審査員は、下記の5名が務めます。

  • 笠木 泉(スヌーヌー)
  • 竹田 モモコ(ばぶれるりぐる)
  • 福原 充則(ピチチ5)
  • 古川 健(劇団チョコレートケーキ)
  • 松井 周(サンプル)

応募資格・応募方法

応募者の資格は問われませんが、いくつかの条件が指定されています。

  • 応募作品は1人1作品とし、日本語で書かれた戯曲とします。
  • 著作権は作者本人にあるものとします。
  • 既発表、既上演の作品についても応募可能です。同時期に他の賞への重複応募や、過去に他の賞で受賞歴のある作品は応募できません。
  • 北海道戯曲賞で大賞受賞歴のある作家は応募できません。
  • 書式はA4用紙とし、400字詰め原稿用紙に換算して200枚程度までとします。
  • 原稿は縮小印刷せず、文字サイズ10.5pt以上で印字してください(両面印刷可)。
  • 作品原稿の表紙には「タイトル」のみ記入し、作品内に作者名は一切記載せず、2枚目以降に「登場人物」「あらすじ」を記載してください。
  • 原稿には必ず通し番号を記載してください。
  • 他の作品から引用した場合は、その作品名、作者名、および引用箇所を作品の末尾に記載してください。

応募方法

  • 公式サイトより応募票をダウンロードして必要事項を記入してください。
  • 応募票と作品原稿1部を一緒に郵送で送る(レターパックなど配達記録が残る方法で送付してください。メールでの応募は不可)。

応募締め切りは、令和7年9月1日(月)当日消印有効です。9月2日以降の消印の作品は選考対象外となりますのでご注意ください。

お問い合わせ

公益財団法人北海道文化財団(担当:市川・廣澤・安富)

TEL: 011-272-0501
FAX: 011-272-0400
Email: gikyoku@haf.jp

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『病は気から』ジョブキタ北八劇場新作コメディ|笑いと人間ドラマ、そして挑戦の舞台裏https://d-sap.com/16960/Tue, 17 Jun 2025 05:42:56 +0000https://d-sap.com/?p=16960

2025年6月14日に開幕した、ジョブキタ北八劇場『病は気から』。モリエール原作の古典喜劇を納谷真大さんが翻案・演出し、音楽やダンスも交えたエンターテイメント作品として上演されています。 この公演は、ジョブキタ北八劇場の ... ]]>

2025年6月14日に開幕した、ジョブキタ北八劇場『病は気から』。モリエール原作の古典喜劇を納谷真大さんが翻案・演出し、音楽やダンスも交えたエンターテイメント作品として上演されています。

この公演は、ジョブキタ北八劇場の2025年度事業開幕を飾る作品であり、納谷さんが芸術監督として掲げる「5カ年計画」のコメディシリーズに連なるものです。また、総勢20名の役者がダブルキャストやトリプルキャストで配役されています。

今回は、本作の翻案・演出を手掛けるジョブキタ北八劇場の芸術監督・納谷真大さんと、出演者である明逸人さん、梅原たくとさん、小西麻里菜さん、戸澤亮さんに、作品の企画意図、創作過程での挑戦、そしてそれぞれの役柄についてお話を伺いました。

(聞き手:佐久間泉真)

ドリフのようなドタバタコメディ」を目指

『病は気から』舞台写真

── 今回モリエール作品である『病は気から』を翻案・演出することになった経緯について教えてください。特に、ジョブキタ北八劇場で上演する作品として、この古典喜劇を選んだ理由は何でしょうか?

