【舞台裏の仕事人たち】照明・山本雄飛さん

演劇をつくるのは役者だけじゃない!舞台には立たないけれど、裏で作品を支えるスタッフさんにスポットを当てて紹介していく「舞台裏の仕事人たち」。

今回は、照明 山本雄飛さんにインタビューしました。

劇中での照明の美しさに思わず涙ぐんでしまう、という経験がある方も多いのではないでしょうか。演劇には欠かせない「照明」というお仕事に迫ります!

 

山本雄飛

北海道大学農学院2年。大学入学とともに演劇を始めて現在6年目。

劇団・木製ボイジャー14号に所属し、座付き照明でありながら若手から社会人劇団まで多くの公演に関わる。プロよりもプロらしくをモットーにアマチュア照明家として小劇場での演劇をはじめ、イベント、お笑い、大喜利ライブの照明も行う。

大学では乳牛の研究をしているが、牛乳よりもビールが好き。

演劇における「照明」とは


ー 山本さんが担当されている演劇の「照明」という仕事はどのようなものですか。

一言で言うと、舞台上を光で魅せるお仕事です。

役者さんや舞台を見えるようにすることが大前提なんですけど、それだけじゃなくて場所とか時間、あとは例えば張り詰めた空気みたいなその場の雰囲気も含めて表現することもありますね。シーンの切り替わりとか、役者だけじゃ足りないところを補足してあげるっていうのが照明の仕事だと思います。

 

 山本さんが照明という仕事に関わるようになったきっかけを教えてください。

演劇を始めたのは大学の演劇サークルに所属してからですね。なので演劇始めて6年目ですね。

サークルで最初に見た短編劇の照明がシンプルだけどきれいで、それで照明に興味を持ちました。表に出るのは恥ずかしかったので、最初からスタッフ志望でした(笑)役者として舞台に立ったことはほぼないですね。

 

 照明はどのように決まっていくのでしょうか。

基本的には自分で決めることが多いです。ただそれだけじゃなくて、演出の効果として照明を使いたいっていう場合もあるので、そういうときは台本と通し稽古を見た段階で演出さんと打ち合わせします。そこで何か言われたことは最低限やるとして、あとは演出や役者の動き、音に合わせて自分で考えて色々もっていくって感じですね。

でも、完全にオリジナルの照明を考えるのは難しいので、演劇とか映画とかを見て、イメージを膨らませて真似をすることが多いです。

 

アマチュアだからこそプロ意識を高く持つ

 お仕事をする上で大切にしていることはありますか。

僕は大学院生で、照明で食べて生活しているわけではないので、言わばアマチュアなんですよね。照明を本格的に始めたのも3年前くらいなので。だからプロの照明家には技術も経験も劣ってしまう。

でもアマチュアだからこそプロ意識を高く持つというか。色んなお芝居に関わる上で、プロに負けないという意識を持つようにしてます。だから結構大変な要求も、「いや僕は若さで乗り切ります、やります!」みたいな(笑)

あとは、時間があれば演劇とか映画を観たり、日常の中の光もよく観察したりして、どうやって舞台で表現しようとか、インプットを多くすることを意識してます。

 

ー 今まで担当された作品で印象に残っているものはありますか。

僕は照明家としてはフリーランスなんですけど、劇団員として劇団・木製ボイジャー14号に所属していて、去年のTGRで新人賞を獲ったんですよね。

その新人賞を獲った公演でダブルカーテンコールを頂いたんですよ。その時にもう感極まって一人で涙ぐんじゃって(笑)旗揚げから3年で劇団員と一緒に積み上げてきたものがようやく評価された気がして、その公演は一番印象に残ってますね。

 

ー 今回の作品、パインソー「extreme+logic(S)」で見てほしいポイントはありますか。

まだあんまり細かくは決まってないですけど、脚本とか見る限りかっこよく決まるところは決めたいなって思ってます。

あと、光る舞台装置(笑)どうやって光らせようかなって考えてる段階なんですけど、たぶん光ると思うのでそこはぜひ見てください(笑)

 

