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シーズン実行委員・斎藤ちず「シーズンの成長の仕方」

札幌演劇シーズン2018-冬開幕中です!みなさん楽しんでいるでしょうか。

今回は札幌演劇シーズン実行委員の一人であり、会場であるコンカリーニョの理事長でもある斎藤ちずさんにインタビューを行いました。札幌演劇シーズンのこれまでの進化、そしてこれからの展望など貴重なお話をたくさんいただきました。是非ご一読ください。

斎藤ちず(さいとう ちず)

演出家、プロデューサー。NPO法人コンカリーニョ理事長。

1962 年、愛媛県出身。北海道大学在学中に北海道演劇研究会にて演劇をはじめ、1986 年には札幌ロマンチカシアターほうぼう舎の創設に女優・会計係として参加。同劇団解散後、1995 年から演出活動とともにコンカリーニョのスペース運営開始。演出家としては年間1〜2作品をつくり、演劇ワークショップ講師活動も行う。

札幌演劇シーズンのこれまで

ー 札幌演劇シーズンのこれまでの成長、発展をどのように評価しますか。

始まった当初はまだ札幌市からの補助金の目処も立たない状態で、北海道演劇財団と私たちコンカリーニョで協力し、自分たちがリスクを負う形でスタートしました。第1回は行政に対するプレゼンテーションという意味もあり、札幌市でも「このようなイベントならば行政からも支援しましょう」と言ってくれました。そうして第2回目からは、札幌市も参画する実行委員会形式になり、オフィシャルに組織としてスタートしました。

毎回色んな課題はありますが、演劇シーズン自体はここまで順調に成長してきていると思います。昨年から大きな会場も使い始めて、「狼王ロボ」(劇団千年王國)や「あっちこっち佐藤さん」(ELEVEN NINES)では本当に多くのお客さんに来ていただいて、集客という点でも成長しています。

当初は色々なシステムも確立していない中で、試行錯誤を繰り返していましたが、今はだいぶ落ち着いてきましたね。

 

ー シーズン参加作品自体についても成長は見られましたか。

初めの頃は、シーズンがどういうものか?具体的には、どういう方法で運営され、どういう期待がもてるか?を説明しながら、作品の出品を呼び掛けていました。それも定着し、シーズンの知名度も上がり、これまで演劇の見かったお客さんが増えることで、札幌の演劇人が「これなら自分たちも出てみたい」と思ってくれるようになったので、バラエティに富んだラインナップになってきていると思います。

クオリティと集客、両方の面から強く推せる作品を選ぶのが難航する時もありますが、毎シーズン5本キープできているっていうのはひとまず順調と言っていいんじゃないかと思います。TGRからの次のステップという役割も演劇シーズンが果たせているのかなと思います。

 

札幌演劇シーズンの目的とは


ー そもそも、札幌演劇シーズンの目的は「演劇で札幌を活性化させる」ということなのでしょうか。

今はそうなってますよね。演劇をツールとして札幌を活性化させるっていう。シーズンのHPにも載っています。(「札幌で生まれた優れた演劇を、札幌の財産として受け継ぎ、札幌ならではの資源として、演劇の持つ力で札幌の街をさらに活力あふれる街に変えていく」-札幌演劇シーズンHPより抜粋)

元々は「演劇創造都市札幌」というコンセプトがあって、演劇だけで生活していける、プロの演劇人を札幌で生み出したいという思いが根っこにありました。そのためには興業を打たなきゃいけないから演劇シーズンっていうものをやりましょう、ってざっくり言うとそういう流れです。

私は、シーズンが札幌の演劇人にとって「札幌で演劇を続けること」に希望を持つことができるものになればいいなと思っています。そこまでの道のりはかなり長いし、シーズンだけでできることでもないと思います。シーズンの発展とそのロードマップは実行委員会で改めて考えなければならないタイミングがくると思います。

 

ー 最近は若い世代も多く演劇シーズンを観るようになりましたが、若い世代に対する演劇の関わり方についてはどうお考えですか。

たいへん嬉しいことですし、多感な時期に一定水準を持つと評価された舞台に触れる機会があるというのは、意義深いと思います。

中高生無料招待が大きいですよね。無料にしたら若い世代はこんなに来てくれるんだと思いました。とてもいい取り組みだと。

演劇のファンになるならないじゃなくて、人の生きる様子とか何らかのドラマを疑似体験するのは自分と他者の関係を考えるきっかけになるんじゃないかと。舞台芸術特有の「圧」みたいなものが良い刺激になる人もいるだろうし、「いや、いい」みたいになる人もいると思うけど、ぜひ体験してほしいと思います。

 

これからのこと


ー 札幌演劇シーズンのこれからの展望についてはどうお考えですか。

今後について実行委員会の中で話し合わなければいけないことは多くあると思います。これからどういう発展を望むのか。札幌で演劇をしている人の中には、シーズンに出ることが劇団・俳優にとってのステータスになりつつあり、若い人たちもそこを目指してくれてきています。そこからさらにどこを目指していくのかって話ですよね。

演劇シーズンはアシュランドという街の演劇祭がモデルになっています。現在アシュランドは演劇を中心にまわっている街だそうですが、これだけ大都市の札幌が演劇を中心にまわるってことは難しいのではないかとも思います。

札幌という大きな街で、演劇シーズンがどのような役割を果たしていくべきなのか、都市機能の一つとしてどのように貢献できるのか、ということを考えていくことが必要かもしれません。

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「演劇シーズンだから観る」というお客さんはすごく増えています。シーズンは、札幌市民の楽しみの選択肢のひとつに「演劇」をつくる役割を持っている。シーズンのお客さんに、どうしたらシーズン以外の普段の公演にも足を運んでもらえるようになるのかを考えていくことも大切かと思います。それはシーズンが努力することではなく、劇場を中心に劇団とか創造団体と協力してやらなきゃいけないことかもしれません。

 

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