納谷真大さん(以下、納谷) ジョブキタ北八劇場の芸術監督になるにあたって、僕が尊敬する斎藤歩さんから、「新しい劇場ではシェイクスピアやチェーホフをやるんだ」と言われてきていたんですね。一方で、他の関係者からは「納谷さんの好きなこと、納谷さんならではのものをやった方がいい」という意見もあり、結局こけら落とし公演は、僕の劇団・ELEVEN NINESでも上演したことのある『あっちこっち佐藤さん』にした、という経緯がありました。

それでも、歩さんからの言葉は強く残っていて。僕にとって、シェイクスピアやチェーホフは古典であり、学ぶものではあるけれど、演出家として自分が手がける自信はなかったんです。でも、いつかは挑戦できたらと考えていました。

あるとき、北海道演劇財団の芸術監督である清水さんから、「モリエールなら納谷さんにはまると思う」という話をもらったんです。僕と清水さんは、創るものは全く違いますが、どこかで同志だと思っていて、割と仲が良いんです。

モリエールを読んだのは学生時代以来でしたが、清水さんから「読み方によったら、ドリフみたいなんですよ」と言われて。読んでみたら、確かにこれは演出次第でコントみたいににできるんじゃないかと思ったんです。ドリフのドタバタ喜劇コントのようなものになると。

歩さんが言うシェイクスピアやチェーホフは僕には手に負えなかったのですが、モリエールならできるかもしれないと、清水さんが背中を押してくれたんです。

── 翻案・演出の方針としても、「ドリフのようなドタバタコメディ」を目指したということですね。

納谷 そう思って創り始めました。俳優さんたちにも稽古前に「ドリフのようなドタバタコメディを楽しく創っていければ」と伝えました。

ただ、創っていく中で、課題もありました。やっぱり自分は富良野塾を出ているんだなあと感じたのが、どうしても人間ドラマにしようとしてしまう私がいて。

ドタバタコメディでありコントでありながらも、そこに「人間模様」が良い意味でも悪い意味でも入ってきてしまう。コントで貫くのか、人間ドラマにしていくのか。ドラマアドバイザーである蓑輪俊介さんから、台本の整合性について指摘を受けています。コントなら受け入れられる「普通こうは言わないだろう」という部分が、人間模様を見せようとすると違和感になってしまうんです。都合の良いところは整合性を取り、都合の良いところは破綻させる、そのバランスの悪さについて指摘を受けながら、どうしていけば良いのか探ってきました。

── ドラマアドバイザーの蓑輪さんとは、前からご一緒する関係だったんですか。

納谷 蓑輪さんは、私の古くからの友人です。彼は札幌で映像制作をされており、実は演劇嫌いな人なのですが、演劇嫌いだからこそ関わってもらっています。

本当に毎日厳しく指摘を受けてきました。それも友達だからこそ成り立っているというか、厳しいし怒られることもあるけれども、彼の存在はとても重要です。

やっぱり、誰にも怒られない環境というか、どこかで脅威を感じていないと、よほどの天才でない限り感性は鈍っていくと思います。僕は元々いろんな人に怒られるタイプだし、怒られるのは嫌だけど、蓑輪さんのような存在が必要なんだと思います。

『病は気から』舞台写真

── 本作では、山木将平さんによる音楽(生演奏)、鈴木明倫さんによる舞踏、そして芸人の大田黒ヒロタカさん、納谷さんご自身、明逸人さんによる道化師が登場します。これらの要素を取り入れた意図と、それぞれの役割について教えてください。

納谷 山木将平さんはずっと一緒にやっていて、僕は彼のことを天才だと思っています。演劇との親和性がとても高いミュージシャンです。そして、僕の求めるものを分かってくれている。将平さんは、僕の至らない点や緩い点をむしろ汲み取ってくれて、「ここはもう将平さんの好きにしてください」というオーダーで、素晴らしいもの創ってくれるんです。

音楽だけを創ってもらうことも考えたのですが、今回の劇では、どうしても「幕間」を使いたかったんです。幕間のエンターテイメント性を持たせるためには、将平さんのギター生演奏があるのとないのとでは、全くクオリティが変わると考えました。

鈴木明倫さん(アッキー)に関しては、新しい才能と出会いたいという思いがありました。エンタメ性を増すため、そして劇場を広々と使うために、「ムーブ」のようなものを使いたかったんです。うちの劇団の若者たちが、過去にアッキーにダンスや振付のことで相談していた経緯があったので、今回一緒にやってもらえないかとオファーしました。

そして実は、アッキーと将平さんは大学時代の先輩後輩で、ユニットを組んでコンカリなどでステージをやっているんです。なので、その二人のミックスと道化師という3人の役割が、幕間で一つ「メタ」として存在できるということが計算できたのでお願いしました。