継続すること

ー お仕事の中でやりがいや面白さを感じるのはどんなときですか。

カーテンコールの時の満足そうな役者の顔と、それを見て楽しかったねって気持ちで帰っていくお客さんの顔を見るのが一番「あーやってて良かったな」って思います。照明は役者や芝居を引き立ててなんぼだと思うので(笑)

あと照明って一番最後に色々決まるんですよね。まずは役者さんの動きとか音があって、そこに照明が合流することが多いんですけど、照明って稽古場じゃ光出せないじゃないですか。

だから本番で僕が出した照明が、役者とか音響とか、シーンの雰囲気とバチッて合った時がすごいやってて気持ち良いですね。照明が最後に合わさってひとつのものになるっていう瞬間が一番面白いです。

 

 照明さんになるためにはどうしたら良いですか。

たぶん色々な方法があって、僕みたいに大学の演劇サークルに入ってやるっていう方法もあるし、専門学校行ったり照明会社入ったりっていう道もあると思います。興味を持ったら自分できっかけを作って、そこから勉強していくことが必要だと思います。

難しいのはそこから継続することだと思います。照明って仕込みの時は一番最初のセッティングからずっと丸一日働いててキツイんですよ。照明で食べてくなら演劇以外の仕事もやらなきゃいけないし。実際に舞台で見る華やかなイメージとの違いにギャップを感じて辞めちゃう人ってたくさんいると思います。

でも、僕は若手の照明家を増やしたいって思って後輩に指導したりしてるんですけど、1回2回で芝居とか照明の面白さって絶対わかんないよって話はしてます。照明やるなら多少キツイことはあっても、それを5回10回重ねてるうちにできるようになるから、それまではひたすらやるのが大事だよって、本当に面白くなるのはそこからだと思います。

 

街ごと変えられる力

 札幌演劇シーズンにこれから期待することはありますか。

今演劇シーズンに参加できてる団体は結構札幌の中で中堅だったり大御所じゃないですか。それだけじゃなくて、若手劇団がなんかの形でシーズンに食い込んでも良いんじゃないかなって僕は思ってます(笑)若手の公演は確かに荒削りかもしれないけどいい劇団はあると思うので。

札幌の若手に光を当てるっていうのも一つの手だと思うんです。実は札幌の若手、面白い人いっぱいいるんで(笑)そういう人たちをピックアップする機会をあげたら、今後の札幌演劇界がより盛り上がっていくんじゃないかなーなんて若手なりに思ったりしてます(笑)

 

 演劇にはどのような力があると感じますか。

人を変えられることかな。僕も結構人生変わったと思ってるんです、演劇のせいで(笑)やっぱり人とか人の感情が目の前で動いてるのってすごい面白いと思うんですよね。それは人を惹きつける力があって、人の心を動かすと思います。

実際演劇始めて、「演劇って面白い、照明って面白い」ってなって大学生活のほとんどを演劇に費やしたので。それは人と人がやってるところに僕が惹きつけられたからだと思うんです。人が変わっていくことが積み重なって、街ごと、より大きなものも変えられる力を持つんじゃないかって漠然と感じてます。

 

MY BEST BOOK


ー 山本さんのおすすめの本を教えてください。

「世界屠畜紀行」っていう旅の本なんですけど、屠畜に焦点が当てられた本です。僕学校で畜産を専攻してるので、それで興味を持って買った本ですね。

家畜とかをどうやって肉にするのかって日本だとあまり知られてないじゃないですか。そういうのって実は調べてみると面白くて、命がどうやって肉になるのかとか、そもそも肉って命なんだっていうことが書いてあります。動物一匹殺すのにもどうやって殺すのかとか、世界の多様な考え方みたいなのが書いてあって面白いです。

普段あんまり目にすることがないことが書いてあって、それはある種芝居を見てるだけじゃわからないスタッフの仕事とか、そういうのと同じかなと思います。食べ物が好きな人はぜひよんでみてください。これ読むとお肉とか食べ残しできなくなります(笑)

 

 

 

インタビューの様子は、「ダイジェスト動画」でご覧いただけます(下のボタンをクリック!)。

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