『病は気から』舞台写真

── ジョブキタ北八劇場がオープンして1年が経ちました。この1年間で得たものを、今回の公演にどう活かされていますか。

納谷 正直、反省点の方が圧倒的に多い1年間でした。ジョブキタ北八劇場のためと言いながら──結果的にそれが劇場のためになると信じますけれど──私の成長のための1年だったと思っています。これまでの自分がいかに視野の狭い活動をしてきたか、ただただ反省です。ジョブキタ北八劇場という、プロフェッショナルの創作物を創ることに向き合った1年でした。

ただ、反省はするけれど成長しなければならないので、今回から、プロフェッショナルの「システム」を確立しながらものづくりをすることに取り組んでいます。

── ここで言う「システム」とは。

納谷 システムって、僕の中では「ものづくり」と真逆の考え方だと思ってやってきたんです。システムとは、1+1=2のように計算されていくノウハウで、ある程度誰にでも通用するものだと思います。一方、ものづくりは、人との関わりや計算外のところが面白くて、これまでの私は、システムなんかなくても良いと思って創ってきたんです。でもこの1年で、そうやって創ってきたものがプロフェッショナルとは遠いことだったんだ、ということが露呈したと思います。

そういう意味で、今回は演出助手チームの力を借りながら、システムに乗って創ろうとしています。

システムというのは、例えば「公演2週間前に衣装を決める」とか、「ここでこの照明のことを決める」といった、あらかじめ決められたスケジュールのことです。今まで私は、「ここの演技ができてないのに、ここでできるわけないだろ」と思っていましたが、今は俳優さんの意見も聞いて、「ここできてなくても、うっすら通したいです」といった要望も聞き入れるようにしています。

ただ、稽古が行き詰まったり上手くいかなくなったりすると、システムではない部分が出てきてしまいます。「もっと生活を犠牲にしたり、みんなが何かを犠牲にしないと面白いものは創れないよ」と思ってしまうことがあります。でも、これはシステムの外側なんですね。

古臭く間違った考え方だとは分かっていますが、何かを犠牲にしないと面白いものは創れないという信念は僕の中にあり、今後その信念を手放そうとは思っていません。けれども、それを人に押し付けてはいけないということは重々分かっていて。

システムの外側でものを創りたいという思いと、ちゃんとシステムに乗った上で、プロフェッショナルにものづくりを進めていきたいという思いのバランスを実現することに全力でトライしています。

多面的な魅力がある作品

『病は気から』舞台写真(左=梅原たくとさん)

── それでは、皆さんご自身の役について教えてください。ダブルキャストやトリプルキャストで複数演じられる方もいらっしゃるかと思いますが、それぞれの役とその見どころを教えていただけますか?

梅原たくとさん(以下、梅原) 僕は2つの役を演じます。一つは、主人公アルガの主治医である「ダクネ」。アルガは自分が体調が悪いことをものすごく気にしていますが、家族からは気のせいだと言われています。そんな中で、医者であるダクネはアルガの病気を心配してあげている、だからアルガはダクネ先生大好き、という関係性です。

ただ心配しているだけでなく裏の目的もあって、アルガの娘であるアンジェと結婚したいと思っているんですね。だからアルガに気に入られたい。腹黒い人というわけではないですが、そういう打算もありつつ、という役どころです。

もう一つは、舞踏家の「ダン」という役です。これは道化師「クラウ」と音楽家「ミュジ」と一緒に3人で出てきて、基本的に劇のシーンの間「幕間」に出てきてストーリーを展開させたり、これまでのシーンのおさらいをしたりする役です。劇中でコメディが基本の中で、ちょっとシリアスなシーンなどで音楽や踊りでそれを煽る役割もあります!

明逸人さん(以下、明) 僕も梅原くんと同じで2役あります。一つは主人公アルガの弟「ボンヌ」という役です。彼は資格マニアで、おびただしい数の資格を取りまくって人生を謳歌していますが、兄のことが大好きで、心配症の兄とその家族をなんとかしたいと思っています。アルガの家族には色々な因縁があって、その全てを弟である僕が知っていて、なんとかしたいと考えている男です。見どころは、途中マイクパフォーマンスがあって盛り上がればいいなと今からドキドキしています!

もう一つの役は、道化師「クラウ」です。梅原くん演じるダンと一緒に幕間に出てきて、前説をやったり進行をやったりする役です。

ちょっとカラクリがありまして、「実は、クラウは○○だった」……ということが後半出てきます。お客さんはびっくりしていただけるかなと思います。ヒントは「僕の原作を皆さんに読んでみてね」という感じです。

『病は気から』舞台写真(左=明逸人さん)

小西麻里菜さん(以下、小西) 私は主人公アルガの娘である「アンジェ」という役を演じます。周りのみんなはアルガが具合悪いフリをしたり、大げさだと思っていると思うんですけど、アンジェだけは、アルガの複雑な、心配して欲しいけど心配かけたくない、という気持ちを理解していると思います。

ダクネ先生と結婚させられるような状況になりますが、アンジェは家柄とか名誉とか肩書きではなく、「タリフ」というバカっぽいけど中身が良い彼氏と結婚したい、という信念がある役です。

見どころは、アルガとぶつかるシーンが結構多いのですが、最後の最後でアンジェのお父さんへの思いが爆発するシーンです。お父さんのことをすごい大事に思っていたんだな、という気持ちが爆発するシーンが見どころです。

戸澤亮さん(以下、戸澤) 僕は「タリフ」という役をダブルキャストで演じます。もう一人はイレブンナインの菊地颯平くんです。タリフは、小西さんがお話しされたように、主人公アルガの娘アンジェの恋人の役です。

タリフはすごく明快で、明るくて前向きでバカっぽいフリーター」です。これは僕が出てくる前から台本にセリフとしてあって、あ、タリフってそういう人なんだ、と散々レッテルを貼られてから登場するので、結構緊張します。

この作品は、登場人物がみんな心配していたり病気なんじゃないかと思ったり、色々なことに危惧したりするシーンがたくさんあるんですが、僕が演じるタリフはそういうのがなくて、常にまっすぐで明るいんです。心配症だったり、ちょっと不安に思ったり、マイナス思考になってしまう人たちを照らしてあげられるような役だと思います。

『病は気から』舞台写真(上=小西麻里菜さん、下=戸澤亮さん)

── 今回の公演はダブルキャストやトリプルキャストで、稽古の中でも共演者が入れ替わることがあったと思います。そういった日替わりキャストと共演して感じる面白さや難しさはありましたか?

 自分が出ている時は、例えば僕のボンヌという役であれば僕と箕輪直人くんがダブルキャストですけど、僕が出ている時は箕輪くんが見ているし、箕輪くんが出ている時は僕が客席で見ているんですね。スケジュールの関係で、なかなか来られない人を優先的に稽古することも多いのですが、気づいたら「あれ、俺1週間ぐらいやってねえな」ということが起こります。ずっと箕輪くんの演技を見ている日が続いて、1週間後に「ちょっと逸人くんやってみようか」と言われた時の、あの緊張ね(笑)

梅原 わかる!非常によく分かります。

 かなりビビるよね。その時のために、こっそりとイメージトレーニングを続けています。箕輪くんが来られない時にピンポイントで稽古に入るという、職人みたいな出方をしています。

戸澤 北八劇場ではロングラン公演がスタンダードになってきていると思うんですけど、ダブルキャストというのは慣れはしないですね。僕のもう一人のタリフ役である菊地颯平くんを見て、「あ、そっちのやり方でもいけるかな」とか、「そういうやり方があるんだな」と勉強になります。ライバルっぽくも見れるし、仲間でもあるという結構不思議な感覚なんです。

せっかくなら違ったやり方をした方が、2回お客さんが見た時に楽しめるかなと思ったりするので、何か違うことをやったりとか、参考にしたりとか、結構様々です。

小西 そうですね。やっぱり共演者が変わると違いますね。私の場合、恋人役が違うんです。タリフと毎回、バカップルっぽいポーズをするシーンがあるんですけど、戸澤さんと合わせるのと菊地くんと合わせるのとで、なんか違いも面白くて。もう一人のアンジェ役の五十嵐みのりちゃんがやってるのとか見て、「ああいうポーズとかもいいな」と思ったりします。

 言葉の捉え方みたいなのが、俳優によって違っていて。だからタリフという人が(戸澤さんと菊地さんと)いるんだけど、同じセリフでも、小西さんには違って聞こえてるんだと思うんです。役者は慣れることを許されない、そういう仕組みになってるなと思うんですよね。

── 納谷さんの演出について、特に印象に残っていることや、演出方針、稽古におけるキーワードなどはありますか。

 納谷さん自身、優れた俳優でもあるので、「自分が演じるとしたら」というイメージもやっぱりあるんです。「こうしたら面白い」という確固たるイメージが納谷さんの中にある。それを、言葉とか動きとかで僕らに伝えてくれるんですね。

ただ、俳優には俳優の感性とか理解とかがあって、それが納谷さんと合致する時と合致しない時があって。合致しない時に、「この俳優ならどうやったら面白いだろう」というところにスイッチする瞬間がある気がします。そういう時に、なんか世界がバーって広がっていくような、豊かになるみたいな印象があって。それは面白い瞬間だなと思って、僕はいつも見ています。

小西 私は納谷さんと7年ぶりくらいにご一緒するんです。10年くらい前に初めてやらせてもらった時は、とても厳しく言われたことを覚えていますが、それは今の演技につながっています。納谷さん、すごい優しくなったと思います(笑)

戸澤 納谷さんは脚本・演出家ではありますが、やっぱり俳優だなと僕も毎回思いますね。「自分がやるならこういう風にやる」というイメージがあるので、それに応えられる時と、応えられてないなっていう時と、なんか新しいものを出せたなっていう時がある。「俺の思い描いてたイメージと違うけど、そういう手もあるならいいね」という風にできた時は、役者としてかなり喜びを感じます。

『病は気から』舞台写真

── 最後に、記事を読まれるお客様に向けて、公演の見どころやメッセージをお願いします。

 コメディです!とにかくドタバタコメディで、もう気楽に笑って、手叩いて、腹抱えて笑っていただければ、とってもいい時間になるんじゃないかなと思います。

ただ、人生色々あって、心配しすぎなこととか、心配したけど現実にはならないこととかいっぱいあるな、というところも作品のテーマにありますので、観終わったあとに誰かと喋ってくれたらいいな、と思います。「病は気から」というテーマで、誰かとおしゃべりするきっかけになって、そこでもまた笑いが起きたら嬉しいです。

戸澤 スタバも出来ましたしね。

 そう!北八劇場がある「さつきた8・1」1階にスターバックスがオープンしました。

小西 すごくコメディなんですけど、人間ドラマもあって、心にグサッとくるところが結構いっぱいあります。もしかしたら泣いちゃう人もいるかもしれないです。だから、ハンカチとかティッシュ持ってきた方がいいと思います!

梅原 僕はELEVEN NINESの劇団員で、これまでも納谷さんと一緒にコメディをたくさん作ってきました。納谷さんは演技が大好きで、演技によって劇を面白くすることにすごくこだわりがあるんですけども、今回はそれは残しつつ、総合的に色々な武器を揃えているなと思っています。山木将平さんの音楽であったりとか、鈴木明倫さんの振り付けで全体で踊るシーンがあったり。

柴田智之さん主演ですが、納谷さんとやるのは2回目で、ものすごくそこのセッションも面白いです。キャストも色々な組み合わせがあって、とにかく新鮮にフレッシュにコメディにみんなが向かっていっているという状態が、すごくバリエーション豊かというか、すごくカラフルな感じがしています。僕は毎日ワクワクしています。

多面的な魅力がある作品になってますんで、楽しんでいただければなと思います!

戸澤 トリプルキャスト、ダブルキャストがあり、全ステージ違う組み合わせで上演されます。この記事を読んでいる方はぜひ、明さん、梅原くん、小西さん、戸澤の4人が出ている回を狙っていただけると嬉しいですね。

何回観ても違った楽しみ方ができる公演ですので、ぜひ複数回観ていただけると嬉しいです。

 あと、お芝居見る前に、よかったら原作読んでみてほしいです。全然原作と違うから!(笑)。だから、原作読んでいただくと、これを読んで納谷真大という人はこれを作ったんだ、という風に楽しんでいただけると思います。


今回のインタビューでは、ジョブキタ北八劇場主催『病は気から』の多角的な魅力と、創作過程における様々な挑戦や工夫について、演出家と出演者の方々から詳しくお話を伺うことができました。

ぜひ劇場で、このドタバタ悲喜劇とカラフルなエンターテイメントをご体験ください。

公演情報

ジョブキタ北八劇場主催

病は気から

原作:モリエール(「モリエール全集」臨川書店刊/秋山伸子訳より)
翻案/演出:納谷真大

『あっちこっち佐藤さん』に続く、ジョブキタ北八劇場主催のコメディシリーズ。
17世紀に活躍したフランスの古典喜劇の確立者、モリエール最後の作品。
豪華で笑い溢れる風刺コメディーを、音楽やダンスも交え、多くの世代が楽しめるエンタテイメント演劇に仕上げます。
札幌を中心に活動する多彩なキャストとスタッフでお届けします!

今回の演目には、以下の言葉や描写が含まれます。
・病気・出血などの表現
・地震・津波などの天災についての言葉やそれらを想起させる演出表現
ご観劇に際してご不安な点がある場合、どうぞ事前にお問い合わせください。
すでにチケットを購入しているお客様につきましてもキャンセル対応に応じますので、劇場までご連絡ください。

日程

2025年6月14日(土)〜7月6日(日) 全24ステージ

6月14日(土)18:00
6月15日(日)13:00 ★
6月17日(火)19:00
6月18日(水)19:00
6月19日(木)19:00
6月20日(金)14:00 ★
6月21日(土)13:00
6月22日(日)13:00 ★
6月24日(火)19:00
6月25日(水)19:00
6月26日(木)14:00 ★/19:00
6月27日(金)19:00
6月28日(土)13:00/18:00
6月29日(日)13:00 ★
7月1日(火)14:00/19:00
7月2日(水)19:00
7月3日(木)14:00/19:00
7月4日(金)19:00
7月5日(土)13:00
7月6日(日)13:00

※開場は開演30分前、チケット受付開始は開演45分前
※★:アフタートーク開催回あり

会場

ジョブキタ北八劇場
(札幌市北区北8条西1丁目3番地「さつきた8・1」2階)

出演

●主人公:柴田智之
●秘書:小林エレキ
●秘書の助手:内崎帆乃香
●娘:五十嵐みのり、小西麻里菜
●娘の恋人:菊地颯平、戸澤亮
●娘の妹/弟:小野寺愛美、三浦規寛
●主人公の後妻:大橋千絵、小島達子
●主人公の弟:箕輪直人、明逸人
●主治医:梅原たくと、伊達昌俊
●薬剤師:坂口紅羽
●道化師:大田黒ヒロタカ、納谷真大、明逸人
●音楽家:山木将平
●舞踏家:梅原たくと、鈴木明倫

チケット

【全席指定】

一般:5,000円
学生:2,000円
中学生以下:1,000円

※すべて税込 ※前売当日共通 ※未就学児入場不可 ※学生の方は学生証をご提示ください ※車椅子でご来場の方は事前に劇場までご連絡ください

販売場所:ローソンチケット、道新プレイガイド、市民交流プラザチケットセンター、ジョブキタ北八劇場。

チケット予約フォーム

スタッフ

翻案・演出:納谷真大
音楽:山木将平
振付:鈴木明倫
舞台美術:高村由紀子
照明:手嶋浩二郎
音響:奥山奈々(Pylon Inc.)、石井悠貴
舞台監督:上田知
技術監督:伊藤久幸
演出部:梅原たくと、三浦規寛、坂口紅羽
ドラマアドバイザー:蓑輪俊介(murmur)
衣装:橋場綾子、上總真奈
小道具:菊地颯平
プロデューサー:小島達子
宣伝協力:岩田雄二
制作・広報:猪俣和奏、笠島麻衣
票券:澤田未来
宣伝美術:若林瑞沙(Studio COPAIN)
写真撮影:クスミエリカ

主催:一般財団法人田中記念劇場財団(ジョブキタ北八劇場)
制作協力:tatt Inc.
協力:Atelier柴田山、ELEVEN NINES、omoi オモア、株式会社 太田プロダクション、株式会社箕輪兄弟社、クラアク芸術堂、有限会社EGG、DANCE STUDIO LoRe

ネーミングライツ企業:ジョブキタ
オフィシャルパートナー:伊藤組土建株式会社、大和ハウス工業株式会社、大成建設株式会社、株式会社インサイト、JBEホールディングス株式会社
パートナー:株式会社札幌振興公社、東京建物株式会社、スターツコーポレーション株式会社、株式会社あいプラン

お問い合わせ

一般財団法人田中記念劇場財団(ジョブキタ北八劇場)

E-mail:office★tmtf.jp (★を@に変更ください)
電話:011-768-8808 または、070-9358-9374(月〜金(祝日除く):10時〜17時)

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【7/6】能をわかりやすく紐解く講座「能meets 札幌」https://d-sap.com/16956/Thu, 05 Jun 2025 13:04:16 +0000https://d-sap.com/?p=16956

7月6日(日)13:00/装束のお話(70分)15:00/世阿弥の言葉「初心忘るべからず」(60分)16:30/ワンコイン体験「謡(うたい)・摺り足」(40分)※受付・入場は開始時間の20分前 札幌市民交流プラザ 402 ... ]]>

わかりにくいからこそ面白い能を、わかりやすく紐解く濃密な講座「能meets」。札幌開催2回目の今回は、舞台人や劇場に興味のある方はもとより、能楽が全くわからない方にも幅広く楽しんでいただける内容です。

◆「装束のお話」
能を彩る煌びやかな装束。そこにはひとつひとつ意味があります。
「舞台は楽屋から始まっている」その言葉に裏付く楽屋のルールは目から鱗!
普段は見ることのない「着付け実演」も!

◆世阿弥の言葉「初心忘るべからず」
今でも愛読者の多い「風姿花伝」。演劇論だけではなく、人生論や人材育成論に通じる世阿弥の残した言葉を能楽師が経験とその教えを通じてお伝えします。「初心忘るべからず」の本当の意味とは…?

日時

7月6日(日)
13:00/装束のお話(70分)
15:00/世阿弥の言葉「初心忘るべからず」(60分)
16:30/ワンコイン体験「謡(うたい)・摺り足」(40分)
※受付・入場は開始時間の20分前

会場

札幌市民交流プラザ 402

札幌市中央区北1条西1丁目

講師

林本 大(はやしもと だい)

能楽師 シテ方 観世流 準職分、重要無形文化財総合指定保持者、「大の会」代表

チケット

「装束」「世阿弥」各2,000円
ワンコイン体験:500円

お申込み方法

◆WEB予約
下記URLからお申込みください。
https://www.quartet-online.net/ticket/sapporo2

◆メール予約
件名を「札幌予約」
本文にお名前・電話番号・希望講座・枚数をご記入のうえ、お問い合わせメールアドレスまでお送りください。

※講座参加時の服装は自由。必要なお持物もございません。

主催・お問い合わせ

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維新派『アマハラ』特別上映&ゲストトークhttps://d-sap.com/16948/Tue, 03 Jun 2025 02:41:05 +0000https://d-sap.com/?p=16948

2025年6月22日(日) 17時台予定 *正式な上映時間は6/17(火)に決まります 上映終了後トークを行います。 ゲスト:清水翼(元維新派 制作)、石本由美(元維新派 俳優) 司会:中島洋(シアターキノ) シアターキ ... ]]>

平城宮跡に野外劇場が建ち上がる
日本から東南アジア ミクロネシアへ
多島海へと至る<海の道>を渡った
移民たちの物語

本作品は20世紀三部作のアジア篇として上演した『台湾の、灰色の牛が背のびをしたとき』を再構成した作品である。新たな脚本や演出プランの構想中に主宰の松本雄吉が他界したことから、残されたノートや資料をもとに、メンバー全員で完成させた。初演でアジアの群島を造形した劇場は、本作では草原に浮かぶ巨大な“廃船”へと形を変えた。日本古来の時間の流れと深遠さが感じられる世界遺産・平城宮跡で、土地の記憶、時間の地層を掘り起こし、日本からフィリピン、インドネシアの多島海へと至る<海の道>を渡った若者たちの夢と挫折を多声的な表現で描いた。
この作品が、半世紀に渡り、野外劇の可能性に挑み続けた劇団の最終作となった。

維新派 ISHINHA

1970年、松本雄吉を中心に設立。関西を拠点とし、国内外のさまざまな土地で公演を行った。1991年、東京·汐留での野外公演『少年街』より、独自のスタイル“チャンジャン☆オペラ”を確立する。発語、踊り、音楽など、をの点においても世界的に類を見ない集団で、特に、自らの手で巨大な劇場と屋台村を作り上げ、まるで小さな街のようなその劇空間は、終わると一切の痕跡も残さなかった。その独創性は演劇という枠を超え、同時代の表現者たちに多くの影響を与えた。
2017年12月に解散。

日時

2025年6月22日(日) 17時台予定

*正式な上映時間は6/17(火)に決まります

アフタートーク

上映終了後トークを行います。

ゲスト:清水翼(元維新派 制作)、石本由美(元維新派 俳優)

司会:中島洋(シアターキノ)

会場

シアターキノ

〒060-0063 札幌市中央区南3条西6丁目南3条グランドビル2F
TEL:011-231-9355 FAX:011-231-9356

チケット

入場整理番号付き前売 ¥2,000 (当日¥2,300)
キノ会員 ¥1,700 (当日¥2,000)

*シアターキノで販売中
*招待券使用不可、通常の割引はありません

お問い合わせ

シアターキノ
011-231-9355
札幌市中央区狸小路6丁目南3条グランドビル2階

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【札幌の劇団・ユニットも対象】日本劇団協議会による「演劇団体調査」実施中!(5/20まで)https://d-sap.com/16924/Wed, 14 May 2025 01:02:07 +0000https://d-sap.com/?p=16924

公益社団法人日本劇団協議会が、2025年5月1日から20日にかけて、全国で舞台芸術を制作する演劇団体・ユニット・個人へのアンケート調査を実施中です。 本調査は、これまで推測の域にとどまっていた国内の演劇制作団体数(プロ約 ... ]]>

公益社団法人日本劇団協議会が、2025年5月1日から20日にかけて、全国で舞台芸術を制作する演劇団体・ユニット・個人へのアンケート調査を実施中です。

本調査は、これまで推測の域にとどまっていた国内の演劇制作団体数(プロ約400団体、アマチュア含め約3,000団体)を正確に把握し、所属員数や主な表現ジャンル、地域との連携状況をデータベース化することで、文化政策や支援施策の基礎資料とすることを目的としています。

回答はGoogleフォームで約5分です。

調査の概要

  • 対象:劇団、ユニット、制作会社、プロデュース団体、市民劇団、演劇サークル、公共劇場などで「演劇」や「ミュージカル」の制作を行っている団体・個人(プロ・アマ不問)
  • 調査方法:Googleフォームにて回答(所要時間:約5分)
  • 調査期間:2025年5月1日(木)〜5月20日(火)
  • 回答フォームhttps://forms.gle/Z5sBx4mnqyqyFZNv7
  • 調査特設ページhttps://gekidankyo.or.jp/performance/performance-1485/

調査へのご協力をお願いします

コロナ禍を経た現在、地域で継続的に活動する演劇団体の「今」を把握し、将来に向けた支援やネットワークづくりの基盤を整えることは、舞台芸術の社会的価値を再確認する上で非常に重要です。

今回の調査結果は、舞台芸術を担う多様な主体の可視化にもつながり、政策提言や支援設計の根拠資料として期待されています。

まだ登録されていない団体・ユニットの皆さまは、この機会にぜひご回答をご検討ください。

お問い合わせ

公益社団法人日本劇団協議会 事務局(担当:高橋香純)
📧 gekidanchousa@gekidankyo.or.jp
📞 03-5909-4600
🌐 https://gekidankyo.or.jp/

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